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1. JR病院での研修(続)
IBDに関しては,患者数が多く,主に生物学的製剤や免疫抑制剤による治療を積極的に行っており,日本に比べ患者さんのQOLが極めてよいのには驚きました.私の滞在中は,IBD診療に従事しているのは,Travis先生,Keshav先生の2名が指導医で,その下に,スタッフとして3名,さらに海外から研修に来ている医師が4~5名,さらに,卒後研修医が2名,学生が2名の病棟と外来の診療にあたっていました.また,IBD専属の看護師さんが3名常駐し,患者さんと電話で定期的なやり取りを行い状態の把握,受診日の決定,検査時期,治療内容の変更などを行っており,その後,医師とのディスカッションがあり,最終方針が決まります.主に医師だけで医療を進めなければならない日本のシステムと,随分と違っておりました.また,常に,新しい,効果的な治療法を求め,新薬の臨床試験に積極的に取り組んでおり,試験の対象患者,治療内容の説明,採血,検査の手配なども,もう1名のクリニカルコーディネーターの方と一緒に進めてくれ,随分と医師の仕事は軽減されています.ステロイド剤については,日本は長期に使いすぎるとの意見で,生物学的製剤と免疫抑制剤が中心であり,一方では,人工肛門の造設率の高いのには驚きました.排便のコントロールが一番QOLを高め,先に人工肛門を作っておくと病気のコントロールができやすいとの考え方のようです.外来でみた限りでは,疾患のコントロールがよいためか,人工肛門造設のためか,特にCrohn病の肛門病変が日本と比べ少ない印象を受けました.
日本と同じく,週に1回のTravis先生の病棟回診があり(水曜日午前中,Fig. 3),研修医である主治医,指導医,看護師長,栄養師,薬剤師,事務の方が集まり,入院患者の症例提示,治療経過などをプレゼン後に,回診となります.もちろん長期入院となる患者さんもおられますが,基本的に入院は5~6日で,これを超えて長くなると,なぜ入院が長いのか討論されます.入院期間が短いので,急性期を除き栄養療法は行わず,栄養師の方に,食事制限はないのかと聞きますと,nothingとの答えが返ってきました.
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