Japanese
English
綜説
心筋梗塞の生化学的診断法
Biochemical methods in the diagnosis of myocardial infarction
矢崎 義雄
1
,
永井 良三
1
Yoshio Yazaki
1
,
Ryozo Nagai
1
1東京大学医学部第3内科
13rd Dept. of Int. Med., Univ. of Tokyo
pp.1348-1357
発行日 1980年12月15日
Published Date 1980/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203678
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1954年,LaDueらが急性心筋梗塞の患者の血清においてglutamic oxaloacetic transaminase (GOT)活性が上昇することをはじめて報告して以来1),虚血による心筋障害によって心筋細胞から血中に流出する酵素の活性を測定することにより心筋梗塞を生化学的に診断する方法が開発されるようになった。そして1960年代にはGOTの他にlactic dehydrogenase (LDH)やcreatine phosphokinase (CPK)などの血中活性値が比較的容易に測定できるようになり,またこれら酵素の活性値が急性心筋梗塞の患者血清の90%以上において,上昇することが示され2〜6),このような酵素測定が心筋梗塞の診断法として充分臨床に用いられうる高い感度(sensitivity)を有することが明らかとなった。さらに1970年代になってMarokoらが,心筋梗塞の早期に治療を行うと一部の心筋は壊死を免れ救出できる可能性を示唆し7),治療の評価や予後の判定の観点から,梗塞の診断ばかりでなく梗塞心筋量を算定する方法としても生化学的診断法が注目されるようになった。
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