臨床皮膚科 52巻1号 (1998年1月)

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患者 36歳,外国籍の男性

初診 平成5年2月18日

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 1989年から1996年の8年間に当科で経験した乾癬型薬疹の6例を報告した.年齢は62歳から78歳,全例男性であった.原因薬剤はCa拮抗剤3例,αブロッカー2例,α,βブロッカーとCa拮抗剤1例であった.発症までの内服期間は1か月から4年であった.症例1は膿疱性乾癬様,その他の5例は尋常性乾癬様であった.組織所見ではMunro微小膿瘍と真皮浅層の好酸球浸潤が2例でみられた.抗核抗体は5例中3例で陽性であった.手掌の角化性皮疹は3例でみられた.乾癬様皮疹は原因薬剤の中止後2週から数か月で軽快し,αブロッカーの2例はCa拮抗剤でとくに皮疹はみられず,Ca拮抗剤の3例は他のCa拮抗剤への変更で痒みや皮疹を生じた.

連載

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 115 ダニ抗原について適切なものはどれか.

  ①除去のため寝室,居間の絨毯を除くのは有効である.

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楽しい慣用句辞書,インターネット,アメリカの保険制度について

 英語の単語の意味を調べたかったらどうしますか? それは簡単なことですね.辞書を使えばよいわけで,ポケットサイズの辞書からオックスフォード辞書サイズまでいろいろあり,更に医学辞書や法律,エンジニアリングといった専門辞書まであるわけですが,慣用句を探すときはどうしますか.もし通常の辞書に入っていたらそれは運が良かったと言えるかもしれません.もし“by and large”,“buzz word”といったあなたの知らない意味の時はどうしますか.もちろん辞書で,“by”とか“large”を繰ってみれますが,該当するものは見当たらないと思います.そこで助け舟を出しましょう.私は最近William and Mary Morrisによって書かれた“Morris' Dictionary of Word and Phrase Origins”の第2版を購入しました.出版社はHarper Collinsです.

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 1985年4月から1996年10月までの11年6か月間に長野赤十字病院皮膚科において悪性腫瘍を合併した皮膚筋炎が13例経験された.この合併例の年齢は46〜82歳,性別は男10例,女3例で,男性例は全例50歳以上であった.腫瘍の内訳は胃癌4例,肺癌4例,食道癌3例,横行結腸癌,肝細胞癌が各1例であった.13例中進行癌が9例,早期癌は2例であった.悪性腫瘍の非合併例に比べ,浮腫の強いヘリオトロープ疹や強い掻痒を伴うものが多く,脱力感や発熱が認められるものは少なかった.検査上,合併例に特徴的な所見は見いだせなかった.男性例は全例死亡したが,女性例はすべて生存している.

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 患児は平成7年9月,在胎36週0日,2360gで出生.生下時より全身は紅色の粗大な亀裂で境された厚く固い鎧状の角質に覆われ,耳介は埋没,口唇粘膜,眼瞼は浮腫状に外反していた.特徴的外見よりharlequin fetusと診断,当院未熟児新生児センターで全身管理され,外用は白色ワセリン主体に使用,生後2週目よりエトレチナート1mg/kg/日の内服を開始し,角質は徐々に脱落した.全身状態も比較的良好で生後6か月,両眼の開眼状態,四肢末端の低形成は残るも退院となり長期生存が期待されていたが,1歳3か月,急性細気管支炎で入院し,突然呼吸状態が悪化し死亡した.

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 症例1:69歳,男性.昭和60年頃から口唇,口腔内に皮疹が出現し近医歯科にて扁平苔癬と診断されていた.同時期から頭部,背部,手背に脱色素斑が出現し拡大してきたため当科を受診した.昭和55年頃から慢性肝炎で近医内科にて加療中で,平成4年C型肝炎の診断後インターフェロン(IFN)を投与された.症例2:54歳,男性.平成3年1月頃から口唇に皮疹が出現し,紹介されて当科を受診した.皮膚病理組織は扁平苔癬に典型的であった.昭和37年頃から慢性肝炎で近医内科にて加療中で平成5年C型肝炎の診断後IFNを投与された.2症例とも扁平苔癬とC型肝炎の合併例で,少量のステロイド内服で扁平苔癬は小康状態であったがIFN投与で皮疹は一時的に悪化し,IFN投与終了後はIFN投与前に比べ軽快した.口腔扁平苔癬においてはC型肝炎の検索が必須であると考えられた.

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 45歳,男性.平成8年8月22日タヒチの海で,stonefishと呼ばれる魚を踏み,左第1趾に棘が刺さり,激痛とともに左足が発赤,腫脹した.初診時左第1趾腹側に黒褐色の棘が4本認められた.プレドニゾロン20mg内服にて軽快した.オニダルマオコゼの背鰭の毒棘による刺傷と考えた.

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 46歳,男性.顔面に鱗屑や萎縮を伴わない浸潤性紅斑が出現した.皮膚病理組織像では表皮基底層の液状変性と毛包内の角質増殖が見られ,真皮上層から中層にかけては中心部がB細胞で辺縁部がT細胞よりなるリンパ濾胞構造を認めた.Lupus band test陽性であり,特異な組織を呈した慢性円板状エリテマトーデスと診断した.

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 4歳,女児.2歳頃より冬季になると両手指,両足に凍瘡様皮疹あり.4歳時,全身倦怠感,発熱,関節痛,顔面の紅斑が出現.初診時,抗核抗体640倍(homogeneous-speckled pat—tern),抗ds-DNA抗体80IU/ml,抗ss-DNA抗体255IU/ml,抗SS-A抗体16倍,LE細胞(+).CH 5011U/ml,尿蛋白200mg/日.光線過敏なし.顔面紅斑の組織学的所見は典型的.プレドニゾロン20mg/日より投与開始し,臨床症状,検査所見ともに徐々に軽快.現在,10mg/日にて経過観察中.家系内を検討したところ,姉(10歳)は抗核抗体40倍(speckled pat—tern),兄(7歳)は抗核抗体20倍(speckled pat—tern)と各々陽性であった.小児の全身性エリテマトーデス(SLE)は成人例に比べ,症状が多彩で予後不良といわれている.本邦の統計では,診断時年齢が5歳以下のものは非常に稀である.SLEの乳幼児例について考察を加えた.

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 16歳,男性.1995年3月発熱,蝶型紅斑,爪囲紅斑,口腔内潰瘍で発症し,赤沈亢進,白血球減少,高ガンマグロブリン血症,腎障害,各種自己抗体陽性,低補体血症,病理組織学的に表皮基底層の液状変性が認められ,Iupus band test陽性などから全身性エリテマトーデスと診断した.Prednisolone 50mg/日内服で治療を開始したが反応が悪く,methylprednisolone 1000mg3日間によるパルス療法を2回行った.その間にprednisolone 60mg, cyclophosphamide 100mg/日を投与したが,依然として熱発が続き,白血球減少も持続した.そこで免疫抑制剤mizor—ibine 150mg/日を追加し,二重濾過膜血漿交換療法を2回施行した.これによって病勢をコントロールすることができ,以後順調にステロイドを減量することができた.

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 66歳,女性.2年前より両膝の関節痛,四肢大関節の可動域制限が出現し,1年半前より四肢ことに両手指に結節が多発してきた.結節の病理組織像は,好酸性でスリガラス状の細胞質を有する単核および多核の組織球系細胞の浸潤からなり,電顕では細胞質内に1次ライソゾーム様の構造を持っ顆粒を多数認め,multicentric reticulo—histiocvtosisと診断した.組織球系細胞の免疫染色ではリゾチーム(+),S−100蛋白(−),CD1a(−)で,単球—マクロファージ系由来の細胞であることが示唆された.プレドニゾロン内服により,皮膚,関節症状ともに改善がみられた.

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 85歳,男性.1か月半前より陰茎亀頭部に発赤,膿疱が出現.病理組織学的に真皮全層性に非特異的肉芽腫性炎症像を呈した.亀頭部膿および生検組織と喀痰,尿のZiehl-Neelsen染色,抗酸菌培養にて結核菌を検出せず.亀頭部膿および生検組織を用いたPCR法で結核菌DNAを検出せず.イソニアジド,リファンピシン内服が奏効.陰茎結核疹治癒後に喀痰培養にて結核菌を検出した.活動性肺結核と陰茎結核疹の共存例は稀である.

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 58歳男性の非クロストリジウム性ガス壊疽(NCGG)の1例を報告した.基礎疾患として多発性硬化症と糖尿病があり,仙骨部褥瘡の感染で発症したと考えられた.初診時X線検査で全身広範囲にガス像を認め,膿汁培養にてBacter—oides, Porphyromonasなどの細菌が検出された.当初,病変が広範なため外科的処置を施行できなかったが,その後の化学療法で全身状態の改善と,一部ガス像の消失を見たため,広範デブリードマン施行.連日排膿,洗浄を施行した結果,嫌気性菌陰性となった.NCGGの起炎菌は一般に常在菌が多く,健常人には通常病原性を発揮しない.糖尿病,消耗性疾患,褥瘡を伴う対麻痺などの慢性疾患をもつcompromised hostの目和見感染症として,NCGGに対する認識を改める必要がある.

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 症例:82歳,農夫.小外傷を機に右手背に45×55mmの易出血性肉芽腫性紅色局面を形成.生検組織内に胞子型の菌要素(+).膿および生検組織の培養にて真菌を認め,スライドカルチャーにてSporothrix schenckiiと同定.治療にイトラコナゾール100mg/日の投与を開始したところ,急速に改善傾向が認められ,10週間で略治の状態となった.本剤はスポロトリコーシスの治療剤として有用と考えられた.

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 75歳,女性.左大腿の表面疣贅状の扁平隆起性紅色結節.組織学的に著明な角質増殖と乳頭腫状の表皮肥厚および基底細胞様細胞よりなる表皮内胞巣を認め,胞巣内に管腔様構造がみられた.抗ヒトパピローマウイルス抗体による染色では腫瘍巣を覆う角層内の粒状物質のいくつかに陽性所見がみられた.さらに抗ケラチンモノクローナル抗体による免疫染色を行い,他疾患との鑑別を行った.

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 77歳,男性.わずか1か月の間に頭部,顔面,四肢に疣贅様の皮疹が多発し,続いて口腔内にも乳頭腫状の病変を認めるようになったため,当科を受診した.病理組織学的に角質の増殖,表皮の肥厚と乳頭腫症を認めた.血液所見では軽度の貧血,肝胆道系酵素の上昇,腫瘍マーカーの上昇を認め,精査の結果Borrmann 3型の胃癌ならびに肝臓への多発性転移を確認した.皮膚の色素沈着は認めなかったが,黒色表皮腫であると考えられた.

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 28歳の女性の左下腿,右腰部に生じたmobile encapsulated lipomaの1例を報告した.臨床的に腫瘤は指で圧迫すると皮下を移動し,指を離しても元の部位に戻らずその場にとどまった.切除のため,この可動範囲内で皮下に至る切開を加えたところ,皮下腫瘤は特に剥離することもなく容易に摘出された.腫瘤は球状で表面平滑,黄白色を示し弾性硬であった.組織学的に腫瘤は線維性被膜で覆われた脂肪組織より成っていた.この脂肪組織は正常脂肪細胞からなる中央部分と,広範囲に壊死をきたし蜂巣状構造を示す辺縁部分に分けられていた.本症との鑑別で重要な被包性脂肪壊死性小結節(菊池)はoil red O染色陽性の膜嚢胞性病変を示すが,本例では認められなかった.本症の成因として打撲などの外力による組織の障害が考えられているが,本例でも仕事中,腫瘤発生部位を打撲した既往が認められ,既報告例と一致した.

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 56歳,女性.前額の正中被髪境界部に境界明瞭でほぼ円形を呈する淡紅白色の局面を認めた.組織像で真皮上層から下層にかけて比較的緻密な結合組織が見られ,その中に最外層が棚状配列をなす腫瘍塊を島状に認めた.斑状強皮症型基底細胞上皮腫と診断し,同部に対し辺縁より1cm離して骨膜の深さで切除し,遊離植皮術を施行した.

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 17歳,女性.初診の5年前より左下腿に鶏卵大の腫瘤を認め,次第に増大してきた.軽度の貧血を認める.CTでは,腫瘤は腓骨筋内に存在し周囲への浸潤傾向は比較的低い血管豊富な軟部腫瘍である.生検により胞巣状軟部肉腫と診断された.腫瘍の広汎切除を行い広背筋皮弁による再建を行った.腫瘍の大きさは,4.5×3.0×2.7cmで,腓骨への浸潤は認めない.現在,術後7か月を経過するが再発の兆候はない.組織学的には,好酸性の広い細胞質をもつ大型細胞よりなり,細血管が豊富で特徴的な胞巣状の類臓器構造を示す.腫瘍周辺では,脈管侵襲が著明であった.PAS染色で,細胞質内に針状・棒状の結晶構造を認める.腫瘍細胞は免疫組織学的に,des—minとactinが陽性であり,cytokeratinとvimentinは陰性であった.

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 78歳,男性.約4年前より顔を除くほぼ全身にびまん性紅褐色皮疹が出現.その後紅皮症となり,頭部には潰瘍を伴う腫瘤が出現した.病理組織学的には,紅皮症部分は真皮上層の血管周囲性単核球浸潤であり,頭部腫瘤は異型性の強い腫瘍細胞の密な増殖と中に赤血球を入れた管腔様裂隙の形成が多数見られ,腫瘍細胞はFactor VIIIおよびCD 34陽性であった.以上より本症例を丘疹—紅皮症患者の頭部に生じた血管肉腫と診断した.また血管肉腫におけるCD 34発現について若干の考察を加えた.

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 左腋窩の鶏卵大の腫瘤を主訴に来院した32歳男性例を報告した.病理組織所見で大型類円形で豊富な胞体を持つ腫瘍細胞が見られ,CD 30, IL−2 receptor, HLA-DR強陽性などの免疫病理組織所見からanaplastic large celllymphomaと確定診断した.キメラ蛋白P80NPM/ALK t(2;5)(p 23, q 35)陰性で,患者が腫瘤を自覚してから6か月で死亡するという急速な死の転帰をとった.遺伝子検索では,Tcell re—ceptorのγ鎖において再構成が認められた.血清学的,免疫組織学的にEBウイルスとの関連は証明されず,抗HTLV-I抗体も陰性であった.

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 49歳の男性.平成4年5月左前腕に径11mmの単発皮膚腫瘤が出現,生検で悪性線維性組織球腫と診断.その後左上腕,左腋窩に腫瘤が多発し当センター整形外科に紹介.8月左肩甲帯離断術施行.術直後右腋窩,腹壁に皮下腫瘤が多発し,LDHの上昇をみたため全身化学療法を行ったところ腫瘍は縮小,治療反応性から悪性リンパ腫の可能性が高いと考えCHOP療法6コース追加し完全寛解(CR)を得,以後約3年半CRを維持.平成8年3月右前腕に皮膚腫瘤が出現,生検でKi−1陽性anaplastic large cell lymphoma(ALCL)と診断.平成4年の標本につき改めて免疫組織染色を含め検討,ALCLと確認された.ALCLは皮膚,骨,軟部組織に病変を有し,病理組織学的に多核巨細胞が出現することにより未分化癌,ホジキン病,悪性線維性組織球腫と鑑別が困難なことがある.進展様式,治療反応性を考慮に入れた鑑別診断が重要と思われた.

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 69歳,糖尿病を基礎に有する男性の右外踝に生じた難治性潰瘍に対し,lateral supramal—leolar flapを用いて再建を行った.術前にドップラー血流計で腓骨動脈穿通枝を確認し,その上行皮枝を含めるように下腿外側に3×8cmの皮弁をデザインした.潰瘍を周囲のポケットを含め骨膜上で切除した後,皮弁は浅腓骨神経を損傷しないように留意しながら,筋膜を含めて挙上し外踝欠損部に回転させ創を閉鎖した.また皮弁採取部には分層植皮を行った.本法は順行性血流を用いたaxial pattern flapであるため血行は安定しており,また下腿の主要な血管を犠牲にする必要はない.自験例でも皮弁は完全生着し,皮弁採取部の機能的,整容的な犠牲も最小限に留めることができた.

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 欧州皮膚科・性病学アカデミー(European Academy of Derma—tology and Venereology:EADV)は,アメリカの米国皮膚科アカデミー(American Acad—emy of Dermatology:AAD)を模して始まった,臨床皮膚科学を中心にした学会で,今回は第6回目である.はじめは2年おきに行われていたが,徐々に盛んになり最近は毎年ヨーロッパの各地で開催されている.今回はマリー・ロビンソン会頭のもとアイルランド,ダブリン市において1997年9月11日〜15日に行われた.筆者も第2回のアテネの大会に参加し,また,今回イギリス,オックスフォードのヴォナロスカ博士の担当する自己免疫性水疱症のシンポジウムのシンポジストとして参加する機会を得た.

 筆者もアイルランドは初めてであり,興味深く思っていたので,まず,アイルランドの国および人について筆者の感じたままを紹介する.ダブリンの空港にはロンドン,ヒースロー空港から約1時間で到着した.9月の気候は温暖であったが,夕方には少し寒さを感じた.アイルランドはヨーロッパの西海岸の島国で,主にケルト人が住み,言語も英語とアイルランド語を併用しているが,最近はアイルランド語がないがしろにされる傾向があると乗り合わせたタクシーの運転手は嘆いていた.全人口は約300万人で静岡県とほぼ同じと聞いて驚いた.

基本情報

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臨床皮膚科
52巻1号 (1998年1月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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