症例
胎盤転移をきたした肺癌合併妊娠の1例
廣瀬 佑輔
1
,
土肥 聡
,
折坂 勝
,
奥山 亜由美
,
村元 美幸
,
遠武 孝祐
,
宮上 哲
,
小谷 美帆子
,
安藤 直子
,
市塚 清健
,
長塚 正晃
1昭和大学 医学部産婦人科学講座
キーワード:
胸部X線診断
,
脊椎腫瘍
,
胎盤疾患
,
帝王切開術
,
妊娠合併症-腫瘍性
,
肺腫瘍
,
腰痛
,
致死的転帰
,
Crizotinib
,
Alectinib
,
胸部CT
,
大細胞神経内分泌癌
Keyword:
Cesarean Section
,
Lung Neoplasms
,
Placenta Diseases
,
Pregnancy Complications, Neoplastic
,
Spinal Neoplasms
,
Radiography, Thoracic
,
Low Back Pain
,
Fatal Outcome
,
Crizotinib
,
CH5424802
pp.347-352
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00535.2016193035
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33歳(1経妊1経産)。妊娠29週0日目より日常生活が困難な程の腰痛が出現、近医の産婦人科にて入院での安静管理となったが、妊娠29週4目日に臀部~両大腿外側面のしびれが出現したため整形外科へ紹介、腰椎単純MRIでは多発骨腫瘍を認め、胸部X線像では左肺野に腫瘤影が認められた。悪性腫瘍と考え、以後、精査加療目的で著者らの施設へ転院となった。来院時、体動や座位が困難なほどの疼痛であるも、胎児超音波検査では胎児の推定体重は妊娠週数相当で奇形や胎盤腫瘤などは認められなかった。また、腫瘍マーカーの高値を認め、経気管支鏡検査にてIV期大細胞神経内分泌癌(LCNEC)と診断された。以後、関連科ほか、家族と検討して、まず分娩は妊娠31週1日目に選択的帝王切開術を施行し、1653gの男児を分娩した。そして、母体に対しては化学療法として分娩後8日目よりcrizotinib、分娩後98日目よりalectinibを投与した。だが、患者の全身状態は悪化して、分娩後134日目に死亡となった。尚、胎盤病理結果から胎盤転移を認めたが、児には問題なく、目下も外来でフォロー中である。以上より、妊婦の難治性腰痛は本症例のように骨転移の症状であることを念頭に置いて診察することが必要であると示唆された。
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