臨床皮膚泌尿器科 6巻5号 (1952年5月発行)

選択した文献の文献概要を表示する書誌情報をダウンロードする

すべて選択

皮膚科圖譜・16

敗血症性膿瘡／皮膚腺病山田　實 6巻5号 , 1952年5月 , pp.207-208

PDF(4932KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　24歳，男，昭和22年右第1趾が化膿し壊疽性となり，瘢痕治癒した。以後屡々同樣の化膿巣が下肢，腰部等に多發，その都度ペニシリシ，オーレオマイシンで一應は治癒した。特に本年1月以來頸，腰，下肢に初め硬結を伴つた紅斑乃至小膿疱が頻々として發生，その多くは中心部壊死して，邊縁鋭利な，底面は膿に蔽われた深い潰瘍と變じた。引績き39℃の弛張熱があり，血液培養で連鎖状球菌陽性，組織學的に潰瘍深部の器質化した靜脈腔内に連鎖状球菌を認めた。一時ズプロナールが奏効したが，その後無効，発身衰弱し，古鎖骨上の潰瘍深部から出血著しく，辛うじて止血したが，その後終に死亡。血液培養及組織所見から表題の診斷を下した。

--------------------

再び潰瘍性尿道側患炎（佐藤（恒）氏の閉鎖性内尿道側管炎）に就て田林　綱太 , 大井　鐵太郎 , 佐々木　壽 6巻5号 , 1952年5月 , pp.209-212

PDF(3972KB)

有料閲覧

文献概要を表示

I緒言

　近代の化學療法特に抗菌性物質の出現により淋疾の災害は非常に輕度となつた事は周知の事實であるが，然し是に依つて未だ完全に撲滅し盡す迄に至つていないことも事實である。

　即ち慢性淋として存在するものが相當數ある。茲に前立腺の問題は暫く措き，尿道淋で其經過を最も惡くし且つ實際の治療上各種の藥物其他の治療に拮抗し，又將來の狭窄等に關係のあるものとして先ず第一に堅げられるものに本症がある。然るに本症の研究業績の尠いのは，其成立が時期的に不明瞭である事，尿道は随時に随所を摘出する事が困難である點等がその原因であると考えられる。余等は茲に本症の2例を詳細に觀察の上摘出する事が出來たので既に田林の報告した症例と對比して再び本症の検討を試み，各位の教示を仰ぐ次第である。

Restamin-Solbaseに依る皮膚患者治療成績原田　儀一郎 , 石田　竹二 , 石本　光秋 , 武田　裕壽 6巻5号 , 1952年5月 , pp.213-216

PDF(3202KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　我々はCarbowaxを用いて濕潤性皮疹の治療を開始するうち，これと同一組成のSolbaseを得た。偶々興服産業から鹽基性レスタミンの提供をうけたので，1.0％の割合に混和して各種皮膚疾患就中濕潤性皮膚疾患に試用してその治療効果を検した。CarbowaxもSolbaseも共に化學式はPolyethylenglycolで分子量1500のものを主としただ混和の割合が異るだけであり使用した基劑がSolbaseであるため上掲題名を用いたが，Carbowaxを基劑としても同じ樣な成績を得たものと思う。

　Restaminは所謂抗ヒスタミン劑の1種であり抗ヒ劑の研究はFourneau及びBovet（1933），Straub及びBovet（1937）に端を發して以來，Halpern（1942）に至つてAnterganが發明されて始めて實用の時代に入り，續いてBovet其他（1944）のNeoantergan，Loaw其他（1945）のBenadryl，Mayer其他（1945）のPyribenzami-ne，Meier（1946）のAntistin，Eoth其他（1947）のHistadyl，Brown及びWerner（1948）のDecapryn，Lehman（1948）のTheophorinの發明に至る迄各種の製品が輩出している。

再び戰後に於ける梅毒の動向に就て竹内　勝 , 麻生　和雄 , 吉野　普 6巻5号 , 1952年5月 , pp.216-220

PDF(3654KB)

有料閲覧

文献概要を表示

I．まえがき

　今回の大戰終了後性病對策は米軍の指示によつて余等の念願とする性病豫防法が次第に活用せられて來たことは喜ぶべきであるが，未だ結核對策の其れに比し微々たるものと言わざるを得ない。性病も其他の傳染病と同じく届出られている筈であるが實際にかゝる僅少な罹病であれば（總人口に對し0.57％）幸いである。しかし性病の届出は結核より多く（＋23％），他の傳染病とは較絶していることは刮目に價する（第1表參照）。

腺性口唇炎殊にPuente型よりBälz-Unna型及びVolkmann型への移行型に就て塚田　進 , 谷田　津奈男 6巻5号 , 1952年5月 , pp.221-225

PDF(5362KB)

有料閲覧

文献概要を表示

緒言

　1950年にWoodburne及びPhilpottはArch-ives of Derm and Syphilisに3例のCheilitisglandularisを敍べ，之をpsychosomatic disor-dersの見地からemotional disturbanceの一表現としている。余らは昭和12年9月以來一婦人の頑固な下口唇炎を觀察し，是がPuenteの單純性腺性口唇炎に由來することを確めた。

尿路結石の研究—第4報　エチレンヂアミン四醋酸鹽による尿路結石の溶解に就て辻　知躬 6巻5号 , 1952年5月 , pp.226-228

PDF(2601KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　尿路結石を藥劑により溶解する研究は古くから試みられている。始めて臨床的に結石溶解に成功したのはCmwell（1924）で，以後Randall（1932），Keyser（1932），Higgins（1936），Albri-ght，Sulkowitch and Chute（1939），Suby，Subyand Albright（1942）等も夫々獨自の方法で成功している。最近最も注目されているのはSuby等の造つた枸櫞酸を主體としたSolution Gである。Keyser，Sherer and Claffey（1948）は更に結石有機構材溶解の爲，Solution GとUrease等の酵素液の併用を應用し優れた結石溶解劑となつたが，臨床的には未だ成績をまとめる所迄には到つていない。

　昨年新しい尿路結石溶解劑として，時を同くしてAbeshouse and Weinberg，Gehres and Ra-ymondが，エチレンヂアミン四醋酸鹽の尿路結石溶解作用に就て報告している。エチレンヂアミン四醋酸（以後EDTAと略す）は1937年I．G．染料會社の特許であり，Calsolなる名稱で知られ，米國ではそのNa鹽をVerseneと稔している。EDTAはすぐれた向水作用を有していて，從來工業方面に應用されてボイラーの罐石溶解劑等に用いられていたものである。

轉移を伴う前立腺癌に就て—保存的療法に關する一檢討佐渡　博 , 後藤　薰 , 大桑　裕 6巻5号 , 1952年5月 , pp.228-232

PDF(4498KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　前立腺の癌腫に關して1898年Albarran及びHalleが，臨床的に前立腺肥大症として診斷せられたものの内，該腺全摘出後組織學的検索に依り癌腫樣變化を呈するものが稀でない事を唱えて以來，該腺惡性腫瘍に關する報告，記載を多數見る樣になつた。

　一方本邦に於ては，明治39年田中，松本の記載があり，爾來可成りの報告を認めているが，猶歐米に比しその報告は尠いものの樣である。

病變を伴える馬蹄鐵腎の3例掃部　俊造 , 小川　一雄 6巻5号 , 1952年5月 , pp.233-235

PDF(3206KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　馬蹄鐵腎は，腎の奇型の中ではさ程稀有ではない。然し，正常腎に比して，諸種の疾患に罹患する傾向は多いとされており，統計上は，結石，水腫，膿腫の順で，結核及び腫瘍の合併例は少い。結核との合併例は外國では，Rathburn（1924）の集めた20例，本邦では，小野氏が自家例を合せて10例を集めている。余等も最近，結石，水腫及び結核を夫々合併する馬蹄鐵腎の3例に遭遇したので，爰に報告する。

レツクリングハウゼン氏病の1皮膚症状に就いて吉松　孝治 , 遠藤　冬雄 6巻5号 , 1952年5月 , pp.235-236

PDF(2066KB)

有料閲覧

文献概要を表示

まえがき

　レツクリングハウゼン氏病は1739年，Ludwig．Tilesius兩氏が始めて記載し，1882年Reckling-hansen氏が所謂多發性神經纖維腫病として詳細に報告した。その後多數の學者により研究され幾多の業績があげられているが其の症状は複雑を極め，多發性の皮膚及び神經纖維腫並に皮膚に於ける皮膚色素異常を主徴候とし，なおこの外毛髪不全，爪の發育不全，歯牙不良，歯牙早期脱落，骨（殊に頭蓋骨又指趾）の一部缺損，生殖器異常，内分泌障碍，皮膚萎縮，筋腫，血管腫，淋巴腺腫脂腺腫，貧血性母斑，植物神經系の異常，月經不順，又月維時の腫瘍腫大，淋巴球，エオヂン好性細胞の増加，代謝機能障碍，血液循環系統に於ける機能異常，精神異常等種々雑多な合併症が記載されている。

　主徴候の皮膚腫瘍は帽針頭大乃至兒頭大稀に成人頭大の柔軟な廣基性或は細莖性の腫瘍として發生し，多くは常色，淡紅色，時に褐色，淡緑色である。又皮膚深部にあつては，青紅，青灰色の色調を示し，或は紫紅色に縁取られ，皮下神經の經路に於て紡錘状，類圓形の稍々硬い腫瘍を觸れ屡々疼痛を訴える場合がある。

精系脂肪腫奧井　重敬 , 增田　圭喜 , 兒玉　和志 6巻5号 , 1952年5月 , pp.237-239

PDF(3075KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　精系腫瘍は比較的稀有の疾患であるが，Rubas-chow （1927）に依ると，精系腫瘍183例中，畸型腫1，中胚葉性腫瘍27，皮樣嚢腫13，ウオルフ氏管嚢腫11，ウ氏管より發生せる癌腫3，脂肪腫57線維腫24，粘液腫1，肉腫24，結合織性嚢腫8，淋巴管腫4，分類不詳腫瘍6となつており，脂肪腫は大體全體の1／3となつている。本邦に於ては大正2年小澤氏の報告を最初として，昭和24年の金子氏の報告まで僅かに10例を算するのみである。

　余等は本邦第11例目の症例を茲に報告すると共に二三の考擦を試み度い。

非典型的なヂユーリング疱疹状皮膚炎の1例持尾　長年 , 高島　義憲 6巻5号 , 1952年5月 , pp.239-241

PDF(2666KB)

有料閲覧

文献概要を表示

患者　深○矩○　8歳

初診日　昭和25年12月14日

小兒に於ける尿道異物行德　公昭 6巻5号 , 1952年5月 , pp.242-243

PDF(2006KB)

有料閲覧

文献概要を表示

I．緒言

　尿道異物は好奇心，過失，手淫等により外尿道口より種々な物質が挿入されて，又外傷により直接外皮を破り異物が尿道に達して尿道異物となるのであるが，最近吾が教室に於て小兒の尿道異物を經驗したので此處に報告する。

一新藥スルファカフェインの淋疾に對する臨床應用に就て安住　義人 , 嶋村　晃 6巻5号 , 1952年5月 , pp.244-248

PDF(3050KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　病原細菌に對する化學療法剤の研究は，ドマークのプロントヂール發表以來，日進月歩の状態にして，ズルフアミン誘導體はズルファチアゾール，ズルファダイアジン，ガントロザン等と相次ぐ有効な新藥の報告がなされ1つの頂點に達したかの感を與えているが最近余等は藥學博士谷千秋氏の研究合成になり新藥スルファヵフェインを入手，淋疾患者に使用する機會を得たのででその成績を報告する次第である。

腎臓結核手術にPAS注射療法の應用中尾　知足 , 近藤　高夫 , 正木　謙次 6巻5号 , 1952年5月 , pp.249-252

PDF(3460KB)

有料閲覧

文献概要を表示

緒言

　腎結核患者の治療に際し，その適應症を選んで患腎摘出をするが，その豫後，殊に遠隔成績を眺めていると，決して吾々の滿足出來るものではなかつた。著者の1人，中尾はつとに此の事を痛感し，早くより化學療法に特別な關心を抱いていたが，戰後ストレプトマイシン（ストマイと略す）が現われ，パスが出來て，茲に始めて曙光を仰ぎ得る樣になつた。

　併し遺憾ながら結核の化學療法としての此等の物質にも，自ら限界があつて，腎臓の樣な實質性臓器では，「ストマイ」，「パス」も著効を治める事が出來ない事が判つた。夫れ故患腎摘出法が最良の方法である事は今も昔も變りはないわけで，實際大きな室洞を作つた臓器が，藥物療法のみで治癒を營む事の不可能である事は，常識から考えても明白なことで，やはり外科的療法がどうしても必要なわけである。

海外トピツクス 6巻5号 , 1952年5月 , pp.253-254

PDF(1973KB)

有料閲覧

文献概要を表示

尋常性痤瘡の原因

　最近内分泌學，美容醫學の進歩により尋常性痤瘡が我々の注目する所となつた。しかも本症の原因な男性ホルモンAndrogenの過剩によると考えられ，それ以外の原因は忘れがちな現況であるから，尋常性座瘡の原因の綜読を試みてみよう。

1）遺傳的因子最近はホルモンに對する皮膚の過敏性の遺傳性が主張されている。

内外文献抄録松井 , 蔡 , 山川 6巻5号 , 1952年5月 , pp.255-259

PDF(4522KB)

有料閲覧

文献概要を表示

皮膚科

外國文献

　職業皮膚炎についてM．Hewitt（Lancet No．66941105，1951）は職業皮膚炎80例を主として社會醫學或は精神醫學の見地から詳細に研究した。現在の職業皮膚炎の分類は滿足すべきものでなく，檢討を要するものであるといい，本疾患群の原因には社會的乃至は感情的な變化がかなりの役割を演じていると考えている。なおかかる場合に職業性神經症との鑑別が困難で，神經症のときには勞働者の衞生學的環境を改善するが如き豫防手段では効果を上げることは出來ないという。以上の方向に今後研究すべき分野が多いと結んでいる。

第51回日本皮膚科學會　第40回日本泌尿器科學會　見聞記笹川 , T生 6巻5号 , 1952年5月 , pp.260-262

PDF(2993KB)

有料閲覧

文献概要を表示

第51回日本皮膚科學會の印象

　第51回日本皮膚科學會總會は昭和27年4月3,4日岡山大學醫學部第一講堂に於て開催，300餘名の參會者があり，盛會であつた。開會に次で今回，優秀な性病研究に對し新に設けられた皆見賞が緖方富雄東大教授の「梅毒血清反應の改良」に對し福岡の皆見省吾博士から授與された。荒川忠良教授（徳島大）の宿題報告「皮膚疾患と素因」は第1日の4日午前11時より1時間餘に亘つて行われ，聽者に多大の感銘を與えた。これは皮膚疾患にその發生，展開の場としての皮膚の性質及び機能がいかに關與するかを問題とし，皮膚の血液量，温度，毛細管抵抗，血管滲出性，皮膚反應，皮膚の結合乃至遊離水分透過性，光線感受性，皮膚靜電位等が皮膚疾患の先天的素因としての年齢，性別，部位別に依り，又後天的素因としての食餌，内分泌，神經支配，藥物，内臓疾患等に依り如何に變化するかを精細に檢討したものである。このうち皮膚血液量の測定には演者が考案した照度を應用する新装置を用い，其他にも種々新しい創意が盛られているが，これを要するに從來の皮膚疾患を組織學的乃至全身血液を檢體としての生化學的な立場から見るのと異り，皮膚疾患發現の場となる皮膚部位の上記の諸性質及び機能に前記先天的及後天的素因が如何に影響するかを見たものである。

基本情報

臨床皮膚泌尿器科
6巻5号
(1952年5月発行)

電子版ISSN：2188-6164 印刷版ISSN：2188-6156 医学書院

お気に入り登録(雑誌)
お気に入り登録(号)
最新号をみる

継続誌

バックナンバー ( 閲覧可 )

文献閲覧数ランキング(
10月28日～11月3日
)

第1位 Euraxによる瘙痒性皮膚疾患の治療石原和之,斉藤胤曠,池上一郎臨床皮膚泌尿器科 12巻 5号 pp. 531-534 (1958年5月1日) 医学書院
第2位月経疹大原一枝臨床皮膚泌尿器科 13巻 10号 pp. 947-953 (1959年10月1日) 医学書院
第3位睾丸回転症の1例入沢俊氏,夏目修,白井将文,松下鈆三郎,加賀山学,一条貞敏臨床皮膚泌尿器科 20巻 2号 pp. 205-209 (1966年2月1日) 医学書院
第4位転移性皮膚癌（胃癌）の1例村木篁臨床皮膚泌尿器科 20巻 9号 pp. 951-955 (1966年8月1日) 医学書院
第5位 Eurax（Geigy）の使用経験中野政男,亀井義明,穴口重郎臨床皮膚泌尿器科 12巻 3号 pp. 305-307 (1958年3月1日) 医学書院
第6位陰嚢膿瘍岡直友臨床皮膚泌尿器科 1巻 3号 pp. 156-157 (1947年5月1日) 医学書院
第7位皮膚疾患に知けるEuraxの応用田村誠一郎,田坂純雄臨床皮膚泌尿器科 11巻 10号 pp. 929-931 (1957年10月1日) 医学書院
第8位陰茎類表皮嚢腫の2例森脇宏,青木敏郎臨床皮膚泌尿器科 16巻 10号 pp. 923-925 (1962年10月1日) 医学書院
第9位女子陰毛発育不全症に対する男性ホルモン療法の遠隔成績大塚末野臨床皮膚泌尿器科 19巻 1号 pp. 59-63 (1965年1月1日) 医学書院
第10位瘙痒性梅毒疹榊原溫佐臨床皮膚泌尿器科 1巻 2号 pp. 118-120 (1947年4月1日) 医学書院