I.はじめに
Kugelberg-Welander syndrome(以下K-W)は,Wohlfart40))およびKugelberg,Welander12)らによって筋ジストロフィー症から分離独立された,本来は常染色体性劣性遺伝,若年発症かつ近位筋優位の脊髄性筋萎縮症であるが,その後,数多くの症例,とくに成人発症例28,34),遺伝形式の異なる例11,13,35),錐体路徴候を有する例18,22,23),さらには,遠位筋に萎縮の強い例14,19,37)などの集積により,次第にその概念も拡大され,今日では,明瞭な概念をもつ疾患単位としてよりは,筋萎縮性側索硬化症(ALS),Aran-Duchenne型進行性筋萎縮症(SPMA),神経原性肩甲下腿筋萎縮症(NSPA),Werdnig-Hoffman病などと,それぞれ密接な関連を有する広範囲な病型を包含する1症候群として扱う考え方が強くなって来ており,上記の諸異型例を含めて,広義のK-W37),Atrophia musculorum spinalis pseudomyopathica3)あるいはchronic spinal muscular atrophy18,19,22)などとも称されている。