--------------------
書評「図譜による胃X線診断学」
青山 大三
1
1大阪回生病院放射線科
pp.192
発行日 1969年2月25日
Published Date 1969/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110937
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
熊倉賢二博士の胃レ線診断の本が出版されることは,ずいぶん前に耳に入った.これをきいて,大変弥んだ.それが実現したことはほんとにうれしい.
先生の透視が始まる前に,どんな準備がなされてあるか,(つまり患者側について,バリウムについて)が詳細にかいてない.しかし,これは大切なことである.透視が始玄ってからは多くの人が見学して知りているわけである.先生の行動はみていればわかるが,心の中はわからない.また,レ線像の御説明を願った人ならば,誰もが知っているように,先生の心の中にあるものと表現とが100%一致していないのは,誰でもがそうであるように,頭の中にあるものが,ほんとうにうまく口で表わせないためであろう.そのほうが真実である.また先生のおとりになったあの美しい写真をみられるときでも,いつでも不満で,もっとあそこをこのように,ここはあのようにと,理想像をえがいていられるようである.つまりこれでよいということがない.またあるときは,2~3枚または15枚位のフィルムに描出された像を頭の中に整理して説明されることもあろう.そうでないと説明ができないこともあるようである.同一病変の説明には多くのフィルムを要することはしばしばである.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.