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腎臓結核手術にPAS注射療法の應用
中尾 知足
1
,
近藤 高夫
1
,
正木 謙次
1
1大阪市立北市民病院皮膚科泌尿器科
pp.249-252
発行日 1952年5月1日
Published Date 1952/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200729
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緒言
腎結核患者の治療に際し,その適應症を選んで患腎摘出をするが,その豫後,殊に遠隔成績を眺めていると,決して吾々の滿足出來るものではなかつた。著者の1人,中尾はつとに此の事を痛感し,早くより化學療法に特別な關心を抱いていたが,戰後ストレプトマイシン(ストマイと略す)が現われ,パスが出來て,茲に始めて曙光を仰ぎ得る樣になつた。
併し遺憾ながら結核の化學療法としての此等の物質にも,自ら限界があつて,腎臓の樣な實質性臓器では,「ストマイ」,「パス」も著効を治める事が出來ない事が判つた。夫れ故患腎摘出法が最良の方法である事は今も昔も變りはないわけで,實際大きな室洞を作つた臓器が,藥物療法のみで治癒を營む事の不可能である事は,常識から考えても明白なことで,やはり外科的療法がどうしても必要なわけである。
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