訪問看護と介護 7巻9号 (2002年9月)

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はじめに

 褥瘡は予防することが第1であるが,一度褥瘡をつくると完治するのは難しい。しかし,在宅療養においては,肺炎,イレウスなどの全身管理に重点がおかれ,褥瘡の問題が下位に置かれることがある。

 今回のケースは,全身管理を要する在宅療養の女性で,数年にわたりピンポイント状(3~6mm)であった褥瘡が完治した例である。通常,数mmまで小さくなった褥瘡が,その状態で数年も経過することは珍しく,治癒しないまま全身状態の悪化とともに褥瘡も悪化していくケースが多い。

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はじめに

 筆者は前号特集の「褥瘡ケアのチームアプローチ」(第7巻8号,PP.639-643)において,2002年診療報酬改定で,褥瘡対策が不十分な医療機関は入院基本料が減算されることになった点について解説した。今回の改定では,「日常生活の自立度が低い入院患者について,褥瘡対策に関する診療計画を作成し,対策を講じなければならない」と述べられており,その要件を満たさない医療機関では入院基本料が減額されるようになったのである。本稿では,この減算要件に該当する診療計画様式の1つであるクリティカルパス(以下,パスとする)法について述べる。パス法は,効率よく,質の高い医療を提供する方法として,ここ数年来わが国の医療機関で急速に普及してきた方法である。このパス法が,褥瘡においても有効か否かを検討することを本稿の主目的としつつ,褥瘡治療・ケアにかかわるケア基準作成のあり方等についても言及してみたい。

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編集室から

 この鼎談にご登場いただく東田さん・渡辺さんは,前号の特集で訪問看護ステーションからの事例を報告していただいた奈良県・桜井市訪問看護ステーション褥瘡研究グループのメンバー。原稿についてやりとりをする中で,ステーションで熱心に褥瘡ケアに取り組んでいる様子がひしひしと伝わってきた。そこで,真田教授との座談会を企画しているので参加していただけないか,とお誘いしたところ,2つ返事でOK。

 鼎談は朝10時から東京での設定であったため真田教授には朝一番の金沢―羽田便で,奈良からのお2人には上りの始発「ひかり」でお越しいただくという強行スケジュールだった。

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はじめに

 介護保険制度が施行された初年度の平成12年において,介護支援専門員(以後ケアマネジャーとよぶ)の役割は,要介護者およびその家族に利用される体制を整えることであった。本調査の時点では,施行以来1年半が経過していたが,本制度の評価がさまざまな角度からなされ,課題点がマスメディアで定期的に取りあげられてきた。筆者は,本制度の中核を担うケアマネジャーの活動に焦点をあて,その実状を把握することにした。ケアマネジャーに影響を及ぼす要因は,まず広域にわたる職種から募っていること,実務研修は6日間のみということで,各個人の自己研鑽に任されていることから1),ケアマネジャーの業務上の内容,および質が(例えばアセスメントの仕方やケアプランの作成等についても)利用者に多大なる影響を与えるのではないかと考えた。

連載 訪問看護 時事刻々

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「学校に通っていたころ,保健室って『ほっ』とする場所でした。いろんな悩みを相談したり,ちょっと休んでみたり,友達と,先生と,何気なく過ごしたあの空間…。あなたのそばにも,そんな『まちの保健室』があったらいいと思いませんか?」

 こんなフレーズで,日本看護協会が全国展開をめざしている「まちの保健室」の平成13年度モデル事業成果発表会が開かれた。郵便局,地区集落センター,看護協会会館そして訪問看護ステーションなど,さまざまな場を利用して地域住民の健康相談や健康増進活動などが生き生きと行なわれており,そうした姿が報告された。

連載 管理者日誌・9

されど「入浴介助」 井上 弘子
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たかが入浴,されど入浴

 訪問看護師にとって「入浴介助」は重要な在宅看護メニューの1つです。訪問看護の開始理由が「入浴介助」である場合も多く,このケア技術を介して患者家族との信頼関係が築かれ,深まっていくとも言われています。言うまでもなく,「入浴」は誰にとっても“身体面の清潔保持”と“心身の疲労回復と安らぎ”のために,当然のごとく生活の一部として重要な位置を占めています。とりわけ,何らかの健康障害をもって在宅ケアサービスを受けている人にとっては,自分の思いどおりにはいかないだけに強い期待をもって受け止められています。

 介護サービスの中でも要介護度が高くなるほど,訪問看護と入浴サービスを受ける人の割合が急増することが分かっています。このことは「入浴介助」が,家族介護の範囲をはるかに超える難易度の高い技術を要するものであることを示しているのではないでしょうか。

連載 在宅で必要なクスリの知識と服薬のコツ・6

排尿障害治療薬 藤澤 節子
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排泄のコントロールができていれば

 「トイレに行く回数が多いから,外出は控えています」

 「尿をもらす回数が多いので,水分は控えるようにしています」

連載 くせものキーワード 第16回

送迎サービス 藤井 博之
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 在宅サービスを利用する障害者やその家族にとって,外出したいと思ったときに必要になるのが,送迎サービスあるいは外出支援サービスです。

 通所介護(デイサービス)や通所リハビリテーション(デイケア)では,これが介護保険制度の給付内容に組み込まれています。歩くのが不自由な人でも,地域のデイサービスに送り迎えしてもらえる制度があるのです。このことは例えば,医者にかかるために医療機関まで自分で出かけ,場合によっては何時間も待たされる現状を思えば確かに便利です。

連載 快適な療養生活のために―生理人類学への招待・18

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患者のQOLを高める医療に注目

 昨今,患者のQOLを高める医療という視点からの取り組みが注目されつつあります。たとえば,ペインクリニックは,がんなど痛みを伴う疾病や関節炎・神経痛などの痛みを緩和することによって,患者の日々の生活を楽にする医療です。また,形成外科領域においては,メスによる手術を最小限に留めて傷跡を小さく目立たなくする技術の開発が進んでいます。疾病を治癒させるだけではなく,術後の外見上のハンディキャップにまで配慮した医療です。さらに,時間治療という考え方も浸透しつつあります。1日の時刻によって薬の効き方や副作用の出方が変化することから,治療効果を高めつつ副作用を極力抑えた投薬のタイミングやプログラムが検討されています。

 このように,医療技術が疾病の治療だけではなく,患者の術後のケアや生活の質まで含めた総合的なものに発展しようとする中,患者のQOLに直接関わりのある看護や介護,カウンセリングなどを担当される皆さんに求められる役割の重要性は急速に高まりつつあると言えます。

連載 地域ケアネットワークを広げるということ 地域ケアの実践者へのインタビューから その5

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佐々訪問看護ステーションの概要

 佐々訪問看護ステーションは,佐々総合病院を母体病院として平成7年11月に開設された。伊藤さんは,開設当初スタッフとして立ち上げにかかわり,平成11年2月より2代目の所長となり,現在に至る。

 外部とのネットワークができたのは,伊藤さん個人の関心に加えて,訪問看護ステーション立ち上げ時の3名のメンバー構成によるところが大きかった。開設当初,所長になったのは母体病院で婦長を退職した看護師で,病院への訪問看護についての説明など病院との連携促進を担っていた。もう1人は,当時病院で行なっていた退院患者への訪問看護に携わっていた看護師で,具体的なサービス提供の中心となった。そして,伊藤さんは外部との連携を促進する役割を担っていた。ステーション内部でも,得意領域を生かした役割を担い合うネットワークができていたのだ。

連載 メルマガ雑感 ケアマネ所感・9

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 ケアマネジャーの仕事を始めて,改めて家族について考えさせられる機会が多い。家族と介護についての再考という題名であるし,今回はかなり個人的な意見になってしまうと思うが,ご容赦いただきたい。

 介護保険の定める要介護度は,原則的に家族による介護がどのように行なわれているか問題とせずに算定される。しかし,現実には同じ要介護度のクライアントでも独居で身近に家族がいないのか,大家族の一員として生活しているのかなどは,その方の生活の質を決める上での大きなポイントとなる。それは大家族だから質が高い,独居だから低いと決め付けるようなことではない。独居だからこそ自分の好きなように生活できるという場合もあるし,家族がいるという理由で行政のサービスが利用できず,また家族は仕事に忙しく周りが期待するような介護が行なえない場合も多い。

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 前回は咀嚼・嚥下等の摂食機能に問題がない場合の1日の食事計画について述べた。毎日の食生活において栄養素をバランスよく摂取するためには,表に示したように(咀嚼・嚥下機能に問題がない場合には)3食規則正しく食べることが原則となる。しかし,ベッド上での生活時間が長い場合には消費エネルギー量が少ないため,1日3回食がよいか,2回食がよいかは個人によって異なる。

 日本人の食生活史を見ても,労働の厳しい農民は別として,多くの人が1日3回食事をするようになったのは,身体活動量の多い武士が政権を握った鎌倉時代からである。

基本情報

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訪問看護と介護
7巻9号 (2002年9月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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