--------------------
編集後記
山本 伸一
pp.214
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203297
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
2023年2月号の特集は,「運転と地域での移動支援」である.運転作業療法の実践は,この数年で飛躍を遂げてきた.障害があっても,また高齢者であっても,地域においての移動,とりわけ車の運転は,生活圏の拡大に必須の一つである.日本作業療法士協会は,2016年に「運転と作業療法委員会」を創立し,地域における移動支援を推進してきた.事例集やパンフレット・教育教材の作成等,さらには重点課題研修等での普及活動を行っている.各都道府県士会においては,運転支援の窓口を設置し,協会-士会の協力関係で本事業を進めているところである.今回の特集論文を参照していただきたい.
一方では,課題も山積である.運転作業療法には欠かすことのできない「実車訓練」.その指定教習所での実施については,全国的にある程度の増加を確認しているが,「作業療法士の勤務先の方針,費用対効果等」の問題から躊躇している病院・施設も多いだろう.また,指定教習所の本件に対する体制の格差があることも問題になっている.私が勤務している地域においても同様だ.患者の地元の複数の教習所に電話連絡をすると,「患者の実車はだめ,作業療法報告書の提出もだめ,OTの同席もだめ」と返答されることがあった.「意見をうかがうことのみ可能」ということもあった.また,別の指定教習所では,OTの同席を含めて,すべてに協力的なところもある.このときには,スタッフと「やった! いける!」と喜んだのを記憶している.まだまだ浸透していない現実だ.OTが自ら足を運び,お願いすることも必要であることを実感している.
Copyright © 2023, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.