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はじめに
slow virus infection(以下SVIと略称)という概念が,ヒトの神経疾患に適用されるようになった最初のいきさつは,1957年以降,Gadjusekら1)を中心とするNIHグループの研究成果といえる。それはニューギニアのFore族に優発する進行性小脳変性症を中核とするKuruを,チンパンジーをはじめとする霊長類に継代的にtransmitでき,さらにその後,ヒトの初老期精神病のカテゴリーに属するCreutzfeldt-Jakob病(以下C-J-Dと略称)についても,同様の成功をおさめた諸業績が,その基盤となっている。しかしこの一見,奇異にもみえる動物実験への発想は,もともとヒツジのScrapieのそれに由来していた。なぜなら,進行性小脳症状と神経性内分泌異常を示すScrapieの脳を,健康なヒツジ脳に移植することによって,後老にも前者同様の疾患を再現させたSigurdssonの業績2)がそれで,1954年,かれ自身が,すでにSVIの概念を提唱していたからである。
The two main groups of nervous system disorders, i.e., slow transmissible diseases and slow infectious onset with conventional viruses, can be classified in regard with the concept of slow virus infections (SVI) which has originally been claimed by Sigurdsson, Gadjusek et al.
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