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2015年度(平成27年度)の介護報酬改定では「活動と参加」という文言が随所に盛り込まれた.画期的な改定であったと思う.その前年度には,10年前の厚生労働省による「高齢者リハビリテーション研究会」の見直しとして,「高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会」が計5回開催された.一般社団法人日本作業療法士協会の中村春基会長は,同検討会に出席され,「生活行為向上マネジメント」の素晴らしさを訴え続けた.私は同協会の制度対策部長として,傍聴席でそれを見守っていた.その1年間は,介護報酬改定で「生活行為向上マネジメント」を日本に広げられるかどうかの勝負の年.社会保障審議会(介護給付費分科会)では,「理学療法と作業療法の違いがわからない」等のびっくりするような質問が投げかけられる場面もあり,国民からのリハ専門職の理解の低さも露呈した.“リハビリテーションは,まだまだだ”.そう感じた.とにかく,今後10年間は検討会が行われない.10年間を見据えて,そして翌年の介護報酬改定のために「生活行為向上マネジメント」をご理解いただかなければならなかった.同協会が,各種団体・要人の方々への渉外活動をフル回転したのを覚えている.
2015年4月,「生活行為向上リハビリテーション」が誕生.それまでの苦労が実った瞬間であった.「生活行為」という文言は,これからも使われ続けるだろう.作業療法は,「生活行為を支援する」職種である.本号では通所リハビリテーション事業所での取り組みや多職種連携の実際について報告いただいている.私たちOTのあり方を再考し,しっかりと役割を全うしなくてはならない.今後は,介護報酬分野だけでなく診療報酬や障害者自立支援法・児童福祉法まで,つまり,障害者のすべてのStageで,そして小児から高齢者までが「生活行為向上」のための作業療法を受けられること.目指しましょう.私たちだからできること.未来を創りましょう.
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