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レツクリングハウゼン氏病の1皮膚症状に就いて
吉松 孝治
1
,
遠藤 冬雄
2
1鳥取大學醫學部皮膚泌尿器科
2松江赤十字病院皮膚泌尿器科
pp.235-236
発行日 1952年5月1日
Published Date 1952/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200724
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まえがき
レツクリングハウゼン氏病は1739年,Ludwig.Tilesius兩氏が始めて記載し,1882年Reckling-hansen氏が所謂多發性神經纖維腫病として詳細に報告した。その後多數の學者により研究され幾多の業績があげられているが其の症状は複雑を極め,多發性の皮膚及び神經纖維腫並に皮膚に於ける皮膚色素異常を主徴候とし,なおこの外毛髪不全,爪の發育不全,歯牙不良,歯牙早期脱落,骨(殊に頭蓋骨又指趾)の一部缺損,生殖器異常,内分泌障碍,皮膚萎縮,筋腫,血管腫,淋巴腺腫脂腺腫,貧血性母斑,植物神經系の異常,月經不順,又月維時の腫瘍腫大,淋巴球,エオヂン好性細胞の増加,代謝機能障碍,血液循環系統に於ける機能異常,精神異常等種々雑多な合併症が記載されている。
主徴候の皮膚腫瘍は帽針頭大乃至兒頭大稀に成人頭大の柔軟な廣基性或は細莖性の腫瘍として發生し,多くは常色,淡紅色,時に褐色,淡緑色である。又皮膚深部にあつては,青紅,青灰色の色調を示し,或は紫紅色に縁取られ,皮下神經の經路に於て紡錘状,類圓形の稍々硬い腫瘍を觸れ屡々疼痛を訴える場合がある。
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