- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
今月の特集は,「回復期リハビリテーション病棟の質—ICFに基づいた作業療法」である.2000年(平成12年)に回復期リハビリテーション病棟は誕生した.それは日本独自の仕組みであり,画期的な導入であった.さらに,本特集でも執筆いただいた医療法人社団 輝生会の現会長である石川 誠氏が中心となって,全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会(現回復期リハビリテーション病棟協会)が設立された.あれから18年.回復期リハビリテーション病棟に勤務する新人OTの数が右肩上がりに増加した.若いエネルギッシュなパワーをもっているという素晴らしさの反面,人材育成の課題に直面したこともあって,現場や各団体での新たな臨床教育の検討を余儀なくされた.一方,ADLは作業療法の特化した専門分野であると自負していたものの,病棟へ出向くことが少ない現状から,診療報酬では「ADL加算」も導入された.これらは,質の担保を問われてきた歴史である.回復期リハビリテーション病棟が,作業療法をけん引してきた側面があるように感じるのは私だけであろうか.特集のそれぞれの論文は読みごたえがある.なぜなら,その歴史の結果であるからだ.今後の当病棟の展開に期待がかかる.
またニュース速報では,日本作業療法士協会の中村春基会長より「新定義を活かす」と題しご寄稿いただいた.1985年(昭和60年)以来の33年ぶりの作業療法定義の改定である.「作業療法は,人々の健康と幸福を促進するために,医療,保健,福祉,教育,職業などの領域で行われる,作業に焦点を当てた治療,指導,援助である.作業とは,対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す.」(註釈は5文)何とも深い.「人々の健康と幸福」という目的・価値観までが作業療法の範疇である.責任をもって,目の前の対象者にそのように取り組んでいるかを問いたい.私たちは作業療法士.その責務に対してプライドをもって臨床に取り組もう.私たちにしかできないことがある.未来を創りましょう.
Copyright © 2018, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.