Japanese
English
症例報告
Mobile encapsulated lipomaの1例
A case of mobile encapsulated lipoma
野口 昌子
1
,
安岐 敏行
1
,
三原 基之
1
Shoko NOGUCHI
1
,
Toshiyuki AKI
1
,
Motovuki MIHARA
1
1鳥取大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Tottori University School of Medicine
キーワード:
mobile encapsulated lipoma
,
蜂巣状構造
,
脂肪変性
Keyword:
mobile encapsulated lipoma
,
蜂巣状構造
,
脂肪変性
pp.67-69
発行日 1998年1月1日
Published Date 1998/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902417
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28歳の女性の左下腿,右腰部に生じたmobile encapsulated lipomaの1例を報告した.臨床的に腫瘤は指で圧迫すると皮下を移動し,指を離しても元の部位に戻らずその場にとどまった.切除のため,この可動範囲内で皮下に至る切開を加えたところ,皮下腫瘤は特に剥離することもなく容易に摘出された.腫瘤は球状で表面平滑,黄白色を示し弾性硬であった.組織学的に腫瘤は線維性被膜で覆われた脂肪組織より成っていた.この脂肪組織は正常脂肪細胞からなる中央部分と,広範囲に壊死をきたし蜂巣状構造を示す辺縁部分に分けられていた.本症との鑑別で重要な被包性脂肪壊死性小結節(菊池)はoil red O染色陽性の膜嚢胞性病変を示すが,本例では認められなかった.本症の成因として打撲などの外力による組織の障害が考えられているが,本例でも仕事中,腫瘤発生部位を打撲した既往が認められ,既報告例と一致した.
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