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看護のためのファシリテーション—学び合い育ち合う組織のつくり方
宮下 ルリ子
1
1県立広島大学 助産学専攻科
pp.694-695
発行日 2020年9月25日
Published Date 2020/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201619
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皆さんは「ファシリテーションとは?」と聞かれたら,どのようなことを想像するだろうか。私が助産教員として初めてこの言葉を聞いた時,英語の「facilitation」=「円滑化,促進」は理解していたが,正直なところ「ファシリテーターは難しそう,できそうにない,何をしていいか分からない」という,漠然とした不安を抱いていた。そんな時,本書の著者が主催するセミナーの中で,「ファシリテーターは助産師に例えられる」というひと言があり,すっと腑に落ちたことを今でも鮮明に覚えている。
助産師は,全てのライフステージにおける女性とその家族への支援をする専門職である。しかし,多くの人がイメージする助産師の仕事とは,出産に立ち会い,産婦と生まれてくる赤ちゃんへの支援だと推察される。分娩介助における基本的な支援技術の目標の一つに,「分娩に対する産婦とその家族の満足度が得られる介助支援であること。つまり,産婦自身の主体性を重視し,『産ませてもらう』意識から『産む』実感が得られるようにすること」1)がある。すなわち,あくまでも主役は産婦と赤ちゃんであり,助産師の役割は分娩時におけるファシリテーターなのである。分娩が安全かつ円滑に進行するよう,そして助産師が赤ちゃんを産ませるのではなく,産婦が持つ力を引き出し自ら産めるよう主体性を促す支援が助産師の仕事なのだ。
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