臨床放射線 66巻1号 (2021年1月)

特集 胸部の最新画像情報2021

総説

  • 文献概要を表示

本稿では冒頭に低線量CT検診における動向および進展について述べ,後段で公益社団法人日本人間ドック学会会員の立場で平成20(2008)年から平成29(2017)年にかけて3回実施して同学会学術委員会に報告した,同学会会員施設における低線量CT肺がん検診に関する実態調査の概要を述べ,同検診の現時点における課題に触れたい。上記実態調査に関する詳細は「人間ドック」に記載されている各報告書1-3)を参照していただければ幸いである。

  • 文献概要を表示

びまん性肺疾患の病理診断のゴールドスタンダードは外科的肺生検であり,特発性間質性肺炎の病型分類・指定難病の申請に必要である。しかし,外科的肺生検は,侵襲性や術後急性増悪をはじめとした合併症への危惧,併存症や加齢などによる制限,検査のための手術という面での同意取得困難などから施行症例が限られ,実臨床では生検が行われず病理診断がないままに臨床画像情報をもとに診療が行われることが多い。

  • 文献概要を表示

近年のcomputed tomography(CT)やartificial intelligence(AI)技術の進歩により,胸部領域においても,結節の検出,良悪診断,CT検査の低線量化など様々な分野で開発や研究が進んでいる。このため,日常臨床や検診にて多数の結節がCTで検出されるようになり,特に,すりガラス型結節や部分充実型結節においては,その診断やマネジメントの仕方も重要となる。

  • 文献概要を表示

画像診断の進歩やCTスクリーニングの有用性が認識されたこともあり1),近年は小型肺癌発見例が増加している。このような小型肺癌に対しては多くの症例で局所療法が行われる。標準的には手術が選択されるが,最近では縮小切除と称される区域切除,楔状切除が行われることがある。しかし科学的に強固なエビデンスはまだ確立されていないため,従来から標準術式とされてきた肺葉切除と縮小切除の無作為化比較試験が,我が国を中心として進行中である2)。一般的に縮小切除は肺の正常組織を可及的に温存するため,肺葉切除が耐えられないpoor risk症例において術後合併症の軽減,術後生活の質の温存には有利ではないかと推測されている。しかし,縮小切除は腫瘍との切除距離が近いこと,さらにリンパ節郭清が不十分になることによる局所再発の増加が懸念される点が問題となる。非解剖学的切除である楔状切除に比べ,解剖学的切除である区域切除ではより切除マージンを広くとること,リンパ節郭清をある程度まで行うことが可能な術式であるが,それでも切除断端再発は発生する可能性がある(図1)。特に局所再発は治療の質に直接関連し,再治療が必要になるため回避すべき再発様式である。

  • 文献概要を表示

右上大静脈欠損型左上大静脈遺残はたいへんまれな血管奇形であるが,その解剖学的構造から不整脈を合併しやすいことが知られており,またカテーテルやペースメーカーの留置経路も通常と異なるため認知していないと様々な合併症の原因となりうる。本症例では胸部X線で同奇形が確認され,不整脈の可能性とあわせレポートに記載すべきと思われた。若干の文献的考察を加え報告する。

  • 文献概要を表示

胸腔内の腫瘍で周囲組織(大血管,縦隔,壁側胸膜,横隔膜)への浸潤や癒着の有無を術前に評価することは,手術のアプローチやリスクを評価するうえで重要である。しかし,それを正確に術前予測することは容易でない。64列CTやMRIを利用した腫瘍の浸潤評価はこれまでも報告されていたが,体軸方向16cmをカバーする320列CTスキャナーを利用することで,被験者の自由呼吸下で寝台を動かさずにCTを撮影し,胸郭,肺,気道,胸部腫瘍などを4Dで観察することが可能となった。この胸部4DCT(呼吸ダイナミックCT)は,これまでの「呼気止め」や「吸気止め」の静止画的なCTでは得られない情報が得られる。今回我々は,胸部4DCTが術前診断に有用であった孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:SFT)の2例を経験したので文献的考察とともに報告する。

  • 文献概要を表示

治療前のリンパ腫において石灰化は非常にまれであり,過去の報告では0.84%と報告されている1)。今回我々はアミロイド沈着により著明な石灰化を伴った胸腺のリンパ腫を経験したため,画像所見と文献的考察を加えて報告する。

  • 文献概要を表示

アミロイドーシスはアミロイド沈着により生じる疾患の総称で,原発性の他,種々の疾患に合併して生じる。シェーグレン症候群でもまれにアミロイド沈着を生じることがあり,肺に生じたアミロイド結節はときに悪性腫瘍との鑑別が問題となることがある。今回我々は,比較的長い経過観察を経た後,組織診断で確認することができたシェーグレン症候群に合併した結節性肺実質型アミロイドーシスの1例を経験したため報告する。

  • 文献概要を表示

特発性肺炎症候群(idiopathic pneumonia syndrome:IPS)は造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell trans-plantation:HSCT)後に発症する非感染性肺障害である。IPSの病態としては各種サイトカインの関与が示唆されており,発症には治療関連毒性としての移植前化学療法や全身放射線照射の影響,移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)などの複数の因子が関与しており,造血幹細胞移植後の合併症の中でも最も予後不良な病態と考えられている。発症から死亡に至るまでの画像経過を追えたIPSの1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。

  • 文献概要を表示

本邦において梅毒患者は近年著しく増加している。梅毒における肺病変は珍しく,報告は1968年から2015年の間で16例にとどまる1)。今回我々は肺病変を伴う2期梅毒の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。

  • 文献概要を表示

化膿性脊椎炎は椎体や椎間板を主座とする近年増加傾向の感染症である。その好発部位は腰椎であり,胸椎発生は14.3%程度である1)。特に上位胸椎発生は中下位胸椎と比較して少なく,非典型的とされる2)。また,化膿性脊椎炎から胸腔への感染の進展は非常にまれである3)。今回我々は,画像上椎体浸潤を伴う肺癌との鑑別が問題となった右上葉への炎症波及を伴う化膿性脊椎炎の症例を経験したので報告する。

  • 文献概要を表示

結核の治療経過中に発症したサルコイドーシスの報告はまれである。しかし,我が国のサルコイドーシスの有病率に比して,菌陽性結核患者におけるサルコイドーシスの有病率は有意に高い頻度であるという報告もある。サルコイドーシスの病因に関してもアクネ菌や結核菌の感染/遺伝子産物に対する肉芽腫性反応ではないかとする多くの説が古くから報告されてきている。特徴的な画像所見,経過を呈した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。

  • 文献概要を表示

肺転移巣に18F-fluorodeoxyglucose(以下,FDG)の集積を認める症例は日常的に遭遇するが,単発性病変で緩徐な増大を示すにもかかわらずFDGの著明な高集積を示す腫瘤に関しては日常診療においてしばしば術前診断が困難である。今回我々は,緩徐な増大にもかかわらずFDG-PETにおいて異常高集積をきたした甲状腺濾胞腺癌の肺転移症例を経験したため,文献的考察を加え報告する。

  • 文献概要を表示

結節性リンパ組織過形成(nodular lymphoid hyperplasia:NLH)は,良性局在型の反応性肺リンパ増殖性疾患と位置づけられる。近年,免疫組織学的,遺伝子学的解析の進歩や疾患概念の浸透に伴い,報告例が増加している。今回,画像上気腔の拡張を伴う腫瘤影を呈し,MALTリンパ腫との鑑別が問題となった,結節性リンパ組織過形成の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

  • 文献概要を表示

nodular lymphoid hyperplasia(NLH)は肺のリンパ組織であるbronchus-associated lymphoid tissue(BALT)を発生母地として,炎症などの外的刺激による影響で生じるまれな良性リンパ増殖性疾患と考えられている。悪性リンパ腫や原発性肺癌との鑑別がときに難しく,外科的切除にて診断がなされることもある。まれな病変であるため,そのまとまった画像所見の特徴や報告は少なく,その自然経過についてあまり知られていないのが現状である。今回,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)を背景とした多発NLHの自然経過を追うことのできた1例を経験したため,文献的考察を加え報告する。

  • 文献概要を表示

bronchopulmonary foregut malformation(BPFM)は,前腸由来である気道・肺・上部消化管の形成異常を合併したまれな疾患で,発見時の年齢や症状は形成異常の範囲や気道と消化管の交通の程度,合併奇形により様々である1)2)。成人後に発見されたBPFMの2例を経験したので,その画像所見について報告する。

--------------------

文献紹介

目次

英文目次

次号予告

投稿規定

編集後記

基本情報

00099252.66.01.cover.jpg
臨床放射線
66巻1号 (2021年1月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0009-9252 金原出版

文献閲覧数ランキング(
2月22日~2月28日
)