技術解説
胃生検標本の作り方
高木 国夫
1
1病研究会附属病院外科
pp.256-257
発行日 1969年2月25日
Published Date 1969/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110946
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最近1~2年の問に胃生検が盛んに行われるようになってきて,生検標本の作製にも色々と方法がのべられてきていますので.これらを参考にして,生検標本の作り方を検討してみましょう.
はじめに,直視下に生検した組織片は,現在用いている鉗子の大きさから,胃壁に直角にあたった場合,直径3mm前後の大きさである.この組織中には粘膜全層を含んで粘膜筋板に達する深さであるが,必ずしも鉗子が胃壁に直角にあたるとは限らない.とくに幽門洞の大彎前後壁では鉗子が粘膜面と平行になって,粘膜層の半分,時には粘膜表層を一部採取するにすぎないことがある.このように採取部位で組織片の大きさ,粘膜層の採取しうる範囲に色々と差違がみとめられることは,生検組織作製の上で問題になります.生検した組織片から組織標本をつくり検鏡する際には,粘膜全層が見られることが理想的であって(第1図)粘膜表層に平行に薄切されると腺管が輪切りになってしまう(第2図).
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