はじめに
Helical CTの発達により腸管の三次元表示が可能となり,Viningら1)はこの方法を応用してCTC(CT colonography)を報告した.その後,多列検出器型CT(multi detector-row CT ; MDCT)が開発され空間画像分解能は飛躍的に向上し,消化管を内腔側から三次元的に,より詳細に評価することが可能となった.
近年,CT colonographyはX線被曝を除けば大腸内視鏡検査よりも非侵襲的であり,新しい大腸の検査法として大腸癌スクリーニングなどでその有用性が評価されている2)~8).また,最近では,潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease ; IBD)に対してもその臨床応用が試みられている.
一方,CT enterographyは長くて屈曲や重なりの多い小腸を目的臓器とするため,病変の描出能,診断能はCT colonographyに比べ良好とはいえない.しかし,64列MDCT装置の出現によって,その臨床応用への試みが益々盛んとなり9)~16),小腸X線造影検査,バルーン小腸内視鏡検査,カプセル内視鏡検査に加えて小腸疾患アプローチの手段のひとつとなりつつある.
本号では,経験豊かな各施設によって,腸管の腫瘍性病変や炎症性病変の診断におけるCT enterography/colonographyの現況と問題点が熱く論じられるものと期待する.