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いつも大晦日から元日にかけて,睡魔と戦いつつ「ゆく年くる年」を見ながら普段と変わらない時が流れてゆくさまを味わうのが習慣ですが,今年は4月30日から5月1日にかけて元号の改まる瞬間を経験することができました.思えば筆者は昨年還暦を迎え,おおむね昭和で30年,平成で30年を息災に過ごし,今また新しい令和の時代を迎えることができることの喜びを静かにかみしめています.読者の皆さまはこの新しい時代をどのように過ごされましたでしょうか.
本号の特集は「上肢運動器疾患—若年者と中高年者の特徴」です.上肢に発生する運動器疾患と聞いて,どのような病態を思い浮かべるでしょうか.思い浮かべるその方の立場や勤務する場所によって千差万別の様相を呈するのではないでしょうか.今回はこの多彩な病態について「若年者と中高年者」という切り口で解説をいただきました.村木論文では,肩・肘・手関節に頻発するスポーツ障害の発生要因について,それぞれの動作における特性を言及していただき,予防の重要について強調されています.この論文に引き続き「中高年者」に焦点を当てたのが青木論文です.肩峰下インピンジメント,上腕骨外側上顆炎などについて中高年者の特徴が鮮明な解剖図とともに解説されています.同じく上田論文では,肩峰下インピンジメントの要因における若年者と中高年者の相違点について詳細に記述され,坂田論文では上腕骨外側上顆炎について年代によって病態理解が異なる点が強調されています.宇良田論文では,肘部管症候群と胸郭出口症候群を取り上げ,その定義,発症要因,臨床像,治療について述べられ,器質異常のなかに潜む末梢神経障害を見逃すことがないよう留意すべきとの指摘がされています.
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