訪問看護と介護 25巻6号 (2020年6月)

特集 心不全在宅管理—ケアと治療をつなげる「翻訳」スキル

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心不全を抱えた療養者さんが、増えています。

そして今後、ますます増えることが予測されています。

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在宅における心不全の治療・管理について先駆的取り組みを続けてきたゆみのハートクリニック。NPO法人日本心不全ネットワークや循環器クリニックの全国ネットワークであるJCCネットワークの事務局など、多くの社会貢献活動や大規模病院との教育的連携にも尽力し、在宅における「心不全」を広く深く見つめてきた存在である。理事長であり最高医療責任者でもある弓野大医師と、看護部部長である伊東紀揮氏に、「これからの心不全在宅管理」について話を聞いた。

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 在宅の現場では、診療情報提供や退院前カンファレンスを経て退院後の患者を受け入れることになる。その際、どのような点を見て患者の状態を把握するか、特に心不全の病態理解の観点からポイントを絞って考えてみたい。

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在宅医からの緊急の依頼

 在宅医から携帯に連絡が入った。「今日か明日から、訪問看護で入ってくれないかな。結構悪い心不全の男性がいるんだよ。心不全手帳は渡してあるから」

 訪問看護依頼の80歳男性。心不全症状を自覚し、かかりつけの大学病院を受診したが「ベッドが満床のため入院できず、訪問診療で診てもらえないか」という依頼が、先ほど大学病院からあったらしい。心不全コントロールを目的とした訪問看護が早めに必要だと、在宅医も初診で判断したようだ。直近にも、1か月に2回心不全で入院したという。

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予期せぬ受診・入院をいかに減らすか

 恵み野訪問看護ステーション「はあと」(以下「はあと」)は北海道恵庭市にあります。恵庭市は北の玄関口である新千歳空港と札幌市のほぼ中間に位置する人口7万人の地域です。「はあと」は199床の一般急性期病院を母体に持つ訪問看護ステーションで、利用者は医療ニーズの高い状態やがん末期が多いのが特徴です。

 「はあと」の過去6年間のデータにおいて、心不全の病名で訪問看護指示書を頂いた利用者の割合は全体の約6.2%、介護保険での利用者割合からみると11%でした。それらの多くはすでに、「内服忘れ」などセルフケア不足が原因で入退院を繰り返す、いわゆる「困った患者」になってから、ケアマネジャー(以下ケアマネ)や担当医経由で依頼が来ます。

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重症化する心不全患者を地域で看る

 本稿で紹介する事例は、ドブタミン離脱困難となり入院が長期化し、ドブタミンとフロセミドの持続点滴のまま退院となったケースである。症状緩和を図りながら本人の意思に添い最期まで自宅で過ごすことを支援した。

 当ステーションには専門看護師や認定看護師は在籍していない。在宅で輸液ポンプを用いたドブタミンの投与も初めてのケースであった。不安はあったが、本事例を受け入れるきっかけとなったのは次の2点である。

❶専門クリニックと顔の見える関係があり、医療介護専用完全非公開型SNS(メディカルケアステーション:以下MCS)を活用しての細やかな情報共有が可能であったこと。

❷重症化する心不全患者を地域で看ていくためには、未経験だからこそ経験する必要があると考えたこと。

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 地域拠点病院に勤める医師・看護師にとって、実はまだまだ訪問看護は馴染みの薄いものである。退院後の自宅生活支援に関わっているスタッフも、病院内にはまだ多くない。そのため病院から一歩出てしまうと、あとは患者・家族任せになっていることは少なくない。

 飯塚病院は福岡県の筑豊地域にある1048床の拠点病院である。そこで私たちは心不全支援チーム(Heart Support Team;以下HST)として、心不全診療における移行期ケア、患者教育、緩和ケアに従事している。

連載 家でのこと・第6回

私の重み 高橋 恵子
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訪問看護のスケジュールはいつもみっちり。

吉武さんち行ってきます

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・129

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 日本中が、いや世界中が、正体のはっきりしない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にすっかり翻弄されています。病院の救急や集中治療の現場の悲痛な声を聞く毎日。その声は悲痛さを増し、同じように、訪問看護と介護の現場にも緊張感が漂っています。

連載 地域連携の技術 ファシリテーション・スキル・第6回

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オープン・スペース・テクノロジーとは?

 今回は、ワールドカフェから一歩進んだ話し合いの手法である「オープン・スペース・テクノロジー」(以下OST)を紹介します。直訳すると「場を開く」ですね。

 ワールドカフェについては前回書きましたので、読まれた方は少しイメージできますね。そこでは、さまざまな素晴らしいアイデアが生まれたかもしれません。しかし実は、それが「実行される」ことは少ないのです。さまざまな意見を肯定的に語り合うことに注力するワールドカフェでは、アイデアはたくさん出ても、具体的な実行計画までが形成されにくいのです。そこでOSTが役に立ちます。

連載 「みんなの認知症見立て塾」出張講義 認知症「見立て」の知「対応」の技・第3回

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本人と周囲の関係の中で生じるもの

 前回、認知症とは「後天的になんらかの原因で脳の機能が低下してさまざまな認知機能障害(記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下)が生じ、これによって生活障害が生じている(生活に支障をきたしている)状態」であると紹介しました。その上で、「本人の要因にあたる認知機能障害」だけではなく、「本人と周囲の関係性の中で生じる生活障害」の見極めが、認知症の見立てにおいては重要であると述べました。

 そこで今回は、その生活障害をどのように見るのかについて紹介していきます。前回「生活障害の解説をした後に、提示したケースの認知症はいつから始まっていたのかを解説する」とお伝えしていましたので、同じケースを再掲しておきます。

CASE

 86歳男性のAさん。同世代の妻と2人暮らしをしています。元々は活動的な方で、仕事を定年退職した後も週3日、ゲートボールに行く習慣をもっていました。しかし、3〜4年ほど前からその頻度が減り、気付くと最近は自宅に引きこもり、テレビを観るばかりの生活となっています。

 息子は仕事が忙しく、最近実家に帰ることができていませんでした。しかし、久しぶりに実家に帰り父に会った息子は、以前とは異なる父の活気のない様子に驚きました。しばらく話をしていると、「仕事は忙しいのか」と同じ質問を何度も繰り返します。思わず母に尋ねると、「最近、急にというわけではないが、1〜2年前から物忘れが増えてきた」と言います——。

連載 訪問看護の夢を叶えるICT・第7回

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 前回ご紹介したように茨城県看護協会では、県内5か所の訪問看護ステーションの利用者宅に、通信機能付きバイタルサイン測定機器を設置し、訪問看護師が遠隔で利用者の状態を把握することで、効率的で質の高い訪問看護の実施につながるかを検証しました。

 今回はその中から、特にICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)独自のコミュニケーションが生まれた事例をご紹介したいと思います。

連載 あなたの知らない重度訪問介護の世界・第6回【最終回】

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 鹿児島県では、2003年から障害当事者団体「自立生活センターてくてく」が鹿児島市を拠点に置いて活動しています。この団体の活動もあり、国立療養所の筋ジストロフィー病棟から退所した筋ジスやSMA(脊髄性筋萎縮症)等の全身性障害者の一人暮らしは実現しており、24時間の重度訪問介護利用者も都市部(鹿児島市・姶良市・霧島市の3市)を中心に数人います。中には、24時間の介護制度を利用して全国各地を飛び回って自立生活の広報活動等をしている方もいました。

連載 [小説]ナースマン訪問看護編 あと、どれくらい?・第10回

もり子先生の秘密 小林 光恵
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 よく晴れた日曜の朝、草森徹と三木蓮司が連れだって歩道を歩いている。

 「ほら、このメールの文面、“呼び出し”って感じだろ」

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 このたび本誌巻頭連載「家でのこと」の原画を、東邦大学地域連携教育支援センターが運営する「暮らしの保健室 いえラボ」に展示してもらえることになりました。さまざまな人が行き交う空間に置かれることで、ケアする人、ケアされる人がそれぞれの物語を語り合い、共感を深めることに貢献できればと期待しています。語り合いの様子は今後、本誌でも紹介していく予定です。

 なお、現在、「いえラボ」では、新型コロナウイルス感染拡大を受け、来訪者の制限を行っています。訪ねたい方は事前に下記へご連絡ください。

HOUMONホットライン

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による影響は、在宅医療・介護の現場にも及んでいます。現時点では公的機関や学術団体が作成する訪問看護事業所向けのマニュアルや指針がないため、各事業所で対応策を模索し、実施することが求められています。

 そうした中、日本看護協会、日本訪問看護財団、全国訪問看護事業協会等の団体による情報発信のほか、有志のメンバーによる感染症対策等の情報発信の試みも生まれており、対応策の検討に役立つ情報が次々と出されています。ここではその一部をご紹介します。

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目次

今月の5冊

バックナンバー・年間購読のご案内

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次号予告・編集後記 小池 , 米沢
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新型コロナウイルス感染症拡大を受け、取材や打ち合わせもZOOMなどを使ってウェブ上で行う体制に移行しています。が、なかなか慣れません。対面のそれと違って、疲労感だってずっと高いですし、そもそも得られる情報量も目減りする。マイナス面が気になっていました。▶ただ、先日のウェブ打ち合わせの別れ際、「モニター越しの相手に向かい、両手を振っている自分」がいることに気付きました。両手を大きく振って別れるなんて、大人になってからあっただろうか。いつの間にか、そういうことしなくなったなあ。と、変な感慨が湧いたりして、結局今はウェブ打ち合わせも悪くないかもと思うに至っています。…小池

今月号制作中に世の中があっという間に、そしてがらりと変わりました。私自身、失われた日常に戸惑い、2週間くらい経ったころにやっと「ああ、少し先の生活が見えるかもしれない」と思えました。「心臓を患う」という出来事は、人生の大転換と言えるのではないかと想像します。改めて「特別訪問看護指示書」が有効な14日間の重みを感じました。日常が整うまでにどのくらいかかるかには個人差があると思いますが、この落ち着かない日々をひとまず、「14日間単位」で考えてみようと思っています。…米沢

基本情報

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訪問看護と介護
25巻6号 (2020年6月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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