特集 どうすりゃいいんだ、横綱級困難ケース—何が、誰が「困難」にしていたのか
「横綱級困難ケース」ってなんだ—支援者が「困った人」を作っている
小瀬古 伸幸
1
1トキノ株式会社 訪問看護ステーションみのり
pp.884-890
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201326
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支援者は何を「横綱級困難ケース」として捉えているか
「横綱級困難ケース」。このように聞くと、支援者の多くはどうにもこうにも打つ手がない困難な事例をイメージするのではないでしょうか。しかし、「その具体像は?」というと、働くフィールドや立場、役割、経験などにより異なってくると考えます。そこで、まずは「そもそも、横綱級困難ケースとはどのようなケースか」について考えていきましょう。
これまで私が支援者から「困難ケースだ」という旨の相談を受けた数々のケースをふり返ると、いくつか共通点が見えます(図1)。「家族背景が複雑」「複数の精神疾患が合併(アルコール依存症など)」「虐待が存在する、もしくはその可能性がある」「家族も精神疾患を患っている」「クレームを含む攻撃性が高い」といった、利用者側の背景が共通して存在しているのです。
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