胃と腸 48巻7号 (2013年6月)

今月の主題 消化管内分泌細胞腫瘍の診断と治療―WHO分類との対比

序説

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初期の概念

 内分泌細胞性腫瘍は,1888年にLubarsch1)によって,消化管の癌に類した良性腫瘍として報告され,その後Oberndorfer2)により本腫瘍は組織学的には異型の低い,特徴的な細胞配列を示す腫瘍で,発育は緩徐で転移の少ない予後良好の腫瘍として,カルチノイド腫瘍と命名した.その後Pearsonら3)が本腫瘍の中には転移を来すものが少なからずあると報告し(42例中16例,38%),それ以来悪性腫瘍として認識されるようになった.

 本腫瘍は銀親和性を示すことから,内分泌細胞性格を有しKultzchutzky細胞由来と想定され4),さらにセロトニンないしはヒスタミンを産生し,カルチノイド症候群を呈することも明らかにされてきた5).また電子顕微鏡で腫瘍細胞内に神経分泌顆粒(neurosecretory granule)を有していることも報告された6)

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要旨 消化管内分泌細胞腫瘍の日本の分類と2010年WHO分類を対比した.日本の分類は腫瘍細胞の異型度に基づく分類であり,2010年WHO分類は腫瘍細胞の分化度と増殖能(核分裂数とKi-67指数)に基づく分類であった.このため,基本の組織型であるカルチノイド腫瘍とNET(NET G2の扱い),内分泌細胞癌とNEC(NET G2と複合型癌の扱い),腺内分泌細胞癌とMANEC(一方の成分が30%未満の腫瘍の扱い)に不一致が生じていた.特に内分泌細胞癌・NECと腺癌の複合型癌については,日本の分類の腺内分泌細胞癌は全体を包括できるが,2010年WHO分類のMANECは一部の腫瘍にしか適用できず,不十分であった.2010年WHO分類の問題点として,核分裂数のGradingに接眼レンズの視野数による補正を要すること,術前診断への適用の限界を指摘した.日本の分類との互換性のために2010年WHO分類を改変した記載案を示した.2010年WHO分類にあるgoblet cell carcinoidは,日本の分類では低分化腺癌非充実型であることを述べた.

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要旨 内分泌細胞腫瘍は緩徐な発育を示すカルチノイド腫瘍と急速な発育で予後不良な内分泌細胞癌の2種類の組織型に大別される.上部消化管では,食道のカルチノイド腫瘍,十二指腸の内分泌細胞癌の発生は極めてまれで,食道の内分泌細胞癌,十二指腸のカルチノイド腫瘍を時に経験する.胃カルチノイド腫瘍はその組織発生背景の相違によりI型 : A型胃炎に伴うもの,II型 : 多発性内分泌腫瘍1型/Zollinger-Ellison症候群に合併するもの,III型 : sporadicなものの3型に分類され,病理学的・生物学的な特徴に顕著な違いがある.胃内分泌細胞癌は腺癌より発生して高率に転移を来し,通常の腺癌よりも予後不良である.近年,内分泌細胞腫瘍に対してKi-67 indexを重視するWHO分類が発表され,急速に広まっている.しかし,Ki-67は内分泌細胞腫瘍の生物学的因子の1つにすぎず,カルチノイド腫瘍と内分泌細胞癌の独立した組織型を結びつけるものではないので,病理学的には従来通り組織由来を重視した運用が望まれる.

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要旨 消化管内分泌細胞腫瘍は臨床病理学的特徴からカルチノイド腫瘍と内分泌細胞癌に分類される.WHO分類(2010年)は,腫瘍細胞の核分裂数とKi-67指数のみを組み合わせた組織学的分類で,神経内分泌腫瘍(NET G1/G2)と神経内分泌癌(NEC)に分類される.下部消化管のカルチノイド腫瘍の多くが直腸に発生し,悪性度の指標としては,腫瘍径,深達度,中心陥凹・潰瘍形成,核分裂像,脈管侵襲,およびKi-67指数が有用である.核分裂数とKi-67指数のみを組み合わせたWHO分類では,神経内分泌腫瘍(NET)の悪性度を推定するのは難しい.高悪性度癌である内分泌細胞癌は高率に腺癌を伴うが,WHO分類によれば腫瘍成分の割合によっては腺神経内分泌癌(MANEC)ではなく腺癌と診断されるため,呼称に真の悪性度が反映されない危険性をはらんでいる.虫垂の杯細胞カルチノイドの生物学的態度は,5年以上経過観察された8例中6例が5年以内に癌性腹膜炎で死亡していたことなどから,従来考えられている以上に十分な悪性性格を有しており,カルチノイドの1variantとするには特徴的組織像からも予後の点からも問題がある.

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要旨 1997年から2012年の間に当院で経験した胃カルチノイド腫瘍23例を臨床病理学的に解析した.WHO分類(2010年)に従うとNET(neuroendocrine tumor)G1(15例)とG2(8例)に分類され,TNM分類ではT1N0M0 Stage I(19例),T2N0M0 Stage IIA(3例),T2N1M0 Stage IIIB(1例)であった.原則的にRindi分類に基づいて治療し(外科的切除6例,内視鏡的切除12例,経過観察5例),1年以上経過を追えた20例(観察期間中央値73.5,12~180か月)のうち,肝転移から原病死したNET G2(Ki-67指数12%)の手術症例1例以外の19例はすべて,再発・転移や原病死を認めなかった.脈管侵襲陽性は4例で,これにリンパ節と肝転移のいずれかが陽性であった2例を加えた6例は,NET G2またはT2に分類された全11例の55%を占め,12例のNET G1かつT1症例の0%に比し,有意に高値であった(p<0.05).以上から,胃カルチノイド腫瘍に対しては,Rindi分類に基づき適切な治療を選択することと,いくつかの病型を総合的に評価し,脈管侵襲,転移と予後を予測し,長期間慎重に経過観察することが重要であると考えられた.

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要旨 十二指腸を含む小腸カルチノイド29例の臨床病理学的特徴を検討した.占居部位は十二指腸球部17例,下行脚4例,回腸8例であり,十二指腸の1例と小腸の2例で多発病変を認めた.基本的な形態は広基性ないし亜有茎性隆起であり,十二指腸病変より小腸病変のほうが大きかった.内視鏡では黄白色調の粘膜下腫瘍様隆起が特徴的で,点状発赤や拡張した血管,頂部陥凹を伴う病変も存在した.WHO分類では全例がNET G1に相当したが,リンパ節転移や肝転移を来した症例も存在した.リンパ節転移の有無が判明した13例を検討したところ,陽性例は小腸病変が多い傾向にあったが,WHO分類に差はなかった.以上より,NETのWHO分類を本邦の小腸カルチノイドに適応させるか否かに関してはさらに症例を集積して検討する必要があると思われた.

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要旨 2010年のWHO分類に従い,当センターで経験した直腸カルチノイド腫瘍55病変についてKi-67指数を用いて,また,2005年に全国集計を行ったカルチノイド腫瘍のうち,腫瘍細胞の核分裂像の有無の記載のあった379病変について,核分裂像なしをNET G1,ありをNET G2として分類し,その臨床的な差異について検討を行い,併せて直腸カルチノイド腫瘍の治療方針についても提案した.NET G2はG1に比較して有意に女性の頻度が高く(p<0.001),発見年齢は高齢であり(p=0.03),大きさが大きく(p<0.001),表面性状は凹凸または潰瘍を呈する病変が多く(p<0.001),外科手術が施行され(p=0.02),脈管侵襲(p=0.04),リンパ節転移(p<0.001),遠隔転移(p<0.001)の頻度が高かったが,原病死の頻度に差は認めなかった(p=0.07).直腸カルチノイドのうち,60歳以上の女性に発見される大きさ10mm以上で,内視鏡的に表面に凹凸や潰瘍を認める病変では,悪性度の高いNET G2も考慮して慎重な術前検査と治療の選択が必要である.

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要旨 A型胃炎に伴う胃カルチノイド症例の長期予後を多施設で後ろ向きに調査した.治療方針は胃全摘術から経過観察まで種々の方法が行われていたが,各方法とも再発や転移あるいは原疾患による死亡はみられなかった.A型胃炎に伴う胃カルチノイドは多発する数mmの小さな腫瘤がよくみられるが,これらは1年ごとの経過観察で対応可能であり,10mm前後の病変は内視鏡治療が適切であると考えられた.

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要旨 sporadic typeの胃カルチノイド腫瘍の治療方針や臨床経過を明らかにする目的で,全国の10施設より集積した30例を対象に臨床病理学的検討を行った.大きさが5mm以下では転移例はなく,11mm以上の症例は10mm以下に比べて転移率が有意に高かった(p=0.042).組織型はNET G1とNET G2の間には転移率に差はなかったが,NECはNET G1+NET G2に比べて転移率が有意に高かった(p=0.018).深達度はMとSMの間には転移率に差はなかったが,MPはM+SMに比べて転移率が有意に高かった(p=0.049).脈管侵襲陽性例と陰性例の間には転移率に有意な差を認めなかった(p=0.072)が,陽性例で転移率が高い傾向がみられた.sporadic typeの胃カルチノイド腫瘍に対する内視鏡治療の適応は,NET G1ないしNET G2で,かつ10mm以下の病変に限るべきであり,術前に超音波内視鏡で深達度を評価することが必須である.

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要旨 患者は57歳,男性.著明な下痢で発症し,内視鏡検査で十二指腸第2部に粘膜下腫瘍を認め,生検でカルチノイド腫瘍,免疫染色で抗ガストリン抗体陽性であった.血清ガストリン値は1,300pg/ml(基準値 ; <200pg/ml)と著明な上昇,セクレチン負荷試験,選択的動脈内刺激薬注入試験(selective arterial secretagogue injection test by calcium ; Calcium-SASI)から膵頭・十二指腸領域に発生したガストリノーマによるZollinger-Ellison症候群と診断した.術前検査では転移の所見はなく,2006年2月に十二指腸局所切除を行った.切除標本の病理所見では,腫瘍径8×5mm,粘膜下層にとどまるカルチノイド腫瘍で,脈管侵襲はなく,Ki-67 labeling index,核分裂像からWHO分類のNET(neuroendocrine tumor)G1に相当すると考えられた.切除後には自覚症状は改善し,血清ガストリン値も正常値となった.その後6年間,無再発生存中である.

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要旨 患者は49歳,女性.大腸がん検診の便潜血検査が陽性で,近医で下部消化管内視鏡検査を施行し,下部直腸に腫瘍径約11mmの粘膜下腫瘍を認めた.色調は黄白色調で基部にややくびれを有し,頂部には陥凹を伴っていた.前医の生検で直腸NETの診断であり,ESDを施行した.切除標本の病理所見は深達度SM,断端陰性,脈管侵襲陰性であったが,核分裂像はほとんどみられず,Ki-67 L.I.が5.2%と高値を呈していた.ESD後は1年ごとのCT検査を行っていたが,2年8か月後のCTで多発肝転移を認めた.追加治療を行ったが,6年8か月後に死亡した.2010年にWHO分類が改正され,Ki-67 L.I.がグレード識別項目となったが,今後転移予測因子となりうるのかについて症例の蓄積が待たれる.

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要旨 患者は41歳,男性.近医で行った検診エコーにて肝の多発性腫瘤を指摘され,当科の外来に紹介され受診となった.腹部造影CTにて直腸に腫瘍性病変も認めたため,下部消化管内視鏡検査を施行したところ,上部直腸に発赤調の30mm大の隆起性病変を認めた.同部からの生検にて,好酸性の僅少の胞体を有する均一小型腫瘍細胞のリボン状増殖が認められ,免疫染色にてchromogranin陽性,synaptophysin陽性,CD56陽性,Ki-67指数2%未満で核分裂像をほとんど認めなかった.NET(neuroendocrine tumor)G1(carcinoid tumor)と診断し,低位前方切除術と肝移植術を施行し,術後病理ではNET G2であった.本症例は神経内分泌腫瘍の診断・加療において示唆に富む症例と考え報告する.

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要旨 患者は66歳,女性.血便を主訴に当科外来を受診し,大腸内視鏡検査を施行したところ,直腸Rbに18mm大の隆起性病変を認め,中央には発赤した陥凹面を認めた.陥凹辺縁から隆起の立ち上がりにかけて正常粘膜に覆われた粘膜下腫瘍様の像を呈し,短い茎を有する杯状の形態を示していた.各種検査にて,粘膜下層深部まで達する18mm大の直腸カルチノイドで,陥凹を伴っており,手術適応の病変と診断し,腹腔鏡下超低位前方切除術を施行した.切除病理標本にて,WHO分類NET G1のカルチノイド腫瘍であり,脈管侵襲陽性でリンパ節転移を認めた.

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要旨 患者は33歳,女性.下腹部痛,粘血便を主訴に受診.大腸内視鏡検査で,S状結腸に潰瘍を伴う狭窄を認めた.潰瘍辺縁の発赤調粘膜を除き,上皮性悪性腫瘍を示唆する所見を認めなかった.形態からはびまん浸潤型大腸癌が疑われ,生検で低分化腺癌と診断された.病理組織学的には,間質反応を伴った直接浸潤と著明なリンパ管侵襲を認め,潰瘍よりも広範囲に癌が浸潤していた.組織型は低~中分化腺癌から成り立っていた.

Coffee Break

見る 6.身体で見る 長廻 紘
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 われわれは眼耳鼻舌皮膚の五感を通して外界を知る.「見聞」にみるように,五感のうちでは見ると聞くは別格で,さらに,百聞は一見にしかずというように,見るは聞くよりも圧倒的である.すなわち,見るは知るとほぼ等しいと考えてさしたる不都合はない.平知盛が壇ノ浦の海に身を投じる時に言った「見るべき程のことは見た」は,「すべてを知った」と同じである.

 ものを知る方法には二つある.知識を他から得る(他動的)と,自力で得る(自主的)と.他から得るとは外から情報を仕入れることである.書物文献を読むことと,学校教育に典型的な教育などである.受動的であるから自己の能力を超えれば消化できないし,簡単に消え去りうる.入門不是家珍.

消化管組織病理入門講座・2

【大腸】腺腫と高分化腺癌 和田 了
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はじめに

 大腸の腺腫*1と腺癌*2は本邦の最もポピュラーな病変であり,病理診断業務を専らとする病理医師にとっては毎日のように病理診断している病変である.本稿では,入門編的な意向の中で,“大腸の腺腫と高分化腺癌”と題して,それぞれの代表的組織像を提示しつつ,各腫瘍の組織学的基本像をできるだけシンプルに解説していく.

早期胃癌研究会

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 2012年12月の早期胃癌研究会は2012年12月19日(水)に笹川記念会館で開催された.司会は長浜隆司(早期胃癌検診協会)と小林広幸(福岡山王病院消化器内科),病理は味岡洋一(新潟大学大学院分子・診断病理学)が担当した.

2013年1月の例会から 斉藤 裕輔
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 2013年1月の早期胃癌研究会は1月18日(金)日本教育会館一ツ橋ホールにて開催された.司会は斉藤裕輔(市立旭川病院消化器病センター)が,病理は八尾隆史(順天堂大学医学部人体病理病態学)が担当して活発なディスカッションが行われた.

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 私が最初に手にとった「胃と腸」誌は,11巻1号「早期胃癌肉眼分類の再検討」(1976年)である.消化器内科医になりたての1986年,オーベン(伊東正一郎先生)から「まず,これを読んでみたら」と手渡されたのがこの1冊である.座談会「早期胃癌肉眼分類の再検討」では肉眼分類の原則,複合型の取り扱いについて熱く討論されており,以後診断に疑問が生じるたびに読み返した.23巻1号「X線・内視鏡所見と切除標本・病理所見との対比(胃)」(1988年)も素晴らしい.X線・内視鏡・EUS所見と切除標本肉眼所見の対比,切除標本肉眼所見と病理組織所見の対比,そのエッセンスが凝集している.この号により,私は切除標本肉眼所見を介して病理組織所見をX線や内視鏡といった臨床画像所見にフィードバックする手法と,その重要性を学んだ.若い先生方必読の号である.

 さて,そろそろ“私の一冊”を決めねばならない.これもいいし,あれも捨てがたい.いっそのこと“「胃と腸」,私の全冊”としたいところではあるが,あえて1冊選ぶとすれば第23巻7号「微小胃癌診断―10年の進歩」(1988年)を挙げたい.本号をめくると,切除標本肉眼像はすべて外科手術例であり,内視鏡写真もほとんどがファイバースコープによるものである.現在のハイビジョン電子スコープに比べれば当然画質は落ちるが,病変にかける情熱はひしひしと伝わってくる.なかでも,X線診断において「微小胃癌で悪性を疑わせる所見は胃小区1個単位における段差と先細りである」とした渕上論文は,論旨・写真ともに卓抜している.

学会印象記

第99回日本消化器病学会総会 平井 郁仁
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 われわれ医師にとって,学会は,ある種の祭りで,ハレの場である.もちろん,騒ぎ,興じることが目的ではなく,専門家やそれを志す医師が集結し,その道を極めるための方策を模索する場である.したがって,学会は「知識を吸収する」,「研究成果を発表する」,「意見を交換する」,「必要な技術を習得する」などの場を過不足なく提供する必要がある.その意味で,第99回日本消化器病学会総会は学会の役割が十分に考慮され,参加者を満足させたものであったとまず強調したい.

 本学会は,鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学 坪内博仁先生が“究理創造~未来につなぐ新たな消化器学”をテーマとして主催された.まさにこのテーマの意味が至るところに配置されたプログラムであった.会期は平成25年3月21日~23日の3日間で,城山観光ホテル,かごしま県民交流センターの2会場で行われた.両会場はやや離れた場所にあったが,シャトルバスの運用と領域が考慮されたプログラムにより不便は感じなかった.開花が早まった満開の桜が祭りに色を添えており,移動の際には鶴丸城などの桜を堪能できた.筆者は,木曜午後から学会に参加し,下部消化管のセッションを中心に聴講した.参加した全てのセッションについての紹介はできないので,印象的であったいくつかをピックアップして述べたい.

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欧文目次

「今月の症例」症例募集
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 「今月の症例」欄はX線,内視鏡写真など形態学的所見が読めるようにきちんと撮影されている症例の掲載を目的としています.珍しい症例はもちろん,ありふれた疾患でも結構ですから,見ただけで日常診療の糧となるような症例をご投稿ください.

早期胃癌研究会 症例募集
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早期胃癌研究会では検討症例を募集しています.

画像のきれいな症例で,

・比較的まれな症例,鑑別が困難な症例.

・典型例だが読影の勉強になる症例.

・診断がよくわからない症例.

学会・研究会ご案内

投稿規定

編集後記 海崎 泰治
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 “カルチノイド(がんもどき)”の名称は,もともと発育が緩徐で転移の少ない予後良好な腫瘍群に対して与えられた.その後,その腫瘍は内分泌性格を有することが示され,分泌ホルモンによる多彩な症状,容易でない悪性度診断,ユニークな組織発生などの特異な性質も相俟って,非内分泌臓器に発生する内分泌細胞腫瘍の代名詞として長い間定着していた.しかし,生物学的態度を限定したこの名称は,類似した組織像だが生物学的態度が異なる腫瘍にmalignant carcinoid(悪性がんもどき)などの明らかなmisnomerをも生み出した.この用語の混乱からWHO分類は2010年に,予後良好な腫瘍を想起しがちなカルチノイドの名称を排除し,NET(neuroendocrine tumor)の名称で内分泌細胞腫瘍を統一した.長い間親しまれたカルチノイドという名称が消滅の危機に瀕しているのである.

 臨床的には,カルチノイドは予後良好と考えられるため通常の癌よりも侵襲の小さい治療を行うべしとされているが,かといって不完全な治療による遺残再発で生命を脅かすことがあってはならない.この腫瘍にこそ通常の癌とは違った治療ガイドラインを作成すべきであるが,いかんせん症例数が少ない.

次号予告

基本情報

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胃と腸
48巻7号 (2013年6月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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