胃と腸 4巻3号 (1969年3月)

今月の主題 胃癌深達度の診断と経過観察

綜説

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Ⅰ.はじめに

 早期胃癌の大部分は胃内視鏡で診断がつくようになった.しかし,一部は胃生検なしには確診困難である.確診困難なとき数週間の経過観察で癌としての特徴が出現するのを待つ方法もある1).経過観察は潰瘍合併のものにとくに有効である.

 陥凹性早期胃癌の短期経過追求の結果,早期胃癌内潰瘍の多くが抗潰瘍治療で治癒傾向を示すことが明らかとなった2).多数例の経過追求は,診断がついてから手術までの間,われわれの病院の機構上やむなく何週間かを要するので,その間を利用して詳細な追求をしていくという方法によって行なわれる.また疑診から確診までの間追求する.胃生検が極めて容易に行なわれる現今では,むしろ確診から手術までの間を利用して追求していく.

 このように追求しているとき,非常にしばしば出現してくる所見として,うすい白苔にかこまれた粘膜の島がある.この島は赤斑としてみえることがある.うすい白苔は撮影条件が悪いとよくみえない.このような所見は悪性潰瘍で極めて頻繁にみられるが,良性潰瘍ではまれにしかみられない.早期胃癌内潰瘍は治癒する傾向があるといってはみても,所詮その再生粘膜はその再生のうしろ側からくずれてきて白苔をかぶったⅡcができてくると老えられるのである.どうやらこういう現象が段々と上記の白苔にかこまれた粘膜の島へと発展していくものの1つではないかと思われる.そこで粘膜の島Redpatchとそれを取りかこむ白苔white CoatingのRとCをとってこの現象をRCと呼ぶことにする.このRCは潰瘍性病変の良悪性鑑別の手がかりになりそうである.

 さらにこれらの島が高まっている場合がある.これをWallと呼ぶ.出血Bleedingおよび周辺粘膜の襞Foldの状態も参考にして,陥凹性早期胃癌の内視鏡診断について述べることにする.

 以上に挙げた各要素をそれぞれの程度別にIndexにして表現し,このIndexによる表現法をRC法と呼ぶことにする.

 なお,各要素以外に実際にはもっと多くのみるべき要素があるが,今回はIndexに表現しやすいものだけについてとりあえず考慮してみたものである.

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Ⅰ.はじめに

 早期胃癌に関する研究は,わが国において,もっとも進んだものであって,1966年の国際内視鏡学会や,消化器病学会でも,欧米に比してすぐれていることが認められた.このすぐれた研究は,わが国の癌死亡の中でしめる胃癌の割合がきわめて高いことにもとつくと共に,X線及び内視鏡検査の進歩が大きく貢献している.早期胃癌の診断,治療に数多くのすぐれた研究がなされており,1968年には,前癌病変としての胃潰瘍と胃ポリープの意義が検討されている.

 臨床面では,早期胃癌の中には,長期間にわたり癌が早期の状態であることが1963年に検討されて以来,最近では,数年にわたり,早期癌の状態である症例がまれでなくなっている.胃疾患の検査法の進歩は,漸次小さい早期癌の診断に向けられると共に,癌の胃壁深達度をX線,内視鏡検査でどの程度まで診断しうるかが検討されている.X線または内視鏡検査で進行癌と診断した症例が組織検査では,癌が粘膜下層に止まる早期癌であったり,また逆に,早期癌と診断した症例が切除胃の組織検査で深部浸潤を示した進行癌と判明する症例も少なからず認められている.早期胃癌の問題点は数多くあるが,今回は,1965年1月より,1968年6月までの過去3年半に経験した早期胃癌184例および進行癌571例について,早期胃癌を中心に,経過と深達度を2,3の点について検討を加えてみたい.

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Ⅰ.はじめに

 内視鏡で早期胃癌と診断するためには癌か否かの鑑別と同時に癌の深達度を推定しなければならない.このことは癌細胞の深部浸潤の深さという顕微鏡レベルでの尺度を,内視鏡という肉眼レベルでの粘膜表面の形態的な変化所見から推定しようとするのであるから,もとより難しい問題である.しかし,これが不可能であるならば,癌深達度で規定された1)早期胃癌を内視鏡的に診断することも不可能であるといわねばならない.

 従来,早期胃癌の診断学に関する研究は癌か否かの問題がもっぱら議論され癌深達度の推定を系統的に検討した報告は見られず,これを困難とする研究者も少なくないが,本年度福岡での学会以来にわかに活発な議論を呼ぶようになってきた.

 著者らは数年来内視鏡学会分類2)3)に亜型分類4)を加えこの問題を検討してきたが4)5)6)7),その後の症例を加えて早期胃癌と誤診しやすい進行癌はどれくらいあるか,それらはどの病型で多いか,両者を鑑別するに役立つ所見としてどういうものがあるか,また内視鏡で”早期”という診断はどの程度可能であるかなどについて検討したので,その成績を以下に述べる.

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Ⅰ.はじめに

 近年わが国では胃疾患の診断学が非常に進歩して,癌浸潤が胃粘膜内(m)ないし粘膜下層内(sm)にとどまる早期胃癌1)2)が,術前の臨床診断の場でかなり的確に診断されるようになった.まずこの早期胃癌という語について考えてみよう.定義から明らかなように,もともとそれは癌の深部浸潤の程度(以下,深達度と呼ぶ)という大きな素要を含んでいた.すなわち早期胃癌の診断は良・悪性の診断と深達度の診断との2つの面から成り立っていたわけである.X線や内視鏡による早期胃癌の診断に関する現在までの研究では,良・悪性の診断に重きが置かれていたようで,事実この面では既に相当の成果が得られている.一方,深達度の診断という面をクローズアップしてみると,必ずしも十分な成績とは言い難いのが現状で,早期胃癌を進展胃癌と,或いは進展胃癌を早期胃癌と術前には誤診して,のちにほぞを噛む思いがすることも決してまれではない.また,早期胃癌と正しく診断したとしても,癌浸潤が粘膜内にとどまっているのか,或いは粘膜下層にまで及んでいるのかという点になると,その決定には更に困難が感じられる.このことは進展胃癌において深達度が固有筋層(pm)か漿膜(ss)かという場合にもまったく同様である.この深達度の診断は,それが患者の予後に密接な関連を有するという意味において極めて重要な問題であるにも拘らず,良・悪性の診断に比しやや立ち遅れの感が否めなかったが,1965年奥田3)はその重要性に着目して内視鏡による深達度診断の指標を求めんとし,その後も精力的な研究を続けている4)5)

 以来,2,3の研究者6)7)8)がこの問題に取組んでいるが,昨秋の松本における消化器・内視鏡合同シンポジウム9)にこの主題が取上げられたことから,広くわが国の研究者の注目を集め,今後の研究の1つの大きな目標となるものと思われる.

 われわれは先に,胃カメラ診断の分野に計量診断10)11)12)の思想を導入せんという立揚から,良・悪性の鑑別診断の問題を取上げて,胃カメラ所見が織りなすパターンの数量化(客観化)を試み,当時としては一応満足すべき成績を得て,同様の手法が胃癌の深達度の診断,或いは潰瘍の予後の推定などに導入され得る可能性のあることを指摘した13)14).そして,遅ればせながら深達度診断の問題についても,それをできるだけ客観化しようという姿勢で検討を加えてきた.今回は客観化の出発点として,まず内視鏡診断の立場から,現在までのわれわれの深達度診断の現状を分析し,深達度診断の指標についても検討を加え,かつ客観化の問題に触れてみたい.

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Ⅰ.症例

 患者:53歳男

 家族歴:父,肺結核で死亡.母,80歳で老衰で死亡.弟,上顎癌手術後4年健在.

 既往歴:約30年前に虫垂切除術を受けた.昭和39年頃より腹痛のため2,3の病院を受診し検査をうけ,胆嚢が造影されないため胆嚢炎と診断されたが,胃の異常は指摘されなかった.

 現病歴:患者の弟が医師で,たまたま昭和42年10月に胃のX線検査を行ない,その結果につき相談をうけたが,前庭部に壁の異常をみとめたため精検をすすめ来院してもらった.その時の充盈像はFig.1とほとんど同様であった.来院時には腹痛などの訴えはなく,かるい上腹部の不快感がある程度であった.

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Ⅰ.はじめに

 近年,わが国における胃のX線検査および内視鏡検査は急速に発達し,普及した結果,早期胃癌の診断は軌道にのったといえる.ところが,大腸の診断は胃にくらべて非常に遅れているのが実状のようである.大腸では,胃よりも病変が少ないこともあるが,X線検査法が確立しておらず,また,直腸鏡との協力体制の不十分であることが,大きな障害になっていると考えられる.

 最近,われわれは,早期胃癌の内視鏡学会分類に準じて表現するならば,表面隆起型(Ⅱa)といってもよいような,S状結腸早期癌の1症例を経験したのでここに報告する.

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Ⅰ.症例

 患者:加○清○ 34歳 男子 会社員

 初診:昭和42年2月13日

 手術:昭和42年2月25日

 主訴:心窩部痛,嘔吐

 既往歴:13歳の時,左肺結核に罹患し7力刀間の入院加療を受けた.また20歳頃に数カ月にわたり食欲不振が続き,某医を訪ずれ,慢性胃炎の診断にて外来治療を受けた.それ以後は著患を知らず正常の生活をしてきた.

 現病歴:昭和41年夏頃から心窩部に重苦しい感じがあり,食欲が減退してきた.重苦しい感じは一進一退あって,時に過食の後では嘔吐することがあった.昭和42年2月10日突然原因不明の下痢があり,それは間もなくおさまったが,以来嘔気,呑酸,便秘などの症状が強く現われてきた.2月12日から嘔吐が頻回になり,心窩部痛もかなり強いものになってきたので入院した.

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Ⅰ.まえおき

 顆粒細胞性筋芽腫(Granular cell myoblastoma)は1926年Abrikossoff1)がはじめて特有な顆粒を細胞質内に有する筋原性の良性腫瘍として記載した.本腫瘍は,主として皮膚および舌に発見される.欧米では多くの研究があり,また発生起原も種々探究されているが,本邦での報告例は極めて少ない.また胃神経鞘腫(Neurinoma)は1910年Verocay2)らがその本態を究明したが,本邦でも少なからず報告されている.本腫瘍は粘膜下または漿膜下に生ずる神経原性の良性腫瘍で,必ずしもまれではない,われわれは最近術後の組織学的検索で,胃粘膜下に顆粒細胞性筋芽腫が存在し,さらに漿膜下に神経鞘腫が重複していた1例を経験した.このような重複良性腫瘍は珍らしいので,文献学的考察を加えて報告する.

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Ⅰ.緒言

 十二指腸良性腫瘍は十二指腸癌とともに比較的まれな疾患である.Cruveilhierが剖検で発見,発表したのが最初であるといわれているが,最近まで欧米では422例,本邦では87例が報告されている.十二指腸癌は欧米で649例,本邦で238例報告されており,良性腫瘍の報告は癌よりいくらか下まわるようである.

 その発見率についてはReiford100)の56,500剖検例よりわずか13例,Hoffmann49)の17年間の手術切除標本64,300例および24年間の剖検25,000例中8例発見されているのみであり,これらの発見率は0.02%ないし0.03%と低率である.

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印象

崎田 今日の座談会は,溜飲を下げる会でございます.シンポジウムでは,フロアーとの交流がありませんから,フロアーでは言いたいことがいっぱい溜まっている.そういう溜りを全部吐くことである,ということでございます.そういうふうに一つ大いに愉快な会にしたいと思います.

白壁 崎田先生,司会なすった経過のところをそれじゃ一つやっていただけませんか.

技術解説

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Ⅰ.はじめに

 胃のX線像のうちでも,充満像は,二重造影像や圧迫像に比べれば,技術的な個人差も少なく,とりやすいものであるが,充満像は何といっても,胃X線診断の基本となるものであるから,これが上手にとれないようでは,他の撮影法はもっと容易でない.

 充満像を上手にとるには,まずよい充満像とはどのようなものであるかを十分経験し,理解することである.そのためには,充満像で何を診断するのかということから考えねばならない.

印象記

ソヴィエト医学界 多賀須 幸男
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 私は去年の7月に3週間余りソ連を訪れました.極く限られた病院しか訪門できなかった上に,ロシア語が全然わかりませんので,編集部から求められましたソ連の医学などについて書くことは不可能です.葦の髄から覗いたソ連の消化器病とお考え下さって,読みながしていただければ幸いです.

 旅行の目的は,日本の胃内視鏡検査を紹介することでした.モスクワ市の消化器病研究所と,レニングラード市のモスクワ地区第2病院で,検査の供覧と講義を,それぞれ2日ずつ行なったのですが,幸い40~50名の先生が出席して熱心に聴いて下され,盛んな質問もあって,まずまずの成功であったと思っています.戦後20年にわたる先輩諸先生の努力の結晶である日本の胃疾患診断学について話したわけですから,ソ連の専門家が感心されたのも当然のことと存じます.私にとっては,身に余る光栄で,非常に肩身の広い思いでした.同様なことをモスクワとレニングラードの癌研究所でも行ないました.

研究会紹介

茨城県胃疾患研究会 谷口 恒郎
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 茨城県において消化器病の同好会を作ったらどうかとの話は,昭和40年の暮頃から前消化器病学会理事長の川島震一博士および胃腸病院の日野貞雄博士から小生宛に催促を受けていたが,当時は昭和36年9月より再発足し隔月ごとに開催されている茨城外科集談会が盛会に運営されており,毎回その道のエキスパートに特別講演をお願いし,これ迄に,牧野惟義,小平正,黒川利雄,間島進,赤倉一郎,桂重次,武藤完雄,槇哲夫,堺哲郎,綿貫重雄,佐藤博,中山恒明らの諸教授によるそれぞれの新知見に接することが出来ていた.又,谷口,加藤による胃カメラ反転法も昭和37年5月の同会席上での発表により,その誕生をみている.この様な状勢から,消化器病同好会の独立発足が切実な形とならず,のびのびになっていたが,昭和40年7月には白壁彦夫教授の「早期胃癌の診断をめぐって」の講演を拝聴し,消化器病同好会誕生の機運は次第に熟し,世界消化器病学会の東京開催に関連して,漸く昭和41年12月に国立癌センターの崎田隆夫博士をお迎えして「早期胃癌の内視鏡診断」を第一声として発足したものである.

 第2回は再び外科集談会と合同して開かれ県内各施設より「早期胃癌並にその類似症例」をもちよってシンポジュームを行ない,特別講演として,佐野最造博士より「早期胃癌の臨床病理について」をおうかがいしている.

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 高知県における胃疾患研究会が南国土佐の地において初めて開かれたのは,昭和35年であった.当時市民病院長であった山崎求巳先生が初代幹事となって田坂先生並に崎田先生をお迎えして,正式に第1回の胃カメラ研究会がスタートされたわけですが,同好の先生方が県下から集り50名は下らない盛況であった.以来この研究会は胃疾患に関心のある先生方が特に会則というものを設けているわけではありませんが,毎月1回行われるこの会に日常診断に困難である症例や,手術適応かどうかの例,或はレ線診断,内視鏡的所見から手術所見,更に肉眼標本より組織診断までというように一連の系統的な症例を次々に出され,自由にしかも熱心に討論するということがこの会の特長といえましょう.高知市には胃カメラ研究会の他に胃疾患に関するものが2つあり,その1つは徳島大学放射線科河村教授の主催されるレントゲンアーベントであって年に1回位高知で行なわれており,他の1つは高知県予防課が行なっている胃集検読影研究会がある.この読影研究会は月1回行なわれ主として公立病院に在籍の先生が集り,岡山大学小坂内科の草加芳郎講師を中心に間接フィルムより精検に至るレ線的,内視鏡的所見などについて検討が行なわれ,僻地における現地精検などの症例も出され,所謂高知県方式なるものであるが,この研究会は限定された先生方のため少人数で行なわれている.以上の如く高知県の胃疾患に関する研究会は3つに分れていると思われるが,症例を出来るだけたくさんの先生に検討して頂くという点で重複する場合も屢々見受けられるけれども胃集検の症例も出来るだけ胃カメラ研究会に出して頂くようにしている.そういう点において胃カメラ研究会は一番症例数も多く,毎月の例会は非常に盛会でしかも層が厚く,来られる先生方は同好の士とはいえ非常に熱心な討論が繰り返えされている.また目常診療に多忙のため中央の学会にもなかなか出難い先生方も居られ,更に高知県の研究会のレベルアップの意味もあり,例会には度々各分野のエキスパートの先生にお願いして講演会或は実技の講習などをうけております.昭和39年には国立がんセンターより市川先生,山田先生が来られ早期胃癌のレ線像について講演され,特に二重造影法についての詳細な説明があり,その後の症例検討会にも積極的な意見が会員との間に交換されレ線写真撮影上の技術的な問題にまで触れ初期癌の診断は二重造影法により充分診断し得るという確信を諸先生が改めてもたれたわけです.昭和42年には大阪回生病院青山大三先生を例会にお招きして極く初歩的なことから,X線写真読影上の注意点,更に最近の胃疾患についてのお話を聴き胃レ線検査能力向上に一段と拍車をかけて下さったわけです.昭和41年には実技の講習が行なわれた.即ち例会の翌日市民病院においては信田重光先生の洗滌法による直視下細胞診が行なわれ,県立中央病院においては竹本忠良先生によるファイバーガストロスコープによる直視下生検法の実際が患者3名について行なわれて百聞は一見に如かずで,細い注意点などは実施中に指摘され,又会員にもやらせて貰ったため現在もそれを基にしてどしどし細胞診,生検が行なわれている.このように例会には白壁先生,村上先生など御出席を願って年に4回位の講演会を行なっているが,官公立病院,開業医と広く支持層を得て存在意義を大きくしている.それだけに幹事の役割も又非常に重くこの会の発展のため努力しております.

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欧文目次

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 山口保博士は,永年弘前大学医学部の松永教授の下で,研究生活をされたが,特に,腸疾患の診療についてのエキスパートで,そのX線診断や,内視鏡診断については造詣がきわめて深いことはつとに国内はもちろん海外にも知られている,

 青森県立中央病院内科部長に転出されてからも,好学常にやまず,着々として学問的努力をつづけておられることは敬服にたえないところである.

編集後記 芦沢 真六
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 春の学会シーズンも近づき,また何か新しいことをと,発表する人も聞く側もそれぞれに何となく期待の高まりを感じておられることと思います.

 多方面の沢山の方々の努力と協力が少なくとも胃の病気の診断では,術前に病変の肉眼所見を推定できるまでにしたわけですが,つづいて病理所見の細かいところまで術前に診断する努力をしようというわけで,本号では胃癌の深達度の問題がとりあげられました.御承知のようにこの問題を云々するには非常に細かい病理学的検索の裏付けなしにはできないことです.それができるようになったということにも一つの大きな意義があると思います.やがてだんだんと問題が発展し,例えば座談会の中にも一寸ふれられていますが,粘膜筋板の役割りというようなことまで将来は論じられるようになるでしょう.

基本情報

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胃と腸
4巻3号 (1969年3月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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