理学療法ジャーナル 53巻6号 (2019年6月)

特集 上肢運動器疾患—若年者と中高年者の特徴

EOI(essences of the issue)
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 上肢の運動器疾患は,臨床において遭遇することが多く,しかも発症メカニズムは多彩であり関連する因子は単純ではない.本特集では,若年者のスポーツ障害と中高年者の上肢変性疾患の相違点を整理し,病態の違いによる理学療法の対応について解説した.

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はじめに

 上肢の関節は非荷重関節であり,若年者においては学生生活を含めた日常生活活動内では非外傷性の障害が起きにくい.中高年では骨棘や腱の退行変性といった加齢による器質的変化が影響し得るが,若年者においてその影響はほとんどみられない.一方,上肢を多く使うスポーツでは非日常的な高い運動負荷が上肢に加わる.上肢スポーツに従事している若年者では,上肢の運動量が多くなり,overuse(使いすぎ)として問題となることがしばしばみられる.筋や関節の機能低下が上肢運動器疾患に影響することはどの年代でも同じであるが,overuseが生じると軽微な機能低下でも障害を引き起こしてしまうことがある.

 以上より,若年者の上肢運動器疾患はoveruseと機能低下が組み合わさって生じると考えられ,上肢スポーツ活動においてその発生頻度が高くなるのは言うまでもない.さらに,成長期においては骨成長の程度によって障害が生じる部位や病態が異なってくることも考慮する必要がある.本稿では若年者の上肢運動器疾患の多くを占める非外傷性の上肢スポーツ障害を取り上げ,その特徴をバイオメカニクスの点から述べる.

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はじめに

 前項(543頁)では,肩・肘・手関節における上肢スポーツ障害の特徴がバイオメカニクス的視点より解説されている.スポーツは少年期より開始され,成年を経て中高年に至るまで広く実施されており,何よりもまず若年者のスポーツ障害に対する予防医療が必要とされ,少年野球を中心とした大規模な検診などにより提言が作成されている1).また並行して,欧米を中心としたスポーツ医学(The American Journal of Sports Medicine誌,Journal of Shoulder and Elbow Surgery誌など)の進歩のなかで,バイオメカニクス的視点より上肢スポーツ障害の病態とその特徴が明らかにされている.医療経済の観点からみると,スポーツの高度なパフォーマンスは聴衆の注目を集め,その結果スポンサーの協賛が高い収益をもたらすに至っている.したがって,バイオメカニクス的視点による病態解析は適齢期アスリートの障害を把握するために発展し,主に成人を想定して行われてきた.

 一方,先進国のなかでも特にこれからの日本では高齢者人口が増加し,健康寿命の延伸に伴い就労年齢が高くなり2),労務環境や姿勢,さらに体組成・骨量の変化,変性した靱帯・関節包などの緻密結合組織に微小ストレスの蓄積が起こると予測される.高齢化による筋力低下や関節拘縮,骨粗鬆症や軟骨変性による骨・軟骨の脆弱性に伴い発生する運動器機能障害により,運動療法を必要とする中高年者の運動器変性疾患の罹患者数は飛躍的に増加すると考えられ,その病態は加齢により変遷すると予測される.

 本稿では今後増加すると予測される成人から中高年者に発生する上肢運動器変性疾患の病態を,バイオメカニクスの視点とそれに関連する機能解剖より,他動運動を可能な限り忠実に再現した解剖標本画像を参照しながら解説する.

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はじめに

 肩峰下インピンジメントとは,上肢挙上時に肩峰や烏口肩峰靱帯に肩腱板付着部や肩峰下滑液包が圧迫されることで疼痛を起こす病態である.その原因として上腕骨頭の上方偏位や,肩甲骨上方回旋・後傾・外旋運動の減少(図1),肩腱板腱端部の腫大などが挙げられ,若年者から中高年者まで幅広くみられる.さらにこれらの要因として,肩腱板機能の低下,肩関節包の短縮,前鋸筋・僧帽筋下部線維の機能低下,小胸筋の短縮,肩関節不安定性,胸椎後彎アライメント,胸椎柔軟性の低下が挙げられる.また肩腱板腱端部・肩峰下滑液包の腫大は,肩峰下インピンジメントの結果として起こると考えられるが,これらの要因によりさらに肩峰下インピンジメントのリスクは増大し,悪循環に陥っていく(図2).本稿では肩峰下インピンジメントの原因について,若年者と中高年者に共通する点,異なる点をそれぞれ述べる.

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はじめに

 上腕骨外側上顆炎は,一般からスポーツ選手まで発症する,よく知られた疾患である.上腕骨外側上顆に起始をもつ手関節および指伸筋群のうち,特に短橈側手根伸筋(extensor carpi radialis brevis muscle:ECRB)の腱付着部症であるとされる1).付着部周囲には,症候の要因となり得る豊富な血管,神経組織,滑膜組織を含む滑液包や脂肪性結合組織などがみられる.腱付着部にストレスが加わり,周辺組織に炎症が波及することで,疼痛が発生すると考えられている.腱の退行性変性がみられること2)が共通認識として得られている一方で,その発生メカニズムについては諸説あり,コンセンサスが得られていない.本稿では,外側上顆炎の疫学,肘関節外側を中心とした解剖,関連するバイオメカニクスに関する知見を整理し,現在考えられている外側上顆炎の病態について,そのストレスの種類から分類して紹介する.最後に,これまで筆者が経験した臨床的見地から,外側上顆炎における若年者と中高年者の違いについて私見を述べる.

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はじめに

 上肢運動器疾患の多くは,関節機能の破綻や筋骨格系の器質的異常がまず疑われるが,本稿のテーマである「末梢神経障害」も高率に遭遇する.末梢神経障害の存在を,最初から念頭に置いて患者に向き合わないと,見当違いの評価・治療となる恐れもある.われわれ理学療法士が常日頃から末梢神経障害に対して“見抜く”意識をもつ必要があると考える.

 本稿では,肘部管症候群と胸郭出口症候群の解剖・病態について文献的考察を踏まえながら概説するとともに,若年者と中高年者の違いについて述べる.

連載 脳画像から読み取る障害像と理学療法・6

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Question

この脳画像からどのような障害像が読み取れますか?

とびら

3次元からの視点 千葉 哲也
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 先日,思ったように仕事が運ばず半分現実逃するように,ぼーっとテレビで小山宙哉原作の『宇宙兄弟』というアニメを見ていました.そのなかで宇宙飛行士,野口聡一さんの名言が出てきてハッとしました.

 「なぜ人は宇宙に行くのか?」という問いに対して,アリに例えて回答しています.

新人理学療法士へのメッセージ

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はじめに

 まずは理学療法士国家試験に合格された新人理学療法士の皆さん,おめでとうございます.これまでたくさんの努力をされ,つらかったかもしれない多くの実習や試験を乗り越えて,ひとまずホッとしたことでしょう.これから理学療法士として働き続けていくことに夢や希望で満ち溢れている反面,実際に働き始めてたくさんの緊張や不安を抱えながら日々過ごしていることと思います.私自身も十数年前,そのような思いで理学療法士として働き始め,あれよあれよという間にここまでやってきました.理学療法士として歩み始めた皆さんの少しでもお役に立てるよう,ちょっとだけ先輩の私自身の理学療法士人生を振り返りつつ,皆さんにメッセージを送りたいと思います.

1ページ講座 理学療法関連用語〜正しい意味がわかりますか?

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■概要

 複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)はこれまで,causalgia,反射性交感神経性ジストロフィー(reflex sympathetic dystrophy:RSD)と言われてきた病態が多様で変化しやすいために,さまざまな呼称や定義がなされてきた1).1994年,国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain:IASP)は,慢性疼痛として分類されているcausalgia(灼熱痛),RSDなど,「骨折などの外傷や神経損傷の後に疼痛が持続する症候群」で,浮腫や皮膚温変化,発汗異常などの交感神経機能亢進を示す疼痛疾患の総称をCRPSとして定義した.CRPSの「complex」は,自発性あるいは誘発性の灼けるような痛みが長期に持続し,臨床症状が複合的な変化を来すことを意味することより,本症候群の名称に入れられた.CRPSは,神経損傷の有無により,タイプⅠ(従来RSD),タイプⅡ(従来causalgia:末梢神経損傷後)という2つに分類された2)

1ページ講座 外国人とのコミュニケーション

トルコ 内藤 正典
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 トルコの人々はほとんどがイスラム教徒である.彼らとつきあううえで,日本人が踏まえておく必要があるのは,第一にイスラム的な道徳とルールである.と言っても別に難しいことではない.高齢者への敬意,子供への愛情,弱い立場の人への思いやりなど,日本でも大切にされてきたことと同じである.イスラムというと,とかくテロや戦争の報道ばかりが目を引くが,世界に16億人といわれるイスラム教徒が,そんなに乱暴な人であるはずもない.イスラム教徒の暴力というのは,逆に,守るべき弱者が迫害されるような状況が,現在のイスラム世界に蔓延してしまったために爆発したのである.

 イスラムでは,女性,子供,高齢者,旅人,それにもちろん病気や障がいをもつ人たちも守るべき存在とされる.トルコ人の場合も,この感覚は日本人よりはるかに強い.日本からトルコに旅行した人たちの多くが,現地の人に親切にされたという印象をもつのは,土地に不案内な旅人を弱者として守ろうとするからである.インバウンドの場合,同じことが期待されることは言うまでもない.したがって「もてなし」には対価を求めてはならない.

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はじめに

 “Communication”はその語源から「共有する,分かち合う」という意味であり,一方向性に情報を伝達するだけでなく,双方向性に情報を共有することが重要である.コミュニケーションに悩んだ場合,「自分が伝えた情報を相手が理解していない」,「相手からの情報が不足していた」など相手からの一方向的な情報の伝達に非をおいても改善は図れない.「自分の情報の伝達に問題はないか」,「相手からの情報収集が不足していないか」など自分の言動,行動を見直すことから情報の共有を図るとコミュニケーションは次第に円滑に進むようになる.

 本稿では,医療職間のコミュニケーションをより円滑に進めるためにどのような考えで言動・行動すべきか,医療現場で働く筆者の経験談をお伝えしたいと思う.

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はじめに

 あなたは,自分の働いている地域が「脳卒中死亡率が高いか低いか」,「ADL改善率が高いか低いか」,「理学療法士の人数が多いか少ないか」を知っているだろうか.現在はビッグデータ由来の情報によって,地域の医療に携わる者が,自分の地域の状況を診断し課題を捉え,解決策を見出していけるようになってきた.本稿では,主に脳卒中分野のリハビリテーション領域を素材にして,その現状と将来を考察していきたい.

 今,全国の医療・ケアの質の向上策として,医療の患者アウトカムや医療プロセスの均てん化(あまねく質の高い状態とすること)によって地域差をなくし,全体を底上げしていくアプローチが脚光を浴びている.好事例地域(ベスト地域)と課題地域(ワースト地域)を同定し,課題地域が好事例地域と同様のアウトカムを達成することが,均てん化達成への道筋である.

 近年,ビッグデータ由来の集計データや統計情報がオープンデータとして公表され,特別なデータに特権的にアクセスできる立場になくとも,たとえ1人の医療職であっても,地域診断を行うことができる状況となってきた.

 また,診療報酬改定は医療のアウトカムや質に応じた支払いの方向に舵を取りつつある.2018年度から動いている都道府県第7次医療計画や2015年からスタートした地域医療構想の策定も,地域それぞれの課題を同定したうえでそれを解決する枠組みになっている.本稿では,読者がビッグデータの活用によって診療報酬と医療計画を地域においてつなぎ,地域の特性を踏まえた将来像を展望することができることをめざす.

 目の前の1人ひとりの患者さんと向き合って最善の医療・ケアに努め,また,所属する医療機関の質と収益に貢献するとともに,医療ビッグデータを活用して地域の改善にも貢献することができる環境が整いつつある.1人ひとりの理学療法士など医療提供者がどの地域で働くべきか,ミッションやキャリアを考えるときにも有益な情報となる.

 本稿では,主に脳卒中分野のリハビリテーション領域を素材として,ビッグデータ由来のオープンデータによって,理学療法士が地域アウトカムの改善にどう参加していけるかを考えることとする.

臨床実習サブノート 「日常生活活動」をみる・2

食事 大場 みゆき
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はじめに

 日常生活における食事は,生命を維持するために不可欠であり,生活の質を高めるうえでも重要な活動です.臨床では,脳血管疾患,がん,高齢者の廃用症候群など幅広い疾患を有する患者の食事場面に対応することが求められます.また摂食機能障害のある患者は摂食・嚥下だけにとどまらず,他の障害を併せ持ち,症状も多岐にわたることが少なくありません.

 食事に対するリハビリテーションの目標は,自分の手で,安全に,おいしく食べることです.その目標を達成するために,理学療法士は,主に上肢を使うための体幹の安定性,摂食・嚥下運動に必要な頸部・体幹の安定性,全身持久性など,身体的側面でかかわります.食事は運動機能面だけでなく,食形態,食事環境,食具,自助具など多様に検討する必要があり,さまざまな職種との連携・協働が求められます1)

あんてな シリーズ 介護予防への取り組み・6

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はじめに—介護予防と保険外サービス

 介護予防は大転換する時代に入っている.サービス提供は介護保険による予防や,市町村介護予防事業のみならず,住民主体や通いの場,さらには民間資源活用へと拡大している.地域の介護予防は,「自宅周辺の生活」を中心に組み立てられ,「保険外サービスを含めた地域資源」を「必要とする個人へしっかり提供できること」が重要である.このために「個別事例による地域ケア会議」は地域資源やサービスを知る重要な場となり,理学療法士が積極的に参加し地域を学ぶことが今後ますます重視される.

 今後の理学療法士は,地域においても対象者個人だけでなく,地域住民という「集団」や「まち」の「活動性を維持向上させる」重要な役割を担う職種である.

 われわれは,大学として,連携による「地域包括ケア」の実践と教育をめざし,医師会,住民,豊明市,民間企業と連携して「まちの介護予防」を実践している.本稿では実践の一端を紹介する.

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●学術大会概要

 この度,第5回日本小児理学療法学会学術大会を開催しました.初めての単独学術大会ということもありましたが,入場制限をするほど多くの方に参加いただきました.

 また,一般演題に多くの応募があり,88演題を採択しました.各会場において日頃の研究成果の発表が行われ,活発な質疑応答がなされ,盛会裏に収めることができたと考えます.

甃のうへ・第68回

私の愛おしい時間 上路 拓美
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 平成元年に結婚し翌年に長女が生まれ,わが家の子育てが始まりました.私は母になったら専業主婦になろうと思っていましたが,いろいろな事情でその期を逸してしまい,働きながら4人の子どもを育ててきました.当時の職場には育休制度はなく,産後8週での復職でしたが,私は諸事情で5か月間休ませてもらうことができました.しかし,いざ復職するとなると,問題は今の時代と変わらず保育園探し.その頃はまだフルタイムに対応した保育園が少なく,ようやく夫の勤務先の院内保育園に入ることができました.そこは親同士のつながりがとても強く,ともに県外出身者である私たち夫婦はほかの家族にずいぶん助けていただきました.3人目が生まれ,当時の職場の条件では3人子育てをしながら仕事を続けることが難しく,またもっと勉強をしたいという思いもあり,今の職場に転職しました.

 その頃は毎朝5時に起きて,洗濯,朝食・夕食の準備をし,子どもたちの準備をし,ご飯を食べさせて出勤.保育園に子どもたちをお願いし,夕方ばたばたと迎えに行き,夕飯,片づけ….お風呂と寝かしつけは夫の役目でしたが,寝るのはいつも1時頃.しかし2時間もすると授乳のために起こされ,すぐに5時….「疲れた〜」,「ゆっくり寝たい」,と思ってもそれはかなわず.今振り返ると,若さとはなんとすばらしかったことか! 4人目が生まれたとき,子どもたちは6歳,4歳,3歳,0歳で,保育園だけではなく小学校,学童保育とのかかわりも出てきて,それまで地域で育ってこなかった子どもたちのために,PTAや部活動の保護者会,学童の保護者会に夫と分担してできるだけ参加しました.さまざまな場面で子どもの成長を感じることもありましたが,「なぜうちの子は…」,「育て方が悪かったのでは…」と落ち込むこともたくさんありました.

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要旨 【目的】経産婦と未産婦の骨盤形態の実態と分娩の骨盤形態への影響度について判別分析を用いて調査した.【方法】20〜40歳の87名の健常女性を対象とした.対象者の内訳は,経腔分娩を経験した37名(vaginal delivery;VD群)と,未産婦50名(nulliparity;N群)とした.統計は,判別分析を用い骨盤のねじれの有無を従属変数とし,一般身体計測値,骨盤外計測値,分娩経験の有無を独立変数とし実施した.【結果】骨盤ねじれはVD群のほうがN群と比較し有意に強かった.また骨盤のねじれは,VD群86.5%,N群68.0%に認めた.判別分析の結果,正準判別関数指数は年齢と分娩経験の有無が選択された.【結論】骨盤のねじれの発生には,骨盤への経年的な負荷と経腟分娩の経験が関与することがわかった.骨盤への負荷は,妊娠期から分娩後の不安定期や月経期に生じる機械的ストレスが発生増強因子となる可能性が示唆された.

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要旨 【目的】Lateropulsion(LP)を認めた症例に対し,原因を前庭機能障害と推察し運動療法と直流前庭電気刺激(galvanic vestibular stimulation:GVS)を併用した介入の効果を検証した.【方法】40歳台,男性.研究デザインはBAB型シングルケースデザインを用いた.操作導入期はGVSと運動療法を併用し非導入期は運動療法のみとした.評価項目はScale of the assessment and rating of ataxia(SARA)と重心動揺計で測定した左右方向動揺平均中心変位,矩形面積,総軌跡長とした.【結果】SARAはB1期後に改善したが,それ以降の変化はなかった.左右方向動揺平均中心変位はA期後と比較してB1,2期後に著明な改善を認めた.矩形面積,総軌跡長は立位条件により変化が異なった.【結論】運動療法にGVSを併用することで前庭機能障害が原因と推察されるLPを改善できる可能性が示唆された.

臨床のコツ・私の裏ワザ

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後頸部の筋の走行

 後頸部には,浅背筋である僧帽筋下行部(後頭骨;第1-7頸椎の棘突起〜鎖骨外側3分の1に付着)が走行します.僧帽筋下行部と胸鎖乳突筋(後頭骨の上項線;側頭骨の乳様突起〜胸骨頭は胸骨柄,鎖骨頭は鎖骨内側3分の1に付着)の間には,深背筋である頭半棘筋(上位6胸椎横突起;下位3-4頸椎の関節突起〜後頭骨の上項線と下項線の間に付着)と頭板状筋(下位5頸椎の項靱帯;上位2-3胸椎棘突起〜側頭骨の乳様突起・後頭骨の上項線外側部に付着)が走行します.後頭下筋群は僧帽筋下行部・頭半棘筋あるいは頭板状筋のさらに深層を走行します.この後頭下筋群の筋緊張が亢進すると,大後頭神経が絞扼されて頭痛を引き起こすことがあります.そのため後頭下筋群の筋緊張について,段階的に触診して評価できることが重要です.

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 「私は母になる前から夫の妻で,妻になる前から理学療法士だった.だからもう1回理学療法士として頑張りたいな」

 私が理学療法士になって,17年近く経ちます.国家資格を取得し,「結婚しても,子供が生まれても,理学療法士として働く!」と熱の込もったスタートを切りました.

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目次

文献抄録

編集後記 網本 和
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 いつも大晦日から元日にかけて,睡魔と戦いつつ「ゆく年くる年」を見ながら普段と変わらない時が流れてゆくさまを味わうのが習慣ですが,今年は4月30日から5月1日にかけて元号の改まる瞬間を経験することができました.思えば筆者は昨年還暦を迎え,おおむね昭和で30年,平成で30年を息災に過ごし,今また新しい令和の時代を迎えることができることの喜びを静かにかみしめています.読者の皆さまはこの新しい時代をどのように過ごされましたでしょうか.

 本号の特集は「上肢運動器疾患—若年者と中高年者の特徴」です.上肢に発生する運動器疾患と聞いて,どのような病態を思い浮かべるでしょうか.思い浮かべるその方の立場や勤務する場所によって千差万別の様相を呈するのではないでしょうか.今回はこの多彩な病態について「若年者と中高年者」という切り口で解説をいただきました.村木論文では,肩・肘・手関節に頻発するスポーツ障害の発生要因について,それぞれの動作における特性を言及していただき,予防の重要について強調されています.この論文に引き続き「中高年者」に焦点を当てたのが青木論文です.肩峰下インピンジメント,上腕骨外側上顆炎などについて中高年者の特徴が鮮明な解剖図とともに解説されています.同じく上田論文では,肩峰下インピンジメントの要因における若年者と中高年者の相違点について詳細に記述され,坂田論文では上腕骨外側上顆炎について年代によって病態理解が異なる点が強調されています.宇良田論文では,肘部管症候群と胸郭出口症候群を取り上げ,その定義,発症要因,臨床像,治療について述べられ,器質異常のなかに潜む末梢神経障害を見逃すことがないよう留意すべきとの指摘がされています.

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基本情報

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理学療法ジャーナル
53巻6号 (2019年6月)
電子版ISSN:1882-1359 印刷版ISSN:0915-0552 医学書院

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