連載 りれー随筆・428
「いちゃりばちょーでー」を沖縄から世界へ
比嘉 可苗
1
1沖縄県立中部病院 周産期センター
pp.708-709
発行日 2020年9月25日
Published Date 2020/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201625
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父の背中を見て育つ
今から40年以上前,私の父が27歳の頃に,JICAの青年海外協力隊で工作機械の使い方を教えにマレーシアに3年間派遣されていた。沖縄に帰ってきた父は母と出会い,4人の子宝に恵まれる。その末っ子の甘えん坊が私だ。
父に懐いていた私は,よく父の背中で子守唄を聞いていた。沖縄の方言だと思っていた子守唄が,実はマレー語だったことをもう少し大きくなってから知ったのである。家には,外国の特産物やお金などが飾ってある棚があり,小学生の頃の私はお菓子を買おうとそのお金を持ち出し,「日本のお金じゃないから使えない」とお店の人に断られ,とても驚いたことを覚えている。末っ子の私が生まれる前には,オーストラリアに家族5人で移住を試みたが,結局仕事がなく断念して帰ってきたというエピソードがあった。こんな好奇心旺盛で,どんなことにも挑戦する父の背中を見て育った私は,自然と幼い頃から海外を身近に感じていた。
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