研究
精神科デイケア利用者の突然死に対する他の利用者の受け止め方—利用者とスタッフで催した追悼会の試み
藤井 洋子
1
,
長井 麻希江
2
,
杉山 由香里
2
1医療法人社団重仁佐々木病院アンダンテ(デイナイトケア施設)
2敦賀市立看護大学看護学部看護学科
pp.178-181
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200342
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はじめに
近年、我が国の精神科デイケア(以下、デイケア)利用者の高齢化について、利用者全体の6割以上が40歳以上、1割程度が65歳以上という現状が報告されている*1。このような状況にあって、精神科でリスクマネジメント上重要視される自殺以外に、脳卒中や心臓病など生活習慣病による利用者の突然死が起こり得るようになった。これまで我々のデイケアでは、利用者の突然死を衝撃的だと考え、職員が他の利用者へ伝えないという選択をしがちであり、質問されてもうまく答えられないジレンマを感じていた。実際、デイケアに関する文献を検索しても、利用者の死を他の利用者がどのように受け止めるのかという報告はわずかである。
デイケア利用を開始する際の目標としては、再発や再入院予防のほか、就労が難しい場合の日中の活動の場としての機能も挙げられており*1・2、患者の病期や年齢によっては利用者同士の交流など自助的な機能が重要視される。またデイケア利用期間は、中高齢期の利用者ほど長期化していることもこれまで報告されており*3・4、長年交流してきた仲間が突然いなくなれば強く心配し、その理由を知りたいと思うのが自然である。
今回、デイケア利用者の突然死に遭遇し、長期欠席の理由をたずねる他の利用者への対応についてスタッフ間で話し合ったところ、きちんと事実を伝え、それを彼らがどう受け止めたのかを理解することが我々の役割ではないかという共通認識に至った。
そこで、亡くなった利用者の死を追悼会という形で報告し、その後の他の利用者の受け止め方について記述するため、本研究に取り組んだ。
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