臨床経験
妊娠34週以降の重症PIH症例の帝切率低下に向けた前方視的検討
柴田 貴司
1
,
中後 聡
,
松木 理薫子
,
徳田 妃里
,
加藤 大樹
,
大石 哲也
,
小辻 文和
1愛仁会高槻病院 産婦人科
キーワード:
Oxytocin
,
血圧
,
帝王切開術
,
妊娠後期
,
妊娠高血圧症候群
,
自然分娩
,
分娩誘発法
,
前向き研究
Keyword:
Blood Pressure
,
Cesarean Section
,
Labor, Induced
,
Natural Childbirth
,
Oxytocin
,
Pregnancy Trimester, Third
,
Prospective Studies
,
Hypertension, Pregnancy-Induced
pp.333-339
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00535.2016193033
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妊娠高血圧症候群(PIH)では児の成熟が期待できる妊娠週数となれば積極的分娩誘導が推奨され、重症例でも経腟分娩を試みることが可能とされる。だが、臨床現場では帝王切開(帝切)が選択されることが多いのが現状である。この要因として経腟分娩を試みた場合の「さらなる血圧上昇」と「重篤な合併症の突発」に対する不安が大きいものと推測される。そこで、これらの合併症発症の予兆を明確にし、その出現を緊急帝切の適応とする診療指針が帝切率の低下につながるか否かを前方視的に検討した。その結果、1)本指針を適応した重症PIH 41例中、36例で経腟分娩を試行したところ、12例が帝切となった。重症PIH全体の帝切率41%(17/41例)に対し帝切率は33%(12/36例)となった。2)妊娠34週以降において本指針採用前の帝切率は96%(43/45例)であったが、本トライアル導入により帝切率は96%から41%と有意に低下していた。以上より、明確な診療指針を設けることにより不要な帝切を回避できるものと考えられた。
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