精神看護 20巻2号 (2017年3月)

特集 iPadだけで日々の業務が完了できる。 訪問看護ステーションみのりの記録と電子カルテシステムがすごい

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 訪問看護ステーションみのりが画期的な記録と電子カルテシステムを開発しました。その特徴を紹介します。

1.端末機器のiPadだけで日々の訪問看護業務を終えることができる。

2.スタッフ間、事業所間で、同じ場所にいなくても、仕事の情報を共有しながらリアルタイムにコミュニケーションがはかれる。

3.さまざまな記録物を、場所を選ばずiPadで容易に確認できる。

4.隙間時間に作業することができるので効率的に仕事を組み立てることができ、業務時間を短縮できる。

5.利用者の目の前で記録や看護計画を作成することが可能。修正も容易。

6.訪問看護ステーションに帰ってから思い出して記録するということがないため、利用者との間で齟齬の少ない記録が書ける。

 いったいどういった記録と電子カルテなのか、全容を見せてもらいましょう。

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8時30分頃 出社

すぐにiPadを起動。自分の勤怠を入力します。

リマインダーや、各種書類の「通知」があれば確認します。

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ステーションでしか記録を書けなかった時の不便

 みのりに勤める前、私は2つのステーションを経験していました。

 最初の訪問看護ステーションに勤務したのは約12年前です。その頃はもちろんタブレットなどはなく、紙で記録していました。記録用紙を利用者宅へ持って行くことはしていたのですが、そこで記載するのはバイタルサインのみで、それ以外の情報はメモに控えておき、空き時間やステーションに帰ってから記録していました。

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 私たちみのりが現在使用している電子カルテシステムは、クラウドシステムと組み合わせることにより、ペーパーレスはもちろん、訪問先で利用者さんやスタッフと情報をリアルタイムで共有することができるものです。本稿では精神科訪問看護に特化した記録システムを具体的に紹介します。

 最初にiPadを知らない方のために念のためご説明しますと、iPadは私が著者写真に掲げているような大きさの端末機器です。指で画面をタップすることでさくさくと感覚的に操作を進めていくことができます。

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 新電子カルテシステムでみのりが目指したのは、スタッフがどのような場所にいようと、端末機器からデータを閲覧、編集、アップロードできるようにすることでした。そのためにはデータを、ステーションのパソコンではなく、インターネット上の「オンラインストレージサービス」や「クラウドサービス」に保存するというやり方に変更する必要が生じました。

 そこで始めに、オンラインストレージサービス、クラウドサービスとはどういったものなのか、私自身が理解している範囲で図も用いながら説明させていただきます。

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看護の中身、教育、経営は全部つながっている

 近年、看護師が訪問看護ステーションを設立することが増えています。

 私が訪問看護ステーションを設立したのは、自分が考える精神科訪問看護をしたいという、看護に対する強い思いがあったからでした。しかし実際に立ち上げて運営していくなかでつくづく感じたのは、提供したい看護の中身は、それだけを単体で考えればすむものではなく、スタッフの教育や経営とも密接につながっていくということでした。

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 はじめまして。福島県で薬剤師をしております引地と申します。「看護師の読み物なのに、なぜ薬剤師が?」と不思議に思われた方もいると思いますが、これから私が皆様に提供する話題は電子カルテについてです。「電子カルテってどんなものなのかな?」「導入までの流れってどんな感じなのかな?」といった疑問をお持ちの方への1つの情報になれば幸いです。

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 第15回日本アディクション看護学会(2016年9月開催)の特別企画として、アディクションについて学べる図書館を開催した。「本」は書かれた本ではなく「人」であり、人が「語る本」となり、「語る本」の貸し出しができる図書館である。その図書館を、「アディクション・ライブラリー」と呼ぶこととした。私自身、「何をするのかわからない」状態からの出発で、新たに気付くことや学びながらのプロセスを通して具体化し、終わってようやく全体像がつかめた企画であった。ライブラリー利用者へのアンケートではよい評価をいただき、何人かからは「もっと読書したかった」などの声をかけていただいた。「語る本」になってくださった方たちからも、参加してよかったとの声をいただいた。

 アディクション・ライブラリーは初めての試みであり、方法については、その場の状況に応じてまだ検討が必要である。物理的な場の設定だけでなく、人と人との関係性も含めた環境の設定については、特に考慮を要する。ここでは、アディクションについての理解を深める1つの方法として、今回のアディクション・ライブラリーの試みについて報告する。

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ピアスタッフとして働いています

 はじめまして、覚醒剤依存症の米本亮と申します。現在39歳で、精神科に特化した訪問看護ステーションで、ピアスタッフとして働いています。主な業務は、事務と依存症の利用者への同行訪問です。

 覚醒剤で底をついた際に医療機関につなげてくれたのが、今勤める訪問看護ステーションの所長であり友人の佐藤栄児です。この人の力になりたい、と思ったのがきっかけで現在の職場で働くようになりました。

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医学書院主催

マインドフルネスとスキーマ療法をはじめたい人のための1日じっくりワークショップに参加しました

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 前編では、オーストラリアで行われている薬物依存症対策、なかでもハームリダクション(傷つきの軽減)について、訪問した治療共同体であるリハビリ施設WHOS(We Help Ourselves)における取り組みを紹介しながら概説しました。後編となる今回は、なぜオーストラリアがこうした考え方に転換していったのか、そして2016年のツアーで訪ねたメルボルンでの、重複障害をかかえる人への支援について紹介していきます。

 ツアーでは、毎回ハームリダクションの概念と薬物政策に関するレクチャーが盛り込まれています。担当してくださるのは、オーストラリアの薬物依存政策にハームリダクションを導入する牽引者の1人であった、精神科医のWodak氏*1です。

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どんどん移りゆく精神障害の捉え方

 精神保健福祉の領域において、精神障害の捉え方はどんどん移り変わっている。

 症状に焦点を当てた「疾患モデル(医学モデル)」に始まり、次に「障害モデル」が現れ、精神障害者の主観的な「生きにくさ」を表すとともに、環境(社会)とのかかわりや障害のもつプラス面に着目するようになった。

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 マサチューセッツ大学メディカルスクール(University of Massachusetts Medical School:UMMS)では、アメリカでのオープンダイアローグ導入を進めるプロジェクトが実施されている。私は2016年9月から12月までの約3か月間、客員研究員としてこのプロジェクトに参加した。今回はその滞在レポートの第一弾として、アメリカでのオープンダイアローグ導入の動きを報告したい。現在のアメリカの医療制度では、オープンダイアローグ発祥の地フィンランドと同じ条件でオープンダイアローグを実践するのは不可能に近い。制度上の障壁があるにもかかわらず、なぜUMMSはオープンダイアローグの導入を進めているのか。アメリカにおけるオープンダイアローグの価値とは何なのか。このようなオープンダイアローグ導入の背景を踏まえつつ、現地の取り組みについて紹介する。

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はじめに

 近年、我が国の精神科デイケア(以下、デイケア)利用者の高齢化について、利用者全体の6割以上が40歳以上、1割程度が65歳以上という現状が報告されている*1。このような状況にあって、精神科でリスクマネジメント上重要視される自殺以外に、脳卒中や心臓病など生活習慣病による利用者の突然死が起こり得るようになった。これまで我々のデイケアでは、利用者の突然死を衝撃的だと考え、職員が他の利用者へ伝えないという選択をしがちであり、質問されてもうまく答えられないジレンマを感じていた。実際、デイケアに関する文献を検索しても、利用者の死を他の利用者がどのように受け止めるのかという報告はわずかである。

 デイケア利用を開始する際の目標としては、再発や再入院予防のほか、就労が難しい場合の日中の活動の場としての機能も挙げられており*1・2、患者の病期や年齢によっては利用者同士の交流など自助的な機能が重要視される。またデイケア利用期間は、中高齢期の利用者ほど長期化していることもこれまで報告されており*3・4、長年交流してきた仲間が突然いなくなれば強く心配し、その理由を知りたいと思うのが自然である。

 今回、デイケア利用者の突然死に遭遇し、長期欠席の理由をたずねる他の利用者への対応についてスタッフ間で話し合ったところ、きちんと事実を伝え、それを彼らがどう受け止めたのかを理解することが我々の役割ではないかという共通認識に至った。

 そこで、亡くなった利用者の死を追悼会という形で報告し、その後の他の利用者の受け止め方について記述するため、本研究に取り組んだ。

連載

べてる新聞『ぱぴぷぺぽ』・114

連載 愛か不安か・9

「パターン」という武器 春日 武彦
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平気な人

 クレーマーへの対応について講義してくれ、という依頼がやたらと多い。病院であったりヘルパーやケアマネや保健師さんの集まりであったり、時には医師会であったり、とにかくさまざまな人たちや団体から依頼を受ける。いかに世間にはクレーマーが多く、またいかに皆がクレーマーに悩まされているかを痛感させられる。

 基本的にパーソナリティー障害に関する知識と対応法について語ることになる。話を進めていくと、誰もが思い当たるようなエピソードが披露されることになるので、大概の人たちは頷きながら真剣に耳を傾けてくれる。そして最後に質疑応答の時間を設けるわけだが、しばしば発せられる質問がある。

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統合失調症を病む母親をもつ子どもの苦悩

 親との関係はやっかいだ。年をとるにつれ、関係は否応なく変わるものの、やっかいなことはいくつになっても変わらないように思う。そのうえ、もしその親が精神病を患っていたとしたら……。

 『もうひとつの「心病む母が遺してくれたもの」—家族の再生の物語』の冒頭、著者の夏苅郁子さんは次のように書いている。

連載 失恋の話を聞きまくる男たち。桃山商事・17

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恋人のLINEを見てしまった……というのは恋愛業界における「イヤな予感しかしないランキング」第1位の言葉なわけですが、今回ご紹介する優華さん(仮名・27歳)も、それによって生じたお悩みをかかえる1人でした。優華さんはなぜ彼氏のLINEを見てしまったのか。そこで見つけてしまったものとは何か。まずはその経緯についてまとめてみます。

メーカーの営業職である彼女は、東京出身でありながら、半年ほど前から異動で仙台支社に勤務。慣れない土地で友だちが欲しかったのと、少し前に失恋したばかりという寂しさから、彼女はマッチングアプリに情報を登録し、そこで現在の彼氏と出会います。広告代理店の営業をしている彼も異動で仙台に来ており、境遇が似ていたこともあってすぐに意気投合。ご飯を食べ、お酒を飲み、そのまま彼の家に泊まって肉体関係をもちました。

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今月の5冊

次号予告・編集後記

基本情報

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精神看護
20巻2号 (2017年3月)
電子版ISSN:1347-8370 印刷版ISSN:1343-2761 医学書院

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