胃と腸 4巻2号 (1969年2月)

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Ⅰ.はじめに

 上部消化管からの出血対策といっても,その出血程度はさまざまであり,内科の立場からみる出血患者の病態と,外科の立場からみる出血患者の病態とでは,そのあつかう患者の程度に多少差異が認められ,ここらが,出血対策に,内科側と外科側との異論が生じうる因子が残されている.しかし,上部消化管出血は,昔からいわれてきた通り,境界疾患の本来の立場において,内科・外科一体となって対策を講ずるのがもっとも妥当な治療方針であり,その病態に決して差異があるわけではない.一つの病態のふるい分けの過程として,内科的,保存的治療が適切な段階と,外科的,手術的治療が考慮されなければならない段階とがあるわけで,内科・外科いずれの側に偏した目でみても誤りをおかしやすいものといわなければならない.つまり,内科医は外科医の目を,外科医は内科医の目をもって治療方針をたてるのが原則である.本題の「外科からみた上部消化管出血」もその意味では,あまり適切な表現の題ではないと思うが,私どもの外科医の立場として,手術の必要な程度と,その理由というものをみつめながら,内科的治療対策の範囲のものと,外科的治療対策の範囲のものとを分析してみたわけである.結論から先にいえば,決して手術第一主義をとっているわけではない.ただ,多くの上部消化管出血患者の中には,病態上,当然,手術を考慮しなければならないものが,一定度含まれているものであり,そのふるい分けや,治療対策はどうするかということを中心に述べるつもりである.この立場は,決して「外科からみた」というものでなく,上部消化管出血をとりあつかう,内科,外科共通の立場からみつめたつもりである.上部消化管出血という全般的な立場から,実地上のポイントとなるのは,まず,「出血程度の判定」,「救急処置」および「手術適応,手術時期の判定」の三者に要約されるものと考えるので,この点を中心としてのべる.

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Ⅰ.上部消化管大量出血の原因としての門脈圧充進症

 上部消化管出血における食道静脈瘤出血の頻度は必ずしも高くなく,諸家の報告1)19)23)25)26)40)によれば数~10数%にとどまっている(Tab.1).それにもかかわらず食道静脈瘤出血が臨床家の強い関心をよぶのは,消化管大量出血の1/4を占め23),出血に際して肝障害にともなう止血の困難性とその高い致命率のためである.食道静脈瘤をきたす門脈圧充進症の大部分を占めるものは肝硬変であり,本邦での死亡順位48)は全死亡数中の12位であるが,30~50歳代の死因としては6~8位であり,その主要死因である消化管出血のしめる位置は大きい.

出血胃潰瘍の診断と治療 平塚 秀雄
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Ⅰ.緒言

 上部消化管出血はもっとも積極的な医療行為が要求される疾患群の一つであり,その診断と治療は迅速でしかも適切でなければならない.しかし,大量出血例において緊急事態下に出血源を確実に判定し,その予後を正しく推定することがしばしば困難をきわめることは.だれしも経験するところである.

 上部消化管出血の出血部位と出血源を正確に知ることは,適切な治療を加えうるか否かの決定的因子となることが多く,このため欧米では比較的古くから早期に積極的に胃鏡,食道鏡による内視鏡検査を実施することの必要性が強調されてきた.とくにPalmer1)2)のVigorous Diagnostic Approachはもっとも有名であるがChandler3),Jones4)5)ら早期胃鏡検査の重要性について述べたものが少なくない.

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Ⅰ.緒言

 上部消化管から大出血を起す疾患のうち,胃十二指腸潰瘍,胃癌,食道静脈瘤については,古くから出血源および出血機序が知られており,個々の病態に応じた診療が行なわれている.この他まれな疾患として食道裂孔ヘルニヤ,食道憩室,その他の食道疾患,Mallory-Weiss症候群,胃ポリープ,胃血管腫,十二指腸憩室,肝・胆道・膵疾患などが挙げられるが,これら疾患の発見されない症例も多数報告されており,Gastrostaxisないし特発性実質性胃出血と呼ばれていた1)~3).このなかには,胃粘膜びらんからの出血像を確認できたものもあるが,びらんを認め得なかったとする報告も少なくない4)~10)

 筆者らは1949年以来臨床外科医の立場にたって胃炎出血ないし慢性胃炎の問題を研究し,胃炎出血の頻度はまれでなく,再出血の危険も大きいことを発表してきた11)~20).しかし大出血時の胃炎出血の診断や治療方針の決定については種々議論のあるところであり,さらに胃炎出血の成因に関しては不明の点が多く,今後の研究に待たねばならないと考える.今回は教室開設以来13年間に経験した胃炎出血の症例について検討し,若干の考察を加えた.

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Ⅰ.症例

患者:73歳 ♂

主訴:空腹時痛

既往歴:20歳頃から胃腸症状があり,時々売薬を服用していた.30歳頃,黄疸に罹患したことがある.

現病歴:昭和42年6月頃から食欲不振があり,10月中旬頃から空腹時痛を来たすようになり,11月14日,当センター受診.

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Ⅰ.まえがき

 Ⅱb型早期胃癌のように,ほとんど粘膜面に凹凸の変化を呈さない病変では,現在の進歩したX線診断技術をもってしても,その確診は極めて困難である.幸に本例では,胃潰瘍が合併していたため,病変部の存在は容易に気付くことが出来た.しかし,X線,内視鏡の所見からは,悪性を疑いつつも確診所見に乏しく,特に悪性変化の及ぶ範囲の決定が出来ず,結局,胃生検により癌を証明し,手術を施行した.(昭和42年11月6日手術)

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Ⅰ.はじめに

 Ⅱc型早期胃癌のなかにX線診断,内視鏡診断また切除胃の肉眼的診断において,良性糜爛か或いはⅡcとすべきか判定に困難を思わせる症例がある.かかる非定型的ともいうべきⅡc型早期胃癌の1例を経験したので報告する.

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Ⅰ.はじめに

 血管由来の腫瘍が胃に発生することは比較的少なく,ことに分化度の低いtypeのもの,例えばhemangioendothelioma1)~3),hemangioblastoma4)は極めてまれである.

 本邦における胃の血管由来の腫瘍は26例が報告されており,このうち血管内皮腫は2例である.

 56歳の女子に発生した,胃のhemangioendotheliomaを報告し,若干の考察を加えたい.

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Ⅰ.はじめに

 原発性十二指腸癌は比較的稀な疾患とされている.Mateer20)によると,176,000体の剖検で全部の癌の0.25%,腸癌の3%を占めており,Hoffmann13)によると,350,286体の剖検で0.033%に発見されたと報告されている.またNothnagel28)によると,41,438体の剖検で443例の腸癌が発見され,そのうち十二指腸癌は7例(腸癌の0.63%)を占めており,Oberndorfer28)によると5,768体の剖検で十二指腸癌は13例(0.22%)と報告されている.

 本邦の全剖検例における十二指腸癌の頻度は石橋:0.098%,長与:0.2%,鈴木:0.071%などである109)

 欧米では,Hamburger(1746)がはじめて原発性十二指腸癌を報告して以来Resnik(1958)が集計するまでに580例,それ以後現在にいたるまで69例1)~34)総計649例報告されており,本邦では近藤が集計するまでに187例,それ以後著者の調査した51例計238例35)~152)が報告されている.現在でもなお続々症例報告がなされており,原発性十二指腸癌およびその手術成功例の報告は近時急速に増加している.

 しかし原発性十二指腸癌と他癌との重複癌はきわめて稀であり,とくに胃癌と十二指腸癌の重複癌は欧米,本邦それぞれ1例計2例が報告されているにすぎない.

 著者は最近,胃癌で胃切除を施行してから約3年6カ月後に肺炎で死亡した患者の剖検において十二指腸癌を発見し,両者が独立した原発性の重複癌と考えられたので報告する.

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崎田(司会) きょうはお忙しいところをお集まりいただきましてどうもありがとうございます.「胃と腸」の4巻2号で上部消化管の出血という総説をお書きになりました慈恵大学の長尾先生,岐阜大の放射線科の西岡先生,池袋の平塚病院の平塚先生,医科歯科大学の浜口先生,それに仙台から増田先生,国立がんセンターから多賀須先生に加わっていただきまして,主としてなるべく実地臨床に役に立つ,そういう立場でいろいろお話をしていただきたいと思います.大体お手元に差し上げましたような順序で話を進めたいと思いますが,やはり一番最初に上部消化管の出血の原因疾患は何が多いか,という問題になると思います.これは大学の内科のクリニックを代表して増田先生に話していただきますと,大へんいい数字が出ると思います.お願いいたします.

技術解説

吐血早期の内視鏡検査 川井 啓市
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Ⅰ.緒言

 本邦でファイバースコープ検査により比較的系統的に,かつ多数例の出血胃を観察したのは昭和39年,第6回内視鏡学会(仙台)でのシンポジウム「ファイバースコープ」における私の報告が初めてであつたように思う.このシンポジウムは近藤台五郎博士の司会によるもので,テーマとしてはこのほかにも竹本博士の「噴門部の観察」福地博士の「幽門洞の運動」,大柴博士の「十二指腸の観察」がとりあげられており,当時日本にHirschowitz型ファイバースコープが輸入された直後で,いわばファイバースコープ検査の黎明期に当っていた.

 それまでも既に吐血早期の内視鏡検査の必要性と安全性については,食道鏡検査を含めて諸外国での報告も多く(A.Jones,E.D.Palmer),ファイバースコーフ.検査についてもHirschowitzの多数例の報告があった.私自身,軟性胃鏡で吐血1週後に検索した1例の経験はあったが,いざシンポジウムのテーマとして取りあげられ,検査の限界を検討するとなるといろいろ困った問題が起ってきた.

胃生検標本の作り方 高木 国夫
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 最近1~2年の問に胃生検が盛んに行われるようになってきて,生検標本の作製にも色々と方法がのべられてきていますので.これらを参考にして,生検標本の作り方を検討してみましょう.

 はじめに,直視下に生検した組織片は,現在用いている鉗子の大きさから,胃壁に直角にあたった場合,直径3mm前後の大きさである.この組織中には粘膜全層を含んで粘膜筋板に達する深さであるが,必ずしも鉗子が胃壁に直角にあたるとは限らない.とくに幽門洞の大彎前後壁では鉗子が粘膜面と平行になって,粘膜層の半分,時には粘膜表層を一部採取するにすぎないことがある.このように採取部位で組織片の大きさ,粘膜層の採取しうる範囲に色々と差違がみとめられることは,生検組織作製の上で問題になります.生検した組織片から組織標本をつくり検鏡する際には,粘膜全層が見られることが理想的であって(第1図)粘膜表層に平行に薄切されると腺管が輪切りになってしまう(第2図).

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 第1回ヨーロッパ消化器内視鏡学会は第8回国際消化器学会に先立って7月5日(金),6日(土)の二日間,President.Prof.Wiebenga(Amsterdam)のもとでプラハのFaculty of Lawでひらかれました,会場は4会場に分れ,食道・胃・胃生検・結腸・直腸・腹腔,胆嚢等についての内視鏡の演題88題(日本から11題)そのほかScientific filmの供覧が2日にわたって15題の発表があったわけです.

 ところで学会印象記ですが,4会場に分れての発表では私一人聞いてまわれませんし,また英・独・仏の3力国語が学会公用語というものの,同時通訳は2会場しかないので,どうしてもある程度の偏見は免がれないと思います.足らないところは他の先生にお願いするとして味気ない抄録,翻訳よりは全体的な印象と目立った演題を気楽に述べさせて頂きたいと思います(抄録の翻訳もフランス語が多くって実際は不可能なのですが).

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 チェコの首都プラノ・にて7月5,6日第1回ヨーロッパ内視鏡学会が開かれ,ついで7~13日と第8回国際消化器病学会が開かれた.私は6月25目から7月5日迄のリヨンのSeminarに出席し,それを機にプラハに入ったので,内視鏡学会は間にあわず,消化器病学会のみに出席することができた.印象記を依頼されたが,学会場はA~Gと七会場に細分され,私が出席しえたものは極く一部にすぎず,また旅程の都合上最終日まで出席というわけでもないので,この印象記も私個人の日記,いわばよしの髄から天井のぞく式であることを前もってお断りする.

 7月6日午前7時25分,リヨン空港を出発し,フランクフルトで乗りかえて,午前10時30分プラノ・空港につく.機中,レバノン大学消化器内科の教授と名のる仁と隣りあわせ,盛んに胃カメラ,ファイバースコープの事をきかれた.是非使いたいが,何分高くて買えない.日本に行ってみたいが,これがかかるといって栂指と人示指で丸をつくってみせた.この表現は万国共通かなと変なところで感心した.

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 この第1回の国際学会は,昭和43年9月26日より29目の4日間,ベルギーのSPAという所で行なわれた.日本からは,肺癌に関し,東北大学鈴木千賀志,胃癌について,日大有賀内科高橋淳,順天堂大学内科白壁彦夫,京都府医大増田内科川井啓市の4氏と私,合計5人が参加した.

 この学会のorganizationの詳細は分らないが,ベルギーの癌学者が中心となり,主としてフランスの癌学者に相談して,でき上ったもののようであることがプログラムよりうかがわれた.ベルギーは癌対策の進んだ国で,多数の癌病院,癌研究所があるようである.SPAというのは,ベルギーの首都ブラッセルより汽車で約1時間東に行ったところにあり,欧州の温泉の発祥地だそうで,丁度その100年祭にあたるので,そのお祝をかねてこの国際学会の地に選ばれたそうである.今後この国際会議がどうなるかわからないが,若し発展するとすれば,第1回の記念の土地となるわけである.そして,そのSPAというのは誠に小さな静かな町で,温泉療養に来ているのかなと思われるビッコをひいた老人が時折街かどで人目をひく程度で,一寸見ると,温泉地であることもわからない.ひっそりした,然しきれいな村といったほうがよい土地で,ルーレソトの行なわれるカジノがあるのが唯一の特長といえる印象であった.そしてそのカジノが学会場であった.

研究会紹介

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 福島医大には五の井,五十嵐(第二内科)両先生等目本最高レベルの方が居られるのに一般的には胃のX線診断に関する知識は必ずしも進んでは居りませんでした.昭和41年7月郡山に白壁先生をお迎えして“早期胃癌のX線診断について”の御講演を拝聴したのを機にして吾々も福島県に消化器病研究会を作ろうと云う気運がもり上り,佐藤正次,伊藤伊三雄,木村享,折笠勝英,それに私と五人が発起人になり会が発足致しました.その際に申合せた事を今思出すと,①胃癌に限らず広く消化器病全体について話合う.②誰でも気軽に発言出来る雰囲気にする,③よい写真でも悪い写真でもそれはそれなりに読める筈であり,よりよい写真を撮る工夫を話合うことこそ大切である.以上の様なことでありました.とりあえず発起人が幹事になり当番で司会をすることにして,毎月第四木曜日,午後6峙から郡山市の商工会館を会場に始りました.郡山市は丁度福島県の中央にあり,交通の便もよいので常に30~50人の出席者があり,特に福島医大第二内科のバックアップもあって会はその後順調に成長して居ります,消化器病研究会と名づけたが,なんと云っても中心になるのは胃癌の症例で,簡単な病歴と検査成績の紹介があってX線写真の読影になりますが,最初第二内科の若い先生方に読んで戴き,続いて開業医の方,病院の勤務医の方にお願いし,最後に五の井,或は五十嵐先生に御意見を述べて戴きます.内視鏡の写真も同様に読んで戴き,最後に手術所見を報告して戴いて,その症例のまとめと致します.症例は1回に3例位出るのが普通です.何と云っても結論をつけて戴ける五の井,五十嵐両先生が顧問として御出席されて居ることがこの会のこの上ない幸いだと常に感謝して居ります.

佐賀胃懇話会 岡村 重昭
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 佐賀胃懇話会は佐賀県立病院好生館鶴丸広長館長を会長として吉浦前県立病院放射線科医長及び中村前多久市立病院長を補佐役として発足した.本年3月両補佐役の転勤に伴ない大石市立病院長と小生が補佐役となり今日に至っています.

 例会は通常県立病院の会議室を会場として第2火曜口に行ない.参加者20~30名で症例検討を中心として3時間にも及ぶ討論が行なわれる事がある状態です.それで現在の懇話会のメンバーのレベルは可成り高い所にあると考えてよいと思われるのですが,問題は現在メンバーに人っていないというより入りえないレベルの医師のレベルを何とかして懇話会メンバーのレベルにまで上げるという事が,佐賀県の医師全体としては大切な事のように思われます.

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欧文目次

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 熊倉賢二博士の胃レ線診断の本が出版されることは,ずいぶん前に耳に入った.これをきいて,大変弥んだ.それが実現したことはほんとにうれしい.

 先生の透視が始まる前に,どんな準備がなされてあるか,(つまり患者側について,バリウムについて)が詳細にかいてない.しかし,これは大切なことである.透視が始玄ってからは多くの人が見学して知りているわけである.先生の行動はみていればわかるが,心の中はわからない.また,レ線像の御説明を願った人ならば,誰もが知っているように,先生の心の中にあるものと表現とが100%一致していないのは,誰でもがそうであるように,頭の中にあるものが,ほんとうにうまく口で表わせないためであろう.そのほうが真実である.また先生のおとりになったあの美しい写真をみられるときでも,いつでも不満で,もっとあそこをこのように,ここはあのようにと,理想像をえがいていられるようである.つまりこれでよいということがない.またあるときは,2~3枚または15枚位のフィルムに描出された像を頭の中に整理して説明されることもあろう.そうでないと説明ができないこともあるようである.同一病変の説明には多くのフィルムを要することはしばしばである.

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 胆嚢疾患というものは,その診断は一見易いように見えるが,実際は仲々むずかしいものである.その易いというのは他の疾患との鑑別を.卜分しないで唯臨床症状のみで診断をつけてしまうことが比較的多いからでもあろう.胆嚢炎にしても,胆石症にしてもそうである.本書の著者の序文にも述べられておるように,胆嚢疾患は,われわれ臨床医家が,日常遭遇することが非常に多いものである.そしてそのしっかりした診断ということになると仲々むずかしいものである.そこで診断法というものがいろいろと考えられ,発展してきたのである.

 この胆嚢疾患の診断法として最も有力なるものはX線診断であることは周知の通リであり,このX線診断法も,その造影剤が世の中に出てから40数年になるが,以来いろいろと改良もされ,その手技についても熱心なる諸家により次第に発展し,最近では仲々立派な造影がなされ,われわれ臨床医家も,ちゅうちょすることなくその診断をつけられることがしばしばあるようになってきている.又最近では直接胆嚢造影法も,比較的副作用もなく行なわれるようになり,又テレビを利用してこれを行なうことにより,一層殆ど何等の副作用もあらわれず.しかも普通の造影ではうっらない胆嚢や胆管までも極めて鮮明にうっし出されるようになってきた.

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<質問>

胃肉腫の肉眼像で,胃癌との相違点はどんな点でしょうか.癌研高木先生にお願いします.

(長野 H.K.生)

 胃肉腫には,発生母地の点から,悪性リンパ腫(リンパ系)と平滑筋肉腫に大別され,両者は肉眼像の上からはっきり区別されます.胃肉腫の中で多い悪性リンパ腫は,リンパ肉腫と細網肉腫に大別されていますが,両者は肉眼的に区別することは困難です.

編集後記 青山 大三
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 本号は「上部消化管の出血」の特集で,一般臨床家の必読の要があろう.外国文献にもこのテーマで数多くの名著があるが,本邦は消化管疾患では特異な点があるので,その意味で極めて重要である.執筆者はその道での大家であり,今更言を要しない.しかし,本症状の患者に接して,その診療の方向づけを強いられると,はたととまどってしまうことも真実である.

 症例の項では,真に血と汗との結晶のたまものであることを痛感し,頭が下がる思いである.

基本情報

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胃と腸
4巻2号 (1969年2月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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