編集後記

　今月の特集テーマは，「24時間コンセプトの作業療法」．作業療法は，個別訓練をして終わるのではなく，24時間絶えず生活に密着することが当然であるならば，何ら不思議はないテーマである．しかしながら，業界ではこれまでになかった新しい用語で表現してみると，なんだか新鮮な印象をもつ．総論から各分野で紹介された事例等はとても興味深い．私自身，OTとして臨床現場に立っているが，今回の特集も臨床家にとって，また人として，自分の成長を後押ししてくれる．本当にありがたい．「作業療法，人，環境，生活，生きがい」．そんなキーワードが，頭に浮かぶ．ぜひ，熟読していただきたい．

　「提言」の玉垣氏の言葉も素敵．39年のOTとしての生き様を振り返っている．「相手の身体や認知機能，心の状態を自分自身の感覚で受け止め考えるということは，どんな評価表を埋めることより大切だと思う」．本当にそうだ．人間対人間．人間を治療するのは，人間である．人間であるゆえの感覚，その感性は作業療法にとって大切な背景だと思う．氏は，作業療法の魅力を述べ，最後に「いずれさまざまな事情で作業療法士ができなくなる日が来る．そのときに多くの後悔を残さないよう，おのおのが自分の作業療法を実践していけることを心から願っている」と締めくくっている．感謝．