胃と腸 47巻2号 (2012年2月)

今月の主題 改訂された胃生検Group分類の現状

序説

胃生検Group分類の変遷 柳澤 昭夫
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 胃生検のGroup分類は本邦において普及し,生検組織診断の客観的かつ簡便な表現として用いられ,胃癌診断の進歩,治療方針の決定に大いに役立ってきた.この分類は,1971年胃生検組織診断規準(Group分類)として「胃癌取扱い規約,第8版」に初めて記載された1).その後,1985年(第11版)に胃生検組織診断基準(Group分類),1999年(第13版)に胃生検組織診断分類(Group分類)として,そして,今回(2010年),胃生検組織診断分類(Group分類)として改訂(第14版)された2)~6)

 胃生検Group分類は,このようにその名称を規準,基準,分類と微妙に変えているが,各Group内容の大きな改訂は,第8版から第11版の改訂時と今回の改訂(第14版)で行われている.

主題

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要旨 胃生検組織診断分類は「胃癌取扱い規約第14版」において大幅な改訂がなされた.改訂されたGroup分類(新G分類)は,従来の異型度分類から質的分類を重視したものであり,臨床的にわかりやすく有用な分類となったと思われる.新G分類ではGroup 1と5は旧分類と同様であるが,Group 2には腫瘍と非腫瘍の鑑別が困難なもの,Group 3は腺腫に限定,Group 4は腫瘍かつ癌を疑うものとされたところが,旧分類との違いである.特に,Group 2に再生異型から癌まで幅広い病変が含まれため,新G分類を適正かつ有効に活用するためには,各Groupに含まれる病変とその臨床的意義を十分理解し,病変の本質を誤解されないように運用面での十分な注意や配慮が必要である.

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要旨 上部消化管内視鏡検査の生検でGroup IIまたはGroup 2と診断された病変を,「胃癌取扱い規約」改訂前に診断された病変(Group II)と改訂後に診断された病変(Group 2)に分類し,それらの内視鏡的特徴およびそれぞれどのような経過をたどったのかを比較検討した.規約改訂前にGroup IIと診断された病変は潰瘍性病変の占める割合が高く,再生異型と診断されるものが多かった.これに対しGroup 2と診断された病変では,潰瘍性病変が少なく組織学的にも再生異型が少なかった.規約改訂前にGroup IIと診断された病変の13.7%,規約改訂後にGroup 2と診断された病変の54.8%が再検査後にGroup VまたはGroup 5と診断されていた.これまでの規約と異なり,現行の規約ではGroup 2と診断された病変は腫瘍である頻度が高いため,初回病理のコメントを十分考慮し再検査を行う必要がある.

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要旨 当院では以前よりGroup分類は用いておらず,病理診断名が記載されており,再生異型,癌かの鑑別が困難な症例はatypical epithelium(以下,AE)と診断されており,新分類Group 2に相当する.2009年1月から2010年12月までにAEと病理診断された82例について検討を行った.生検施行例に占める割合は0.4%(82/18,930)であった.経過観察とともに再生検が行われた症例は70例あり,うち19/70例(27%)が胃癌と診断された.9例は再生検は施行せず,NBI拡大内視鏡所見のみで胃癌と診断しESDが施行されたがうち3例に胃癌を認めなかった.最終診断胃癌であった症例は33例(40%)であった.32/33例(97%)が分化型癌であり,うち5/33例(15.1%)に超高分化型癌がみられた.1か月後に経過観察が行われ,19/40例(48%)が癌であった.3か月後に11/32例(34%),6か月後に3/16例(19%)が癌であった.新分類Group 2に相当する病変の約半数程度は癌であり,約半数が炎症であった.NBI拡大観察は38/82例(46%)に行われ,正診できた症例は23/38(61%)であり,粘膜深層にのみ明らかな癌がみられた症例など診断困難例もみられた.

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要旨 改訂された胃生検Group分類におけるGroup 2(indefinite for neoplasia)病変について,臨床病理学的に検討した.Group 2と診断した症例は83例(0.6%)であった.病変切除または十分な経過観察が行われたのは66例(79%)で,最終結果は癌が23例(28%),再生異型(非腫瘍)が40例(48%)であった.癌はすべて分化型癌のpT1a(M)で,大部分が低異型度癌であった.生検組織診時点で推定した疾患とは21%で異なっていた.Group 2となった原因は,癌症例では検体量が不十分なものが多く,再生異型症例ではびらん炎症により修飾されたものが多かった.病変の質的分類を採用した新Group 2分類は再生検を要する症例を的確に伝達できるが,その活用には病理医や臨床医へのさらなる浸透が必要と考えられた.

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要旨 「胃癌取扱い規約」が改訂され,第14版への改訂後のGroup 2と診断されている症例の実態について検査センターの立場から報告する.改訂後のGroup 2の内容は,改訂前のGroup IIとは違う意味合いをもつようになった.改訂後のGroup分類で,当施設で6か月間に診断された18,991例の内,Group 2とされた症例は111例(0.6%)であった.Group 2と診断された症例で,経過観察され,再検査された症例は44例であった.44例中,腫瘍性と判断された症例は10例(22.7%)あり,2例(4.5%)は腺腫,8例(18.2%)は腺癌であった.改訂前のGroup IIは非腫瘍性の異型であるが,改訂後のGroup 2と診断された症例には腫瘍性病変を少なからず含み,経過観察および再検査が必要であると考えられた.

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要旨 目的 : 腺腫と分化型粘膜内胃癌(低グレード,中等度グレード,高グレードに分類)の臨床病理学的,分子病理学的特徴を解析した.材料と方法 : 腺腫8例と分化型胃粘膜内癌83例を対象にした(低グレード癌26例,中等度グレード癌44例,高グレード癌13例).LOHおよびMSIはPCR-microsatellite法により,メチル化はCOBRA法で解析した.LOHは,5q,17p,18q,3p,4pについて行った.メチル化の解析は,p16,MLH-1,RUNX3,RASSF2A,DKK-1,SFRP1,の各遺伝子について施行した.加えてp53,ki-67,catenin,MLH1の発現の解析も免疫組織化学的に行った.結果 : 腺腫群,低グレード癌群ではLOH率およびp53過剰発現には差異はみられなかったが,高グレード癌群では両者ともそれらの頻度が高かった.中等度異型度癌群は中間的なパターンであった.一方メチル化率は,いずれのグループでも比較的高頻度であった.結語 : 腺腫,低グレード癌は,分子異常の観点からは,同一のカテゴリーに属する腫瘍群であることが示唆された.

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はじめに

 「胃癌取扱い規約」は1962年に第1版が出版され,改訂が重ねられてきた.一方,2001年に第1版が発刊された「胃癌治療ガイドライン」1)との明確な棲み分けが必要になり,2009年にはUICCの定めるTNM分類も大幅に改訂された2).このような状況を踏まえ,「胃癌取扱い規約」は1999年の第13版3)以来11年ぶりに改訂が行われ,壁深達度(T),リンパ節転移の程度(N),進行度分類と胃生検組織分類(Group分類)が主たる改訂点となっている4)

 「胃と腸」では過去に「座談会 : 胃生検のGroup分類をめぐって」(19巻10号,1984年),「主題 : 胃癌の病理組織診断基準の再検討は必要か」(29巻2号,1994年)と「主題 : 胃生検診断の意義─Group分類を考える」(39巻11号,2004年)でGroup分類に関する問題点が検討されている.

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要旨 患者は80歳代,男性.2001年1月に前庭部大彎に25mm大の隆起性病変が認められ,生検診断はGroup 3,腺腫で本人の希望により経過観察となった.経過中は形態的には大きな変化はみられず,生検診断でもGroup 3を繰り返したが,2009年の生検で初めてGroup 5,腺癌と診断された.高齢を理由に当初は経過観察を希望していたが,癌に対する不安感が徐々に強くなり,内視鏡的粘膜下層剝離術を施行した.一括切除が可能であり,最終の病理組織学的診断は,高分化管状腺癌,Stage IAであった.

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要旨 内視鏡的に胃癌を疑いながらも生検で癌が証明されないことは内視鏡医の多くが経験し悩むところである.内視鏡的に悪性サイクルを繰り返した0-IIc型早期胃癌の症例を提示する.内視鏡的に悪性が疑われたが,生検では癌の診断に至るのに時間を要した.繰り返し生検を行ったが,Group IIとの診断にとどまった.診断的ESDの同意が得られず6回目の生検でGroup Vの診断に至りESDを行った.切除標本では粘膜固有層の中~下部で手つなぎ・横這い型の構造を示す中分化型腺癌であった.生検で粘膜深部の腫瘍腺管がとらえにくかったことが生検診断を困難にしたと考えられた.

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 学会,研究会,論文に,いまだに出てくる略語である.本来はGFがgastrofiberscopyまたはgastrofiberscopeであり,CFはcolonofiberscopyまたはcolonofiberscopeの略語であった.

 消化管の内視鏡機器と検査は,fiberscopeの開発と普及で飛躍的な発展を遂げた.したがって,当時の内視鏡医にGF,CFはもちろんEF(esophagofiberscopy,─scope)などの略語が普遍的に用いられるようになった.十二指腸に関してはDF(duodenofiberscopy,─scope)よりも商品名のJF(jejunofiberscope)のほうが繁用された.

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要旨 患者は若年男性.貧血のため消化管精査目的に当院を受診した.上部消化管内視鏡にて胃角部前後壁に深掘れ線状潰瘍を認め,また幽門前庭に多発性びらん,十二指腸に巨大深掘れ潰瘍を認めた.生検組織診にて粘膜深部に強い炎症性細胞浸潤と非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫を認め,小腸造影,ダブルバルーン小腸内視鏡および大腸内視鏡にて異常を認めないことより,胃十二指腸に限局したCrohn病と診断した.集学的治療にて保存的に緩解状態となり,経過観察中である.

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要旨 患者は50歳代,男性.2010年6月に便潜血反応陽性の精査目的にて大腸内視鏡検査を施行,S状結腸に径12mm大の隆起性病変を認めた.通常観察にて緊満感を伴う病変で,拡大内視鏡観察ではVI型pitを認めたが全体に腺管構造は保たれていた.SM浸潤の可能性も否定できなかったが,粘膜内癌を最も疑いEMRを施行した.病理組織診断はwell differentiated adenocarcinoma,SM2(5,350μm),ly0,v0,腫瘍の大部分でSM深部浸潤を認めた.大腸癌の深達度診断は,隆起型早期大腸癌では表面構造を保ったままSM深部浸潤を来す病変もあり,慎重な診断と治療法の選択が望まれる.

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要旨 患者は20歳代,男性.FAPに対する大腸全摘術後の経過観察中,上部消化管内視鏡検査で,幽門前庭部に径5mmと径3mmの頂部に発赤調軽度陥凹を伴う隆起性病変を認め,5mm大の病変からの生検でGroup5(tub1)と診断した.ESD時の通常内視鏡観察では,3mm大の病変の質的診断は困難であったが,NBI併用拡大内視鏡観察を施行したところ,発赤調軽度陥凹部に一致してdemarcation lineを認め,大小不同の管状から溝状の腺管開口部を呈する表面微細構造と拡張・口径不同・走行異常を伴う微小血管像を認めた.以上の所見をもとに同病変も粘膜内高分化型腺癌と診断し,2病変をESDにて一括切除した.病理診断では両病変とも粘膜内低異型度高分化型管状腺癌であり,完全切除であった.本症例のような微小癌に対しては,生検による影響で内視鏡治療時に指摘困難となる可能性があるため,十分なインフォームドコンセントを得たうえで,生検をできるだけ省略し,NBI併用拡大内視鏡観察による詳細な診断が必要と考える.さらにFAPにおいては,若年者でも胃癌を合併することがあり注意が必要である.

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 私の胃癌診断学の基礎をなしバイブルでもある中村恭一先生著「胃癌の構造」の中で,胃癌の組織型は分化型癌と未分化型癌に2大分類され,それぞれの組織発生,発育進展,形態学的特徴,臨床的特徴について明らかにされている.消化器を志して間もなく先輩から胃癌の診断学をやるなら絶対に読んでおきなさいと言われた本であるが,当初は表現が難解であり十分に理解できなかったが,様々な症例を経験し,そのたびに何度も読み返していくうちに何とか自分なりに理解できるようになっていった.

 しかしながら1990年代後半にどうしてもこれまでの解釈では説明のつかない症例に出くわした.2003年に「胃と腸」誌に一例報告として投稿した「組織異型が弱く2年7か月経過観察を行った胃型分化型sm癌の1例」(38巻5号,2003年)である.扁平な隆起性病変であったが,範囲がわかりにくく生検では構造異型,核異型が弱く癌とは診断ができないような病変であり,結果的に3年弱の経過観察を行った.組織は腺管形成の良好な明らかな分化型癌でありながら,形態的な特徴や発育進展が従来の分化型癌とは異なった症例であり,非常に悩みの深い症例であったが,ちょうどタイムリーに上記の主題が「胃と腸」で取り上げられた.胃型分化型癌の概念がまだほとんど認知されていない時代であり,臨床例は一例報告のみで,病理からの報告が中心であったが,今では一般的になった免疫染色法を用いた癌の粘液形質の判定を行い,従来の分化型癌とは異なる胃型の粘液形質をもった分化型癌があることなどが報告された.本号を読み終えたときには自分の頭の中の霧が晴れるようであった.

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1 概念,病態

 消化管原発悪性リンパ腫の80~90%はMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫,びまん性大細胞B細胞性リンパ腫である.一方,消化管濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma ; FL)は低悪性度リンパ腫に分類され,1~3%程度と比較的まれであり1),好発部位はVater乳頭近傍の十二指腸下行脚,および小腸とされている.FLとともにMALTリンパ腫も十二指腸に好発するが,MALTリンパ腫は球部に好発する傾向がある.本疾患の特徴として,(1) 十二指腸に病変が存在することが多く,早期の病変にみえてもリンパ節へ浸潤している頻度が高い,(2) 多発病変の頻度が高く,空腸や回腸にも病変が存在することが多い.

画像診断道場

腸(炎症) 清水 誠治
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症 例

 患 者 : 33歳,女性.

 主 訴 : 嘔吐,下痢.

 家族歴・既往歴 : 特記事項なし.

 現病歴 : 6週間前に腰痛のため近医(整形外科)を受診したが異常なしと言われた.3週間程前に4日間続く発熱(最高39℃)のため近医(内科)を受診した際の血液検査ではWBC 5,900/mm3,CRP 0.1mg/dlであった.その後1日数行の水様下痢が出現し,続いて悪心・嘔吐もみられるようになり,別の近医(内科)を受診したところ,抗菌薬を処方された.やや症状は改善傾向がみられていたが精査目的で紹介された.

早期胃癌研究会

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 東日本大震災の影響で開催が延期された第50回「胃と腸」大会は2011年8月16日(火)名古屋国際会議場白鳥ホールで開催された.司会は山野泰穂(秋田赤十字病院消化器病センター)と長南明道(仙台厚生病院消化器内視鏡センター),病理を鬼島宏(弘前大学大学院医学研究科病理生命科学講座),菅井有(岩手医科大学医学部病理学講座分子診断病理学分野)が担当した.画像診断教育レクチャーは,岩男泰(慶應義塾大学予防医療センター)が「colitic cancerの内視鏡診断─拡大内視鏡観察を含めて」と題して行った.

海外だより

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 1. JR病院での研修(続)

 IBDに関しては,患者数が多く,主に生物学的製剤や免疫抑制剤による治療を積極的に行っており,日本に比べ患者さんのQOLが極めてよいのには驚きました.私の滞在中は,IBD診療に従事しているのは,Travis先生,Keshav先生の2名が指導医で,その下に,スタッフとして3名,さらに海外から研修に来ている医師が4~5名,さらに,卒後研修医が2名,学生が2名の病棟と外来の診療にあたっていました.また,IBD専属の看護師さんが3名常駐し,患者さんと電話で定期的なやり取りを行い状態の把握,受診日の決定,検査時期,治療内容の変更などを行っており,その後,医師とのディスカッションがあり,最終方針が決まります.主に医師だけで医療を進めなければならない日本のシステムと,随分と違っておりました.また,常に,新しい,効果的な治療法を求め,新薬の臨床試験に積極的に取り組んでおり,試験の対象患者,治療内容の説明,採血,検査の手配なども,もう1名のクリニカルコーディネーターの方と一緒に進めてくれ,随分と医師の仕事は軽減されています.ステロイド剤については,日本は長期に使いすぎるとの意見で,生物学的製剤と免疫抑制剤が中心であり,一方では,人工肛門の造設率の高いのには驚きました.排便のコントロールが一番QOLを高め,先に人工肛門を作っておくと病気のコントロールができやすいとの考え方のようです.外来でみた限りでは,疾患のコントロールがよいためか,人工肛門造設のためか,特にCrohn病の肛門病変が日本と比べ少ない印象を受けました.

 日本と同じく,週に1回のTravis先生の病棟回診があり(水曜日午前中,Fig. 3),研修医である主治医,指導医,看護師長,栄養師,薬剤師,事務の方が集まり,入院患者の症例提示,治療経過などをプレゼン後に,回診となります.もちろん長期入院となる患者さんもおられますが,基本的に入院は5~6日で,これを超えて長くなると,なぜ入院が長いのか討論されます.入院期間が短いので,急性期を除き栄養療法は行わず,栄養師の方に,食事制限はないのかと聞きますと,nothingとの答えが返ってきました.

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欧文目次

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 福岡大学の松井敏幸先生,青柳邦彦先生,九州大学の松本主之先生が『小腸内視鏡所見から診断へのアプローチ』と題した小腸疾患診断学の教科書を医学書院から出版した.ご存じの方が多いとは思うが,福岡大学,九州大学は小腸疾患の診療ではわが国をリードする大学であり,消化器疾患症例を1例1例大事に解析する手法はいまや両大学の伝統と言ってもよいであろう.同じく福岡大学の八尾恒良先生,九州大学の飯田三雄先生は2004年に両大学の膨大なデータを集約し,これまでとは比較にならないほど広範な小腸臨床に関する学術書『小腸疾患の臨床』を出版したが,今回の『小腸内視鏡所見から診断へのアプローチ』はそれに続く両大学の小腸疾患診療に関する学術書第2編と言える.

 この2つの学術書の明確な違いは,2004年から7年を経て出版された『小腸内視鏡所見から診断へのアプローチ』では,小腸疾患画像診断学がこの間にいかに進歩したかを見てとれることであろう.さらに付け加えるなら,私はこの学術書ほど小腸疾患に関する画像を豊富に掲載している書物を知らない.豊富な症例と画像が本書の特徴であり,特筆すべきことと言える.つまり,疾患単位で記述された最初の小腸疾患学術書『小腸疾患の臨床』を,より実臨床に即して,今日のダブルバルーン小腸内視鏡,カプセル内視鏡画像とともに記述したのが本書と言える.

第18回「白壁賞」論文募集
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 「胃と腸」編集委員会では,故白壁彦夫先生の偉業を讃え,「白壁賞」を設け,優秀な研究・論文を顕彰しております.今回は「白壁賞」の論文を下記の要領で公募いたしますので,奮ってご応募ください.英文誌に発表された消化管の形態・診断学に関する論文が応募の対象となります.

早期胃癌研究会 症例募集
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早期胃癌研究会では検討症例を募集しています.

画像のきれいな症例で,

・比較的まれな症例,鑑別が困難な症例.

・典型例だが読影の勉強になる症例.

・診断がよくわからない症例.

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 晩秋とは思えぬ暖かな陽気の2011年11月16日(水),東京の笹川記念会館で開かれた早期胃癌研究会の席上にて,第17回白壁賞と第36回村上記念「胃と腸」賞の授賞式が行われた.第17回白壁賞は八尾建史・他「0IIbに対する進展範囲度診断─通常内視鏡・境界不明瞭病変に対する拡大内視鏡の有用性と限界 : フルズーム派の立場から」(「胃と腸」45 : 86-100, 2010)に,第36回村上記念「胃と腸」賞は江頭由太郎・他「胃IIb型癌の病理組織学的特徴─胃IIb型癌のマクロ像と組織像の対比」(「胃と腸」45 : 23-37, 2010)に贈られた.

「今月の症例」症例募集
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 「今月の症例」欄はX線,内視鏡写真など形態学的所見が読めるようにきちんと撮影されている症例の掲載を目的としています.珍しい症例はもちろん,ありふれた疾患でも結構ですから,見ただけで日常診療の糧となるような症例をご投稿ください.

学会・研究会ご案内

投稿規定

編集後記 細川 治
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 菅井有,九嶋亮治とともに今回の企画を担当した.期待以上に読み応えのある内容になったと感じている.

 胃生検Group分類が改訂されてからほぼ2年が経過した.改訂の理由は国際的分類(Vienna分類)との整合性や異型度分類から質的分類への転換などとされている.本音のところでは,胃生検材料に向き合った病理医は腫瘍か非腫瘍かの鑑別を最初に行い,腫瘍であれば良性か悪性かの判定を行うという思考過程を辿り,新分類がそのプロセスに沿うこともわかった.臨床側からの要望に応える姿勢が大いに見て取れるものの,新分類にはVienna分類の核心的要素である浸潤の有無が組み込まれておらず,生検分類の国際的共有化を進めるといっても,根本の診断基準の共有化が進んでいないではないかという批判も十分に理解できる.

次号予告

基本情報

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胃と腸
47巻2号 (2012年2月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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