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多発性硬化症はGarrisonによれば1838年Carswell1)によって初めて記載された疾患で,ほぼ同時代にCruveilhier2)も4例の症例を報告しているという。しかしながら多発性硬化症の臨床を詳細に報告し,本症を確立したのは1868年Charcot3)が最初であるといわれている。本邦における多発性硬化症の報告は1954年冲中ら4)によって行なわれたものであるが,それまで本邦に多発性硬化症が存在しなかったか否かという点については多少疑問も残されている。しかしながら1954年以来本邦においても多発性硬化症を含めて脱髄の研究がきわめて活発となり,種々の報告がなされるようになった。最も興味あることはこれらの研究の過程において,1)本邦においては多発性硬化症が欧米に較べてきわめて低いということ,2)神経病理学的検索によれば視束脊髄炎,いわゆるDevic病の頻度がきわめて高く,このことが本邦における脱髄性疾患の特徴であるという意見である。
In spite of the previous studies of low prevalence rate of multiple sclerosis in Japan, located bet-ween latitudes 30° and 45°, increased incidence of multiple sclerosis in our clinic has been observed in the last several years. During the last 18 years the total number of patients with demyelinating diseases diagnosed in our depart-ment was 118 cases. They consisted of 111 patients of multiple sclerosis, 5 of acute disseminated encephalomyelitis (ADEM) and 2 of Devic's disease.
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