JIM 7巻6号 (1997年6月)

特集 手・肘・肩の訴えで困ったら

手・肘・肩のみかた

  • 文献概要を表示

 膠原病を診断する際に,アメリカ・リウマチ学会(ACR)の診断基準が参考になる.しかし,膠原病ではすべての症状が病初期に出揃うことがむしろまれであり,その診断には依然として古典的診断学に基づいた診察の手続きが必要である.

  • 文献概要を表示

 関節痛なのか,滑膜炎があるのかの判断は難しい.関節周囲には筋肉,腱,神経などもあるのを念頭におく.一度は炎症反応(赤沈,CRP反応),抗核抗体を含めた血液検査をする.確定診断には経過親察が必要なことが多く,かつ経過が思わしくないときは整形外科,リウマチ科,神経内科医の意見を聞く.

整形外科医のアドバイス 横井 秋夫
  • 文献概要を表示

 適切な治療を行うためには正確な診断を下すことが大切であり,そのためには問診,視診,神経学的所見のほか,関節可動域・圧痛点などを正確に診察する.X線撮影あるいはMRIは補助的診断に過ぎず,丁寧な診察が最も重要である.

Key Articles 青木 誠
  • 文献概要を表示

1.Bates B.A Guide to Physical Examination and History Taking, ed 6, JB Lippincott, 1995

2.Judge, RD.Clinical Diagnosis, A Physical Approach.日野原重明監訳.患者診断学,第2版,メディカルサイエンスインターナショナル,1990

トピックス

肩手症候群 石橋 徹
  • 文献概要を表示

 頭部,胸腹部内臓疾患,および上肢の外傷を契機に発症し,共通した症状は肩と手の痛み,運動障害であるが,手指のこわばりは橈側手指に強く,手関節で尺骨神経をブロックするとこわばりが取れるので鑑別診断に役立つ.

  • 文献概要を表示

 本症候群で見られる手のしびれ,痛み,自律神経障害などは臨床医がよく遭遇する訴えでもあり,特に原因不明で進行性の場合には本症候群も念頭におき,慎重に全身を観察する必要がある.

  • 文献概要を表示

 近年増加するキーボード作業による手関節周囲の腱鞘炎に対しては,臨床症状,特に圧痛部位や疼痛誘発テストから診断する.作業量と重症度とは必ずしも相関しないが,その関連性を裏付ける問診のしかたが大切である.

  • 文献概要を表示

 リウマトイド因子(RF)が陽性であっても慢性関節リウマチ(RA)とは診断できない.また,RAの約20%はRF陰性であり,その場合でもRAを否定できない.抗核抗体(ANA)は,全身性エリテマトーデス,強皮症,重複症候群では高い陽性率を示す.さらに,疾患特異抗体の同定は,その臨床像との関連の観点から,診断に有用である.

貼付剤と塗布剤の使い分け 橋本 明
  • 文献概要を表示

 炎症性疼痛には冷湿布,阻血性疼痛には温湿布が第1適応であるが,慢性関節リウマチなどでは炎症部に近接して阻血部が存在することが多く,部位によって温熱と冷却を適宜使い分ける必要がある.

  • 文献概要を表示

1)訴えが片側性の場合は,整形外科的疾患(や神経学的疾患)を,2)両側性の場合は,①他覚所見があるときはリウマチ性疾患を,②他覚所見がないときは,機能的(非器質性の)不調状態が疑われる.

  • 文献概要を表示

 1996年10月29日,茅ヶ崎徳洲会総合病院カンファレンスルームにてUCSF内科学教授Dr.Tierneyをお迎えして行ったgrand roundsを誌上に再現しました.Tierney先生はCalifornia大学San Francisco校のレジデント研修部長で,General Internal Medicineの教授をされており,"Current Medical Diagnosis & Treatment"の編集者としても有名です.

JIM臨床画像コレクション

Osler結節 鄭 東孝
  • 文献概要を表示

 患者は31歳男性.1カ月前から続く全身倦怠感と体重減少,手先の冷感を主訴に来院.来院時の身体所見で爪下の線状出血と指尖,母指丘,小指丘に表紙のような小結節を認めた.聴診上心雑音はなかったが亜急性心内膜炎を最も疑い入院とした.頻回の血液培養でも菌は分離されず,心エコー上も疣贅はなかった.抗核抗体は160倍とそれほど高値ではなかったが,抗二重鎖DNA抗体の著しい増加を認め,一般検査を見直してみると尿所見では顆粒円柱があり,白血球減少,リンパ球減少があることから全身性エリテマトーデスと判明し膠原病科に転科した.

 表紙の小結節はOsler結節である.その名はあまりにも有名だが,感染性心内膜炎に特異的ではなく,本例のように全身性エリテマトーデスや腸チフス,橈骨動脈にカニュレーションしている場合,淋菌感染,溶血性貧血などにも出現することを知っておくべきである.亜急性心内膜炎での出現頻度は23~50%といわれている.

  • 文献概要を表示

 腰痛を主訴に一般内科外来を訪れる患者は多い.その大半は,保存的療法で経過を見てよい患者であると思われるが,中には積極的に腰椎MRIを撮って精査を進めなければならない症例がある.症例を提示し,数多い腰痛患者の中で,ぜひとも腰椎MRIを撮ったほうがよいと思われる場合は,どのような場合かについて考察する.

  • 文献概要を表示

 腹痛を来す疾患は婦人科領域にも数多くあるが,その中でも最も緊急な対応が必要とされるのは,子宮外妊娠の破裂である.子宮外妊娠の破裂は急激に発生する腹痛と腹腔内出血を来し,短時間の間に循環血液量減少性ショック状態になることがまれではない.そのため妊娠が可能な年齢の女性の腹痛では常に鑑別疾患に入れなければならない疾患である.

  • 文献概要を表示

 妊娠悪疽(つわり,J1)は,Wernicke脳症(J2)を引き起こすことがある.早期に診断し,ビタミンB1の補充を行わないと神経学的後遺症を残す.最悪の場合には妊婦が死亡することがある.妊娠悪疽の治療には,糖液のみの補液は禁忌で,必ずビタミンB1も補充する.

  • 文献概要を表示

 CAPD (continuous ambulatory peritoneal dialysis,持続性携行式腹膜透析)は,1980年より日本に導入され1984年より健康保険の適用となった.日本では大半が血液透析で占められ(95%),残りの5%,約8,000人が1995年12月31日現在の患者数である.

ワークショップ はじめての漢方診療・8

  • 文献概要を表示

 漢方医学では診察を望聞問切の四診に分け,中でも脈・舌・腹の診察は独特である.少陽病期以降は脈の他に舌や腹部所見も病態を反映して変化し,診断上重要である.腹診は比較的客観的で修得しやすい診察法であり,特に日本において発達した.

  • 文献概要を表示

 聖ルカ・ライフサイエンス研究所の創立記念式典に,本日皆様と同席できたことを私は大変光栄に思います.聖路加国際病院理事長日野原重明先生のお考えと同様に,この新しい財団が先進的な考えを取り入れ,日本の人々の健康を改善すべく新しい考えや方法を試し,全世界の人々の健康に役立つ知識を提供されることを切望しています.

  • 文献概要を表示

 発熱は診察科を問わず医師が頻繁に遭遇する症状の1つであるが,その原因には生命を脅やかすような重篤な疾患もときには隠れている.その診断は基本的ではあるが,詳細な病歴聴取と鑑別疾患をどの程度挙げられるかに大きく左右される.

  • 文献概要を表示

概念の激的な変化

 ギラン・バレー症候群(GuillainBarre syndrome)は急性麻痺の最も多い原因疾患である.筋脱力は日の単位で発生し,ときには驚くほど速く重症化する.患者の35%はICUでの治療が必要となる.近代的管理により致命率は30%から3%に減少し,75%の患者は6~12カ月で完全回復する.ギラン・バレー症候群の機序はよく分からないが,慣習的に末梢神経のミエリン鞘に対する免疫介在性攻撃によると考えられてきた.しかし過去10年間で新しい知見がもたらされ,疾患の概念は劇的に変化した.脱髄性ギラン・バレー症候群においては重症炎症により二次性の軸索変性が誘発されるかも知れない.そのような例では回復はさらに遷延する.

米国・テネシー州立大学総合臨床医学研修デイ・バイ・デイ

総合臨床医学研究 竹村 洋典
  • 文献概要を表示

なぜ研究?

 総合臨床医学が他の医学専門分野の寄せ集めという考え方がある.そう仮定すると総合臨床医学は研究をする必要がなくなる.他の専門科の研究によって発見された新しい知識を使って,総合臨床医学は診療を行えばよいからである.

 しかし実際には,他の専門科の研究は,総合臨床医の日々のプライマリケアの診療で直面する問題のすべてを解決してくれない.総合臨床医学の研究は臨床医学にとどまらず,行動科学を含む心理社会学,臨床疫学を含む予防医学,医療管理学,教育学などにも及ぶ.さらにその研究の対象も,他の専門科の研究では偏った疾患を持った患者であるが,総合臨床医学の研究の母集団は,プライマリケアの段階で診察にくる患者または健康人であり,その家族であり,はては,診察も受けていない地域の人々である.このような理由で,アメリカでは総合臨床医学を研究することが要求されている.

パリ・アメリカ病院での総合診療

熱い国から来た患者 木戸 友幸
  • 文献概要を表示

 筆者が経験した移送患者をもとに,今回は熱帯医学や国際医療について考えてみたい.

診療機器ガイド

  • 文献概要を表示

 超小型,軽量,コードレスの経皮酸素飽和度モニター「オニックス」を紹介します.

Update '97

Cinemeducation 葛西 龍樹
  • 文献概要を表示

 1994年10月,アメリカ合衆国SantaFeで開催されたAssociation for the Behavioral Sciences and Medical Education (ABSAME)の第24回年次学術総会で,筆者ははじめて,映画を用いて人間を洞察する教育方法cinemeducationを体験した.

 ABSAMEは,「医療そして医療教育をできるだけ人間的なものにしたい」という熱意を持った家庭医療学をはじめ実にさまざまな分野の専門家が集まる合衆国の学会で,このときのランチョン・シンポジウムで実際にcinemeducationのデモンストレーションが行われたときの参加者の喝采と興奮は大変なものであった.

基本情報

0917138X.7.6.jpg
JIM
7巻6号 (1997年6月)
電子版ISSN:1882-1197 印刷版ISSN:0917-138X 医学書院

継続誌

文献閲覧数ランキング(
3月23日~3月29日
)