臨牀透析 41巻8号 (2025年8月発行)

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特集　定期検査＆結果の評価と対応

本扉 41巻8号 , 2025年8月 , pp.769-769

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執筆者一覧 41巻8号 , 2025年8月 , pp.770-770

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序文西　慎一 41巻8号 , 2025年8月 , pp.771-772

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外来透析患者の定期検査に関するアンケート 41巻8号 , 2025年8月 , pp.773-775

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目次 41巻8号 , 2025年8月 , pp.776-782

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Ⅰ　透析患者の定期検査―その目的と意義そしてコスト西　慎一 41巻8号 , 2025年8月 , pp.783-788

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・定期検査の目的と意義は，透析患者の合併症の特徴である無症状進行を意識して実施する点にある．

・合併の特徴である変動性，加齢性変化，栄養依存，高い悪性腫瘍発症頻度も意識して定期検査をすべきである．

・透析合併症は多様であり，それぞれの合併症に適した検査が必要である．

・現在の透析施設での平均検査コストは，概ね透析医療費請求合計の1.8〜1.9％である．

Ⅱ　透析患者の定期検査と診療報酬・保険審査山川　智之 41巻8号 , 2025年8月 , pp.789-795

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・「安定期慢性維持透析の保険診療マニュアル」は透析医療の標準化を目標に日本透析医会が策定した．

・現状保険診療マニュアルの内容は陳腐化しているが，改訂に踏み切れないいくつかの理由がある．

・日本透析医会が主催する透析保険審査委員懇談会では保険審査委員が審査内容の情報共有を行っている．

・支払審査機関では，全国的に審査基準の統一化を進めている．

Ⅲ　透析導入時の検査項目橋本　幸始 , 上條　祐司 41巻8号 , 2025年8月 , pp.797-803

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・透析導入は医療従事者，患者にとって一つの節目である．その後の透析生活を安定して行うために現状を評価し，栄養や服薬などを見直すタイミングである．

・透析室での感染対策としての検査も重要である．

・これら両方の視点から必要と思われる検査を行っておくことが予後の改善や感染対策に有用と思われる．

Ⅳ　年間定期検査スケジュール①血液透析患者中道　崇 , 藤倉　恵美 , 宮崎　真理子 41巻8号 , 2025年8月 , pp.805-810

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・外来透析患者の定期検査は健康状態の把握と治療管理のため非常に重要である．

・鉄代謝に関わる薬剤の使用機会が増え，鉄代謝マーカーの重要性は増している．

・高効率のHDF実施の効果を評価する検査の必要性が増している．

・心臓死リスクを，生体検査，検体検査を広く併用して定期的に評価する

Ⅳ　年間定期検査スケジュール②腹膜透析患者椎名　裕城 , 丸山　之雄 41巻8号 , 2025年8月 , pp.811-819

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・定期的な身体検査と血液検査で全身状態を評価する．

・透析効率の評価と腹膜機能検査を定期的に実施する．

・画像検査で心血管系や骨代謝異常を早期発見する．

・個々の患者に応じた検査調整と結果の総合評価が重要である．

Ⅳ　年間定期検査スケジュール③在宅・長時間透析患者東　昌広 41巻8号 , 2025年8月 , pp.820-824

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・在宅・長時間血液透析患者の年間検査スケジュールは基本的には週3回4時間の血液透析と同じである．

・長時間透析では貧血の改善が良くESAの必要量は少ない．

・長時間透析ではリンの管理が容易でリン吸着薬の服用量は少ない．

・長時間透析ではカリウム制限はきわめて緩やかでカリウム吸着薬はほとんど不要である．

・長時間透析患者には肥満が多く肥満パラドックスの観点から良好な生命予後と関連している可能性がある．

Ⅴ　検査結果の評価と対応①透析前後採血で何をみるのか中井　滋 41巻8号 , 2025年8月 , pp.825-830

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・透析効率評価指標：Kt/V（spKt/V，eKt/V，stdKt/V），尿素除去率（URR）

・栄養評価指標：標準化蛋白異化率（nPCR），％クレアチニン産生速度（％CGR）

・バスキュラーアクセス評価指標：クリアランスギャップ（CL-Gap）

・血管の水透過性評価指標：plasma body weight index（PWI），血管透過性係数（mean Kr）

・体液量指標：尿酸動態モデル（URAK法）による細胞外液量，細胞外液量

Ⅴ　検査結果の評価と対応②電解質に関する定期検査中井　健太郎 41巻8号 , 2025年8月 , pp.831-836

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・血清ナトリウム値は140 mEq/Lから低下するほど透析患者の生命予後は不良となる．

・血清カリウム値は季節性に変動し，低カリウム血症は生命予後に関連する．

Ⅴ　検査結果の評価と対応③末梢血・鉄に関する定期的検査倉賀野　隆裕 41巻8号 , 2025年8月 , pp.837-841

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・末梢血検査には診断・治療に必要な情報が豊富に含まれている．

・鉄の評価はそれぞれの指標の意味を理解し治療に活かす．

・貧血悪化時には安易に治療薬を増量せず，原因精査が必要．

Ⅴ　検査結果の評価と対応④CKD-MBDに関する定期検査藤井　直彦 41巻8号 , 2025年8月 , pp.842-849

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・CKD-MBDの管理は単一の指標や治療法に依存するものではない．

・患者の複雑な病態を総合的に判断し，個々の特性に応じたテーラーメイドなアプローチが重要．

・適切な病態把握のためには，経時変化を捉える目的で，時には治療介入に合わせて調節しながら定期的に検査を行うことが重要．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑤肝機能に関する定期検査三好　人正 , 水口　潤 41巻8号 , 2025年8月 , pp.850-857

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・透析患者の血清トランスアミナーゼは腎機能正常者より低値を示す．

・ウイルス肝炎は，透析施設において院内感染対策でとくに注意が必要な感染症である．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑥糖代謝に関する定期検査西　慎一 41巻8号 , 2025年8月 , pp.858-862

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・透析患者の血糖値は透析時に変動しやすい．透析前後あるいは透析中の血糖値を測定する必要がある．

・血糖管理マーカーとしては，随時血糖とグリコアルプミン（GA）測定が推奨される．GAは月1回程度測定する．HbA1cは参照値として利用する．

・インスリン製剤を使用中の場合，透析開始前の随時血糖値（透析前血糖値）と透析後の随時血糖値を毎回測定することが推奨される．経口血糖降下薬を使用中の場合，透析前血糖値を週1回測定することが望ましい．

・インスリンあるいは血糖降下薬で管理する場合，患者の年齢や糖尿病の病態にあった薬剤の選択が必要である．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑦栄養指標に関する定期検査田中　舞 , 蒲澤　秀門 , 細島　康宏 41巻8号 , 2025年8月 , pp.863-870

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・NRI-JHおよびGNRIは，透析患者の低栄養を評価するための有用な指標である．

・栄養障害とサルコペニアの併存は死亡リスクの上昇と関連する可能性があり，多職種による介入の必要性が示唆される．

・GLIM基準は栄養状態の包括的な指標であるが，CKD患者特有の症状が評価に影響する可能性を留意する必要がある．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑧肝炎・梅毒に関する定期検査高橋　大栄 , 安藤　亮一 41巻8号 , 2025年8月 , pp.871-876

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・外来透析患者では，HBs抗原，HBs抗体，HBc抗体，HCV抗体を6カ月に1回測定することが推奨される．

・HBV DNA，HCV RNAの測定は確定診断や活動性評価などの際に行う．

・外来透析患者では，スクリーニングを目的とした梅毒の定期検査は不要である．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑨甲状腺機能に関する定期検査山田　英行 , 湯浅　玲奈 , 酒井　謙 41巻8号 , 2025年8月 , pp.877-883

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・透析患者では全身倦怠感や易疲労感，浮腫，息切れなど甲状腺機能異常で認める症状が，透析での血圧低下，体液量過剰，透析不足の場合にも共通して認められるため，甲状腺機能異常が見逃されていることがある．

・説明が難しい体重の増減や原因不明の倦怠感，甲状腺機能異常をきたす薬剤などを内服している際には甲状腺機能を評価し，定期的なモニタリングが重要である．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑩クレアチニン・尿素窒素・尿酸・脂質に関する定期検査稲熊　大城 , 立枩　良崇 41巻8号 , 2025年8月 , pp.884-889

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・血清クレアチニン濃度とそれを用いた指標によって筋肉量や栄養状態を評価できる．

・尿素窒素とそれを用いた指標によって透析量を評価できる．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑪透析効率に関する定期検査甲田　豊 41巻8号 , 2025年8月 , pp.890-896

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・Kt/Vの適切性は週3回透析においてのみ評価可能で，もともと透析不足に警鐘を鳴らすものであり至適値は未だ不明である．

・透析時間はKt/Vとは独立した重要な因子であり，その長さは中分子除去，水分除去，循環安定性，炎症反応などに影響していることを認識する．

・透析効率は，目標志向型透析や緩和透析においては患者中心に個別に設定することもある．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑫β₂-ミクログロブリンの測定山本　卓 41巻8号 , 2025年8月 , pp.897-901

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・β₂-ミクログロブリンは中分子のウレミックトキシンであり，透析患者の生命予後や透析アミロイドーシスなどに関連する．

・β₂-ミクログロブリンを効率的に除去する血液浄化療法としてⅡa，Ⅱb型ダイアライザを使用した血液透析，血液透析濾過やβ₂-ミクログロブリン吸着カラムが使用されている．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑬微量元素の測定脇野　修 41巻8号 , 2025年8月 , pp.902-908

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・透析患者で欠乏症を認める微量元素はZn，Se，Mnである．

・血清Zn値60 μg/dL未満でZn欠乏，60〜80 μg/dLで潜在性Zn欠乏と診断する．Zn補充時は数カ月に1回採血し銅も測定し用量を調節する．

・Se欠乏症は血清濃度は成人では10 μg/dL以下が基準となる．ESPENガイドラインでは，結果に応じて，少なくとも3〜6カ月に1回の測定が推奨されている．

・Mn欠乏症は臨床的にあまり問題にされない．

・CuはZn濃度との逆相関の関連に注意し，健常人のCuおよびZnの正常血中濃度はCu 63.5〜158.9 μg/dL，Zn 80〜120 μg/dLとされる．

・Al血清濃度は20 μg/L以上で中毒域に入り，血清Al濃度≧60 μg/Lは中毒症とされている．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑭CRP・免疫グロブリン・補体の測定松岡　奈央子 , 西尾　妙織 41巻8号 , 2025年8月 , pp.909-914

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・CRP陽性では感染症・悪性疾患の検索が必要．

・補体高値では慢性炎症など，補体低値では自己免疫疾患などを鑑別．

・免疫グロブリン高値では慢性炎症，多発性骨髄腫など，低値では低栄養などを鑑別．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑮尿検査祖父江　理 41巻8号 , 2025年8月 , pp.915-919

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・とくに腹膜透析患者では，尿量の評価は残存腎機能評価に有用である．

・肉眼的血尿は感染症，囊胞出血，膀胱癌などを疑う．

・透析患者の膿尿は尿路感染症以外にも出現し，腎結核も考慮する必要がある．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑯胸部写真による定期検査園田　裕隆 , 伊藤　孝史 41巻8号 , 2025年8月 , pp.920-924

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・胸部X線検査は透析患者における定期検査として広く実施されている．

・循環血漿量の評価では，ほかの指標と併せて総合的に評価が必要である．

・肺癌や結核など，偶発的に見られる所見にも留意が必要である．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑰胸部CTによる定期検査髙谷　美秀 , 辻　清和 , 西野　友哉 41巻8号 , 2025年8月 , pp.925-930

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・胸部CTを定期検査とするかどうかは個々の患者のリスクに基づき適応を慎重に考慮する．

・重喫煙歴のある50〜74歳の患者については肺癌検診としてメリットが上回る可能性がある．

・結核感染者には発病の有無の検査のために胸部CTが有用である．

・その他の透析患者においては臨床症状などに応じて胸部CT施行を検討すべきである．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑱腹部CTによる定期検査森　克仁 41巻8号 , 2025年8月 , pp.931-936

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・長期透析患者では多囊胞化萎縮腎に伴う腎細胞癌の頻度が高く，腹部CTをはじめとする定期的な画像検査による早期発見・早期治療が重要である．

・定期的な腹部CT検査では，大動脈の石灰化，大腰筋の骨格筋量なども確認できる．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑲頭部CT・頭部MRIによる定期検査玉城　裕行 , 鶴屋　和彦 41巻8号 , 2025年8月 , pp.937-943

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・透析患者では脳血管障害の発症率が高く，脳の萎縮の進行が速い．

・透析中の急激な血圧低下はラクナ梗塞や脳の萎縮に関連している．

・頭部MRIで微小脳出血がみられた際には脳出血の発症予防が重要である．

Ⅴ　検査結果の評価と対応⑳骨密度に関する定期検査梶尾　知信 , 米村　耀 , 小岩　文彦 41巻8号 , 2025年8月 , pp.944-949

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・透析患者の定期検査にて骨密度はDXA法，骨代謝は血清ALP値を一指標とする．

・脆弱骨折の既往・YAM（＜70％）・血清ALP値を参考に治療介入を検討する．

・生活習慣の是正に加えて，calcimimeticsを中心とした投薬を行い，必要に応じてPTxや骨粗鬆症薬の追加を行う．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉑骨のX線検査風間　順一郎 41巻8号 , 2025年8月 , pp.950-953

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・無症状で骨のX線画像に変化が生じ，ほかに有用な検査方法もなく，放置すればさらに症状の増悪に繫がるような病態がスクリーニング検査の好適な対象となる．

・椎骨圧迫骨折と透析アミロイドーシス関連骨症がこの条件を満たす．

・疾患の頻度とアプローチの容易さを考慮すれば，胸部単純X線の側面像を年に1回程度撮影することが推奨される．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉒心電図による定期検査河野　圭志 41巻8号 , 2025年8月 , pp.954-960

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・定期安静時12誘導心電図は最低1年に1回は行うことが推奨されている．

・定期的な心電図検査の意義は虚血性心疾患と不整脈の確認が主である．

・もともと心電図変化を有する患者が多く，経時的な変化に目を向けることが重要である．

・虚血性心疾患は無症候性で，非典型的な心電図変化であることが多いため，注意が必要である．

・不整脈を見た場合は，その誘因の確認も行うことが望ましい．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉓頸動脈エコーによる定期検査加藤　明彦 41巻8号 , 2025年8月 , pp.961-969

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・動脈硬化性疾患の合併リスクが高い慢性腎臓病（CKD）患者では，頸部エコー検査の適応がある．しかし現時点で，CKD患者に定期的な頸部エコー検査を行うことの有用性は不明である．

・一般人口では，生活習慣病があると頸動脈内中膜厚（IMT）が肥厚し，治療介入によってその進行度が抑制される可能性がある．

・脳梗塞や一過性脳虚血発作の既往のある患者において，50％以上の頸動脈狭窄を認めた場合は頸動脈内膜剝離術（CEA）の適応について検討する．

・透析患者においても，IMT肥厚およびプラークは生命予後と関連する．しかし，IMTおよびプラークの進展を抑制することで，その後の臨床的アウトカムが改善するかは不明である．

・透析患者の頸動脈狭窄症に対するCEA治療は，長期的な生命予後に対して有効な可能性がある．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉔心エコーによる定期検査常喜　信彦 , 田中　友里 41巻8号 , 2025年8月 , pp.970-975

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・TTEは，症候，理学所見，検査初見から，心疾患が疑われたときには，積極的に行う．

・まず，左室収縮能，左室拡張能，肺高血圧を確認する．

・体液量過剰は，TTE所見に影響することを認識して，検査を行う時期を考える．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉕バイオインピーダンス（体組成計）北村　健太郎 41巻8号 , 2025年8月 , pp.976-983

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・体組成検査の目的は，①体組成変化の把握，②栄養評価，③体液量評価，DWの推定である．

・得られる値は推定値のため，機種特性や回帰式，研究報告との整合を踏まえ数値を解釈すべき．

・（1）OH，（2）細胞外水分比（ECW/TBW），（3）水和率（TBW/FFM）の3指標から体液量評価が可能．

・測定条件を揃え，透析後の適正DWに近い状態で測定するのが望ましい．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉖透析シャントに関する検査高井　亮 41巻8号 , 2025年8月 , pp.984-989

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・安定した透析実施のため，VAトラブルの早期発見・適切な治療は必須である．

・VAトラブルの多くは狭窄が原因であり，超音波検査は非常に有用である．

・AVF，AVGそれぞれの開存率を意識した，超音波検査によるフォローが望ましい．

・超音波検査結果は，適切な技術・知識をもとに行われたものであるか，理学所見と一致しているかを確認すべきである．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉗フットケアに関する検査岡　真知子 , 日髙　寿美 , 小林　修三 41巻8号 , 2025年8月 , pp.990-997

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・透析患者ではLEADの合併率が高く，早期発見と介入が重要である．

・ABIやTBI，SPPなどを組み合わせた定期的な血流評価が推奨される．

・足病変のリスク評価とフットケア介入により潰瘍発生率が有意に低下する．

・治療は薬物・血管内治療・LDL吸着療法や高気圧酸素療法などを組み合わせた集学的対応が必要である．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉘サルコペニア・フレイルに関する検査上月　正博 41巻8号 , 2025年8月 , pp.998-1003

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・「生活活動」と「運動」を合わせた身体活動の質・量が低下しており全身に影響を及ぼした状態を身体不活動症候群という．

・身体不活動症候群ではサルコペニア，フレイルを生じやすい．

・慢性腎臓病では腎機能が低下するほどサルコペニア，フレイルの割合が高くなる．

・サルコペニア，フレイルの予防・治療には身体不活動を回避することと必要なエネルギー摂取が必要である．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉙腫瘍マーカーと便潜血検査松原　雄 41巻8号 , 2025年8月 , pp.1004-1009

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・慢性維持血液透析患者の腫瘍マーカーは腎機能正常患者と比較して高値をとるものもある．

・腫瘍マーカー単独ではなく，画像検査などを組み合わせた診断を行うことが重要である．

・大腸癌診断のための便潜血検査は透析患者でも有用であるが，偽陽性に注意する．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉚心臓バイオマーカー（BNP，NT-proBNP，ANP）小川　哲也 , 平澤　慧里子 , 西沢　蓉子 41巻8号 , 2025年8月 , pp.1010-1015

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・BNP，NT-proBNPは，心不全，左室肥大，左室収縮障害の指標として使用される．

・ANPは透析後の測定でドライウエイトの指標として用いられる．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉛凝固系検査浜田　隆行 , 清水　泰輔 , 長谷川　元 41巻8号 , 2025年8月 , pp.1016-1022

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・血液透析における抗凝固薬の特徴と使用方法を確認する．

・抗凝固薬に伴う問題点，注意点と合併症を確認する．

・抗凝固薬に関連した疾患を確認する．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉜オーラルフレイル，口腔衛生牧野　真也 , 平賀　恵子 , 天満　美樹 , 伊奈　研次 , 古賀　俊充 , 太田　圭洋 41巻8号 , 2025年8月 , pp.1023-1028

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・常在菌感染症である歯周病は完治しない．

・口が成長の起点であり，口腔体操が重要．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉝透析患者とMCIを含む認知機能検査平松　信 , 角南　玲子 , 丸山　啓輔 41巻8号 , 2025年8月 , pp.1029-1033

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・透析患者では脳血管障害を含む合併症により認知機能低下が生じやすい．

・認知機能障害は，各種検査と臨床的評価により診断される．

・認知機能検査により類推可能な疾患がある．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉞眼底検査松岡　友実 , 洲之内　千尋 , 阿部　雅紀 41巻8号 , 2025年8月 , pp.1034-1041

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・透析患者にみられる眼科疾患として，糖尿病網膜症，網膜中心静脈閉塞症，腎性網膜症，高血圧性網膜症，網膜剝離，白内障，緑内障，黄斑変性などがある．

・視力障害を認めた場合は速やかに眼科へ紹介する．

・糖尿病網膜症の発症・進行を阻止するうえで，血糖コントロールが良好な症例でも，1年に少なくとも1回は眼科で眼底検査を受けることが望ましい．

・すでに糖尿病網膜症が発生している場合は，2〜3カ月に1回の定期受診が推奨される．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉟透析管理に必要な検査　a．水質・透析液に関する定期検査星野　武俊 , 芝本　隆 41巻8号 , 2025年8月 , pp.1042-1048

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・透析用水と透析液の生物・化学的汚染に関しては「2016年版透析液水質基準」を遵守する．

・残留塩素の管理には総塩素濃度を測定し0.1 mg/L未満で管理する．

・透析液濃度は認証された透析液成分濃度測定装置で測定し適切に管理する．

Ⅴ　検査結果の評価と対応㉟透析管理に必要な検査　b．透析排水の検査内野　順司 41巻8号 , 2025年8月 , pp.1049-1055

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・透析排水は施設のある地域によって下水道供用区域と下水道供用区域外に分けられる．

・透析施設から下水道法基準を著しく逸脱した酸性排水によって下水道管損傷事故が発生した．

・関連団体より「2019年版透析排水基準」が提示されている．

・臨床現場で具体的管理方法として「2019年版透析排水基準達成のため手順書」がある．

・適正な排水管理のために四つの方法が示され，その後の管理が重要である．

索引 41巻8号 , 2025年8月 , pp.1056-1059

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奥付 41巻8号 , 2025年8月 , pp.1060-1060

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基本情報

臨牀透析
41巻8号
(2025年8月発行)

電子版ISSN：2433-247X 印刷版ISSN：0910-5808 日本メディカルセンター

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第8位第3章　AVF作製と管理の実際　1　AVFの部位選択，AVFの標準法と変法春口洋昭臨牀透析 38巻 7号 pp. 739-745 (2022年7月10日) 日本メディカルセンター
第9位 5．ネフローゼ症候群―難治性ネフローゼ症候群へのLDLアフェレシス療法対象疾患の保険適応拡大による新たな展開武曾惠理臨牀透析 40巻 13号 pp. 1617-1623 (2024年12月10日) 日本メディカルセンター
第10位目次臨牀透析 41巻 11号 pp. 1277-1278 (2025年10月10日) 日本メディカルセンター

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