--------------------
編集後記
山野 泰穂
1
1秋田赤十字病院消化器病センター
pp.151
発行日 2012年1月25日
Published Date 2012/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104799
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本誌「胃と腸」の年頭を飾る号は,これまでの長い歴史の中で「胃」に関するテーマで企画されることが慣例となっていたが,本号は編集委員会の同意を得て10年ぶりにその慣例を打ち破った.しかもX線二重造影画像でも,近年めざましく発展してきた内視鏡画像でもなく,全く新しいCTにより得られたデジタルデータを駆使したバーチャルリアリティともいうべき診断学である.これまでアナログの世界で培ってきた診断学に,この新しい手法を用いて小腸・大腸疾患にどこまで迫れるのか,優れている点は何か,あるいは課題は何かを冷静に読み解いてみたい.
序説から各論文,主題研究,関連症例を通じてCT colonography(CTC)/enterographyの欧米も含めた現状,実際が紹介された.検査時間の短さ,処理能力の高さ,多彩な画像表示は,これまでの検査と異なり群を抜いて優れている.さらにソフトウェア,ワークステーションの進化,炭酸ガス持続注入装置による腸管拡張法,前処置としてのtaggingの確立,electronic cleansingの精度向上,コンピュータ支援診断(computer-aided detection ; CAD)による優れた病変検出能に関して詳述され,腫瘍性病変に限らず炎症性腸疾患も含めて管腔内の所見はもちろんのこと,これまでの検査手法では得ることができなかった腸管外の所見も同時に得られることが示され,目を見張るものがあった.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.