保健師ジャーナル 72巻7号 (2016年7月)

特集 保健指導力を上げる—対象者に寄り添う支援をめざして

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ICTが進んだ現代社会では,人々はさまざまな健康情報を獲得できるようになった。しかし,生活習慣病による医療費は膨らみ,健康や育児等への不安は消えていない。1人ひとりが自分の生活に向き合い,自分に合った有効な行動をとるためには,対象者に寄り添った「保健指導力」が求められている。保健師が身に付けるべき保健指導力とはどういうものであり,それを向上させるためにはどうするべきかについて,実践例を通じて考える。

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「保健指導」の概念は多様性があり,時代とともに変化している。現在における「保健指導」に求められる能力について,保健指導のプロセスと要件を整理したうえで述べる。

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保健指導ではコミュニケーションスキルが大きな鍵を握る。医療分野でも注目されている「コーチング」について,その基本スキルの解説や,保健指導における活用のポイントを述べる。

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筆者は,対象者の健診結果を代謝のメカニズムで読み取ることなどを重要視し,特定保健指導を実施してきた。そのポイントについて,実践例を通じて述べる。

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健診当日の母子の様子からのアセスメント,母親への声掛けの工夫など,乳幼児健診では対象者に寄り添った保健指導力が求められる。乳幼児健診における保健指導のポイントについて,事例を交えて述べる。

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滋賀県の大津市では,ヘルス部門の保健師が他部署や他機関と連携しながら精神障害者の相談支援を行っている。退院・生活支援における保健指導のポイントについて,事例を交えて述べる。

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筆者らが開発した「学習成果創出型プログラム」では,「リフレクション」を重要視している。保健指導力を向上させる「リフレクション」とはどのようなスキルであり,どう活用するべきかについて述べる。

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長浜市の概要

 長浜市(以下,本市)は人口約12万人で,滋賀県の東北部に位置し,北は福井県,東は岐阜県に接している。周囲は伊吹山系の山々と琵琶湖に面し,優れた自然景観を有している(図1)。

 京阪神や中京,北陸の経済圏域の結節点としての位置にあり,JR北陸本線・湖西線や北陸自動車道を主な広域交通軸として,これらの経済圏域と利便性高く結びついている。

滋賀県長浜市では,健康づくり計画「健康ながはま21」を推進する中,生活習慣病を発症しやすい壮年世代の深刻な運動不足が課題として浮上した。そこで2014年度から近所同士が誘い合い励まし合いながら歩く習慣づくりとなるよう,ウェアラブル機器を用いたウォーキングイベント「みんなで一緒にながはま健康ウォーク」を実施し成果を上げている。その取り組みを紹介する。

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■要旨

 本研究の目的は,都市部地域在住の壮年期住民における抑うつの実態と関連要因を明らかにし,今後の地域における抑うつ予防に向けた支援のあり方を検討することである。40〜64歳の都市部地域の住民のうち,年齢層化無作為抽出された3000人を対象として,抑うつ(CES-D:The Center for Epidemiologic Studies Depression Scale),ストレスの有無と種類,生活習慣,主観的健康感,身体的不健康感等に関する横断的調査を行った。無記名自記式質問紙を郵送し,返送を以て同意を表明した者のうち,抑うつ(CES-D)の回答に欠損のない518名を対象とした。

 分析の結果,対象の平均年齢は56.7±7.0歳,性別は「女性」60.7%であった。重回帰分析の結果,CES-Dに統計学的に有意な関連が認められたのは,暮らし向き(p<0.001),住みやすさ(p<0.01),動悸(p<0.01),疲れやすさ(p<0.001),人間関係ストレス(p<0.001),仕事ストレス(p<0.05),健康問題ストレス(p<0.05),経済問題ストレス(p<0.01),家庭問題ストレス(p<0.01)であった。これらのことから,今後の地域における抑うつ予防に向けては,壮年期特有のストレスや身体的不健康感の軽減とともに,地域における住みやすさを糸口とした支援の重要性が示唆された。

連載 ナカイタ発 保健師へのつぶやき・37

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 熊本地震で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。一日も早く安寧の日々が戻ることをお祈りいたします。4月14日,16日の2回にわたる震度7を経験し,さらに震度6クラスを含め余震が頻発したことが熊本地震の特徴です。倒壊家屋の多くは新耐震基準以前のものらしく,確かに築年が古いと見える瓦屋根の家屋の倒壊が目立ちましたが,2回の震度7は,新基準とも思われる新しそうな家にも相当のダメージを与えたようでした。

 日本看護協会は有事に備え,保健師を含む災害支援ナースの育成(現7700名)とその派遣システムをもっています。一義的な目的は被災地の看護職を支えることで,有事にあってもスムーズな保健医療の提供体制を保つことです。

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 大分県の佐伯市(以下,当市)は,2005(平成17)年3月3日に,旧佐伯市と南海部郡の1市5町3村が合併し,新「佐伯市」として誕生しました。東西571km,南北37.2km,面積903.40km2で,県の東南部に位置する九州一面積の広い市です。2015(平成27)年10月末現在の人口は7万5186人,高齢者人口2万6846人,高齢化率は35.71%,出生数は年間500人前後,死亡者数1000人前後で,人口減少が進んでいます。

 2010(平成22)年4月時点で,当市の保健師数は30名でした。市全体で職員配置を検討する中で,保健師が退職した後も,当分の間,新たに保健師を採用しないとの説明がありました。しかし,市民からの要望などもあったため,保健師の適切な配置について検討するようにという指示が出され,当時,統括的な立場にあった保健師の指示で,代表者によるプロジェクトチームを結成することになり,保健師の配置を検討してきました。

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はじめに

 2013(平成25)年4月から,健康寿命の延伸と健康格差の縮小をめざし「健康日本21(第2次)」がスタートした。ここでは,健康格差が広まる中で,社会環境の改善を図り,健康格差の縮小を図る1)という視点が明示された。

 足立区でも「健康あだち21(第2次)行動計画」を策定するにあたり,基本的健康指標を確認したところ,健康格差,地域格差があることが確認された。そこで社会環境の改善も意識した「健康あだち21(第2次)行動計画」2)を2013年9月に策定し,区の健康課題である糖尿病に着目して健康格差の縮小をめざす「足立区糖尿病対策アクションプラン あだちベジタベライフ〜そうだ,野菜を食べよう〜」3)を開始した。

 一方で,公益社団法人医療科学研究所では,健康格差対策の手引きとなるようなものができないかと研究プロジェクトを立ち上げ,「健康格差対策の7原則」4)(表1)を2015(平成27)年に取りまとめた。筆者も,最終段階で外部査読者として参加した。【始める】【考える】【動かす】の3段階からなる7原則は,健康格差対策を整理するうえで有用と感じられた。

 本稿では,「健康格差対策の7原則」4)に沿って,足立区の事業を報告する。

連載 聞き書き 保健師ものがたり(特別区編)・4

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 保健所の役割が大きく変わる中で,地域の健康問題に対して住民とともに活動を展開し成果を上げてきた特別区のカリスマ保健師たち。その語りはドラマチックであり豊かな気づきや発見に満ちています。その心意気や手法を語り継ぐことは「公衆衛生活動の原点」を考えるうえで貴重だと言えるでしょう。

 そこで2015年,特別区の保健師の先達にインタビューをしてその経験に学ぶ有志のプロジェクトが立ち上がりました。この連載ではその成果として,4人の方からの聞き書きをお届けします。1つの時代の記録として,また,後輩保健師たちの活動のヒントとして,受け取っていただければ幸いです。

連載 現場の疑問に答える 地域づくり型保健活動 Q&A・7

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 前回から,「地域を見る」「生活を見る」ということについて考えています。地域が見えたり,住民の声が聞こえたりするためには,「何のために,どういうことを見なければならないか」を「事前に決めておく」ことが大切だと提起しました。事前に決めておくことで,「どんな情報を集め」「集めた情報をどのように処理するか」も決まってきます。

 その,「事前に共有しておく」ことについて,前回は保健師学生の実習を例に示しました。今回も,引き続きこの例を説明することにします。なお,実習全体の流れは,前回同様,表にして示しています。

連載 ニュースウォーク・219

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 「申請書が届いたの。3万円がもらえたらランチをごちそうするからね」。友人からの電話に細君はご機嫌の様子だ。3万円とは,「1億総活躍社会」の実現に向けた一環で国が低所得高齢者に支給する「高齢者向け給付金」。

 正式名は「年金生活者等支援臨時福祉給付金」。アベノミクスがもたらす賃金引き上げの恩恵に預からない人(65歳以上で住民税非課税)が対象で,全国に1130万人。「2016年度前半の個人消費の下支え」という趣旨説明がつき,6月までに総額3390億円の現金支給である。

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History and Now

どのような機関なのでしょう?

 本学看護学科は,2011(平成23)年4月に京都光華女子学園の中に新設されました。2015(平成27)年4月には,大学院看護学研究科(修士課程)が発足しました。看護師教育課程を軸に,助産師,保健師,養護教諭1種を選択履修できるカリキュラムになっています。私たちは主に保健師教育に責任をもつ領域になります。公衆衛生看護学実習の人数制限などがある中で,よりよい教育環境づくりや教育・研究体制の充実をめざして精進しているところです。

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バックナンバー一覧

NEWS DIGEST
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保健・医療・福祉のこのひとつきの動き

育児しながら介護

「ダブルケア」25万人

 子育てと家族の介護に同時に直面する「ダブルケア」をする人が全国で少なくとも25万3000人いることがわかった。女性が16万8000人,男性が8万5000人。女性に負担が偏っている実態が浮かび上がった。内閣府が28日初の推計結果を公表した。

 2012年の就業構造基本調査で「ふだん育児をしている」「ふだん介護をしている」の両方を回答した人を「ダブルケア」の担い手と定義し,推計した。この「育児」の対象は未就学児に限られており,内閣府は実際の人数はさらに多いとみている。

今月の3冊プラス1

次号予告・編集後記

基本情報

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保健師ジャーナル
72巻7号 (2016年7月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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