特集 求められる腎不全患者の緩和ケアとその人らしさのケア―あるべき姿を再考する
5.保存的腎臓療法を選択した患者を外来から在宅療養へつないだ1事例
高井 奈美
1
1名古屋大学医学部附属病院看護部・慢性疾患看護専門看護師
キーワード:
保存的腎臓療法
,
保存期CKD
,
緩和ケア
,
その人らしさ
,
生活者としての支援
Keyword:
保存的腎臓療法
,
保存期CKD
,
緩和ケア
,
その人らしさ
,
生活者としての支援
pp.906-912
発行日 2026年9月10日
Published Date 2026/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003917
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保存的腎臓療法を選択した90歳代女性に対し,保存期CKD外来で継続的な意思決定支援と症状緩和,在宅療養への移行支援を行った事例を紹介する.患者は糖尿病性腎症により腎機能が緩徐に低下し,CKD G5期となり,医師より透析療法について説明を受けたが,「この年齢から透析をしてまで長く生きたいとは思わない」「家で過ごしたい」と語り,透析導入を希望しなかった.医師はCKD看護外来の看護師に本人の気持ちを整理してほしいと依頼した.看護師は本人の選択を治療拒否ではなく,本人の価値観に基づく治療選択として受け止め,病期に応じた継続的な意思確認を行った.腎不全の進行に伴う嘔気,倦怠感,瘙痒感,浮腫,呼吸苦などの身体的苦痛に加え,死への不安や家族への負担感といった精神的・心理的苦痛にも着目した.さらに,訪問診療,訪問看護,通所介護,福祉用具,配食サービスなど保存期CKD外来で把握した本人の価値観や療養希望をもとに,地域で支える体制づくりを行った.本事例を通して,外来から在宅へつなぎ合わせる調整は,保存的腎臓療法を選択した患者を生活者として支える緩和ケアそのものであると考えられた.

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