連載 快適な療養生活のために―生理人類学への招待・18
介護とホリスティックスキンケア
島上 和則
1
1カネボウ㈱化粧品事業本部エステティックライフ研究所
pp.757-762
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901551
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患者のQOLを高める医療に注目
昨今,患者のQOLを高める医療という視点からの取り組みが注目されつつあります。たとえば,ペインクリニックは,がんなど痛みを伴う疾病や関節炎・神経痛などの痛みを緩和することによって,患者の日々の生活を楽にする医療です。また,形成外科領域においては,メスによる手術を最小限に留めて傷跡を小さく目立たなくする技術の開発が進んでいます。疾病を治癒させるだけではなく,術後の外見上のハンディキャップにまで配慮した医療です。さらに,時間治療という考え方も浸透しつつあります。1日の時刻によって薬の効き方や副作用の出方が変化することから,治療効果を高めつつ副作用を極力抑えた投薬のタイミングやプログラムが検討されています。
このように,医療技術が疾病の治療だけではなく,患者の術後のケアや生活の質まで含めた総合的なものに発展しようとする中,患者のQOLに直接関わりのある看護や介護,カウンセリングなどを担当される皆さんに求められる役割の重要性は急速に高まりつつあると言えます。
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