連載 ラーニング・エイド 大学院ドタバタ留学記 in NY・11
広がれ看護師,多様性の中で生きること
寺本 美欧
1
1米国コロンビア大学教育大学院 修士課程
pp.777
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201658
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5月25日,アフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイド氏が警察官によって殺害され,世界を震撼させた。全米で社会運動が日中から深夜まで行われ,行き過ぎた暴動へと発展し外出禁止令が出るほどにまでなった。ニューヨークでもブランド店からの略奪が過激化していた。テレビやネット上での報道でしか情報を得ることができなかったが,市民の激しい怒りが集積しているのが「Black Lives Matter」とスローガンを掲げるプラカードからひしひしと伝わる。
初めての一人旅でニューヨークを訪れたとき,きらびやかな街並みに心を躍らせたのはもちろんだが,何よりも感動したのは街を歩く人々の多様性だ。髪の色,肌の色,聞こえてくる言語,ファッション,全てが1人ひとり異なっていることへの衝撃はあまりにも大きかった。チャンスを掴むため,あるいは自分探しをするため,世界中からニューヨークに人が集まり,多様性が生まれる。あの刺激的な空気感が忘れられず,一瞬で虜になったのだ。今回のような悲惨な出来事からあの空気感が崩壊してしまうと思うと,胸が張り裂けそうになる。
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