胃と腸 22巻7号 (1987年7月)

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要旨 腸結核病巣内の進行癌6症例,7病変を中心にして,肉眼・組織像の特徴,腸結核との因果関係および癌の発生母地を検討した.癌巣に結核が二次感染する場合(1病変)と慢性活動性腸結核の病巣に大腸癌が発生する場合(文献例)とが考えられた.しかし6病変では両病変の因果関係は不明であった.肉眼型はびまん浸潤型や膨張・浸潤潰瘍型が多く(6/7),潰瘍底が浅く,癌の粘膜内進展が4/7にみられた.分化型癌が多いにもかかわらず,浸潤性発育が顕著で,線維症の強い潰瘍中心部では囊胞状の分化型粘液癌が4/7にみられた.これらの形態学的特徴は,腸結核非合併例の大腸癌に比べ,粘膜下の癌組織量が少ないことや結核性瘢痕組織に起因するところが大であった.腸結核合併大腸癌の発生母地として,結核病巣の大腸粘膜,異形成および腺腫が挙げられたが,どれが最も重要であるかを明確にすることはできなかった.

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要旨 自験6例の同部位腸結核合併大腸癌を呈示し,本邦文献を渉猟して,同部位腸結核合併大腸癌39例と他部位腸結核合併大腸癌7例を蒐集した.同部位腸結核合併大腸癌を分析して以下の結果を得た.①一般の大腸癌に比べ有意に女性が多い.②病変部位は有意に盲腸~上行結腸が多く,S状結腸,直腸が有意に少ない.③5型の肉眼型が有意に多く,2型が有意に少ない.④活動性肺結核合併は1例(4.2%)にすぎず,他は陳旧性腸結核合併例か,胸写上異常のないものであった.⑤記載された29例中,9例(31.0%)が,診断される8~59年以前に腸結核に感染または,感染する機会を有していた.3年以内に感染または感染の機会があった症例はなかった.⑥癌のほかにいわゆるdysplasiaを有した症例が少なくとも3例に認められた.以上の成績に考察を加え,同部位腸結核合併大腸癌では,腸結核の大腸粘膜を発生母地とする大腸癌の存在を否定できないと考えた.

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要旨 73歳女性の腸結核に合併した大腸癌の症例を報告する.肺結核はなく,既往歴・家族歴にも結核は認められなかった.結核は回腸末端から横行結腸中央部にかけてあり,癌はこの中の短縮した盲腸・上行結腸に存在した.癌はX線検査および内視鏡検査で十分疑われたが,狭窄のためスコープが入らず生検では証明しえなかった.CEA正常,ツ反は陽性,しかし糞便の結核菌培養は陰性であった.右半結腸切除術施行,腹水なし,肝も異常なかった.リンパ節の腫瘍性腫脹もなく,8個の検索中2個に結核結節を認めるのみであった.組織学的には高分化腺癌でly1,v1で深達度siであった.なお,癌の肛側の一部にいわゆる異型を認めた.

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要旨 広範な腸結核に潰瘍浸潤型進行癌をみた症例を経験したので報告した.患者は48歳の女性で,主訴はやせと左下腹部痛であった.X線所見では回腸終末部からS状結腸に結腸膨起の消失と瘢痕帯をみた.横行結腸の癌部は,充満像で腸壁の狭小化と伸展性が乏しく,二重造影像でバリウムの付着の異常を認めた.内視鏡所見では癌部に一致して易出血性の粘膜をみた.この部の生検で癌をみた.病理学的所見では回腸終末部からS状結腸に広範なUl-Ⅱs~Ul-Ⅲsの瘢痕萎縮帯をみた.癌巣は腸結核病変の中にあり,癌の深達度は漿膜であり,リンパ節転移を認めた.術後1年8か月で癌再発で死亡した.剖検したが,他の臓器に結核性病変を認めなかった.

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要旨 71歳の女性,腹痛と腹部腫瘤を主訴として来院.大腸X線所見において回盲部から右側横行結腸にかけての短縮,狭窄ならびに炎症性ポリープの所見より結核の診断を,狭窄の口側寄りの腫瘤陰影より癌併存の疑診を得た.切除標本では深いクレーターや周堤がなく,粗大な結節状腫瘤と浅い潰瘍と炎症性ポリープを認めた.組織学上,癌は粘液産生性の高分化腺癌で,筋線維束を分け入るように漿膜下層まで浸潤していた.結核は癌の周辺と深部にみられ,著明な線維化と多数の肉芽腫を認めた.自験例と腸結核に癌を合併したこれまでの報告例より,本症には特徴ある肉眼ならびに組織学的所見を有することを指摘し,結核と癌の因果関係について考察を行った.

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要旨 大腸結核を合併した大腸癌は比較的まれで,本邦報告例は38例のみである.上行結腸の同一病巣に癌と結核を合併し,結核菌も認められたまれな症例を経験したので報告した.患者は48歳の男性で,主訴は右上腹部痛である.胸部X線所見で右上肺野に陳旧性肺結核の所見を認めた.注腸X線および経口大腸X線所見で,上行結腸にapple-core様の所見を認め,癌と診断したが,内視鏡・生検所見では確診が得られなかった.手術標本では,肉眼的に大きさ6.0×5.5cmのBorrmann2型癌で,腫瘍の口側および肛門側の結腸粘膜には結核の所見は認められなかった.組織学的には同一病巣内に中分化型の腺癌と結核性の肉芽腫が混在して認められ,また抗酸菌染色にて多数の結核菌を認めた.

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要旨 患者は61歳,女性.腹部腫瘤からの膿汁分泌を主訴として,1985年7月入院.現症で胆石手術創の下方に腫瘤を触知した.創の下端が離開し,その部より膿汁の分泌が認められた.膿汁中に結核菌が培養で証明された.注腸X線所見は右側結腸の治癒結核の像であった.腹部CTで腹壁膿瘍の所見を認め,瘻孔造影で,盲腸・皮膚瘻が確認された.抗結核療法を施行し,排膿が止まったため,1986年1月,外科的に瘻孔摘除,右半結腸切除術が施行された.術後の組織学的検索により盲腸癌の合併が確認され,周囲粘膜には異型腺管がびまん性に拡がっていた.

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要旨 最近われわれは大腸結核に大腸原発悪性リンパ腫を合併した症例を経験した.患者は63歳,男性で,主訴は下痢,発熱,腹痛であった.臨床症状を踏まえたうえでの大腸X線検査により,直腸より盲腸にわたる広範な活動期の大腸結核と診断し,抗結核療法を施行した.約3か月後の大腸X線検査では,横行結腸を除いてほとんどの潰瘍は瘢痕治癒していたが,横行結腸の変形,粘膜模様は腸結核の所見とは異なっていた.結腸亜全摘術後の病理組織学的検索により,横行結腸にはびまん型,大細胞型の悪性リンパ腫が認められた.筆者らが検索した範囲では同様の文献的報告を見いだしえなかったので,症例の概要にX線像の変化を加えて報告した.

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要旨 患者は61歳女性で,カリエスの既往がある.心窩部痛が出現し入院.胸部X線検査で右中下葉の葉間膜の肥厚がみられ,PPDは強陽性.注腸バリウム検査で回盲部から右結腸曲までの短縮,憩室形成がみられ,横行結腸は粘膜が萎縮し炎症性ポリープが散在,狭窄と高度の短縮がみられた.上行結腸は辺縁不整な極端な狭窄像を示し,内視鏡検査で狭窄部に挿入はできなかったので鉗子を挿入,生検を行い,Group 5であった.結腸切除術を施行.回腸末端から横行結腸までUl-Ⅱsの潰瘍瘢痕帯で腸壁には非乾酪肉芽腫があり,腸間膜リンパ節には硝子化巣がみられた.腸結核による瘢痕帯の上皮より発生した上行結腸癌で,well differentiated adenocarcinoma,s,ly2,v0,n0であった.

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要旨 患者は49歳女性,下腹部痛を主訴として来院した.注腸X線検査で上行結腸下部にapple-core様狭窄が存在し,更に上行結腸から下行結腸の腸管には輪状狭窄,腸管の短縮,Haustraの消失が認められ,また小隆起,微小潰瘍,潰瘍瘢痕が多発していた.内視鏡検査にても同様の所見が認められた.腸結核と大腸癌の合併と診断し,結腸右半切除術を施行した.切除標本では短縮変形した下行結腸に大きさ6.5×4.5cmの2型大腸癌を認めたが,潰瘍周囲の周堤は幅広く丈が低かった.病理組織学的に中分化腺癌で,深達度はsであった.腸管,リンパ節とも結核性肉芽腫は認められなかったが,腫瘍肛門側の腸管には数個のUl-ⅡやUl-Ⅲの潰瘍瘢痕や再生粘膜がみられた.

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要旨 患者は63歳女性.貧血を主訴に来院した.結核の既往歴,家族歴はなかった.注腸X線検査で,盲腸の消失,上行結腸の長軸方向の著明な短縮,炎症性ポリープと偽憩室の所見から,結核性萎縮瘢痕病変と考えられた領域内に大きさ約5.0cmの表面粗糙で,背の低いⅡa様隆起を認めた.隆起は鉗子生検で腺癌であった.切除標本の全割切片による組織学的検索の結果,結核の所見は見出せなかったが,腸管上皮の萎縮と粘膜下層の陳旧性線維化があり,Ⅱa様隆起は腺腫を伴わない高分化腺癌であった.すなわち,本例は大腸結核の疑診例であったが,この瘢痕萎縮病巣内に大腸癌を併存した極めてまれな病態であった.文献的に両疾患の特徴と関連性について考察した.

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要旨 45歳,女性.右下腹部鈍痛を主訴として来院した.注腸X線検査で上行結腸に炎症性ポリープが多発し,この病巣に重なって腸管長軸に優位な大きな潰瘍がみられた.内視鏡でこの潰瘍を癌と断定できなかったが,生検陽性であった,切除標本で潰瘍辺縁は肛門側ではびらん状,凹凸不整で一部は周堤様に隆起しているが,口側には周堤と言えるものはなく,通常みられる大腸進行癌の肉眼形態とかなり異なっていた.炎症性ポリープはその成因を確定しえないが,臨床検査および病理組織学的所見を総合して陳旧性腸結核とした.癌は漿膜を越える進行癌であった.結核と合併する大腸進行癌の肉眼形態は通常と異なることが指摘されているが,本例もその範疇に入る.

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要旨 患者は59歳の女性.1980年8月に動悸,息切れを主訴として来院.大腸X線および内視鏡検査において,右側結腸に主座を置く広範な治癒結核所見があり,その病変内の横行結腸口側に,明らかな周堤隆起を伴わない限局潰瘍型の癌が認められた.1980年12月に,結腸右半切除が施行されたが,術後の組織学的検索で結核病変に併存した癌は高分化腺癌にもかかわらず,著明な線維形成がみられた.粘液変性は著明ではなかった.

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要旨 患者は69歳,女性で左頸部リンパ節腫大を認め,生検の結果は腺癌であった.原発巣の検索のために行った注腸検査にて右半結腸に腸結核の瘢痕像がみられた.また,肝彎曲部には不整形の陥凹を伴う狭窄を認めた.大腸内視鏡検査にて同部位に易出血性の潰瘍性病変があり,生検結果は腺癌であった.周辺粘膜は潰瘍瘢痕を伴う粘膜萎縮帯がみられ大腸結核の瘢痕と診断した.

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要旨 62歳の女性.1年前の注腸検査で右側結腸に潰瘍瘢痕を伴う萎縮帯,偽憩室,炎症性ポリープがあり腸結核の治癒像と診断されていた.今回,SLEの腎機能障害のため内科入院中,回盲部腫瘤,疼痛が出現し,注腸・内視鏡検査で腸結核と診断されたが,生検にて大腸癌の合併と診断された.切除標本は回盲弁直上に不整形の潰瘍を有し全周性の狭窄を伴う浸潤潰瘍型の大腸進行癌で,組織学的には粘液産生を伴う低分化腺癌であった.隣接する上行結腸には多発する潰瘍萎縮瘢痕帯と粘膜集中を認めた.しかし全割による組織学的検索で乾酪化肉芽腫は証明されなかった.以上より注腸所見,肉眼所見から腸結核の疑診例と診断し,その病巣部に大腸癌を合併した症例と思われた.腸結核に合併する大腸癌は通常みられる大腸癌の形態とは異なることが多く,注意深い検査が必要である.

主題症例を見て

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 貴重な症例を提供していただいた.読み応えはともかく,見応えのある症例が揃った.あえて“読み応え云々”と書いた理由は後に書く.最初に13例についての総括的な事柄に触れる.表を参照してもらいたい.

 年齢については,45歳(湯川)~73歳(八百坂),平均59歳.性別では11例が女性,2例のみ男性で女性に偏している.これが腸結核に合併する癌の特徴なのか,単なる偶然なのか興味あるが,ここでは問題にしない.参考までに,牧山のTable1(p828)では,23例中男性は8例である.

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 本号の“大腸結核と癌の合併症例”特集は癌と結核のただ単なる重なりではなく,“結核と癌の因果関係”ということの考察に大変参考となりました.大腸結核と癌の合併症例12例を通覧した感想を述べてみたいと思います.

 まず,大腸結核と癌の重なっている病変の特徴として,その存在部位は上行結腸~横行結腸であることが挙げられます.癌肉眼型については,通常の大腸癌のそれが,いわゆるBorrmann 2型であるのに対して,隆起部分の少ない扁平な形を呈しているという傾向がみられます.それは,潰瘍性大腸炎の大腸に発生した癌の肉眼形態と同じです.これらのことは,癌の発育の場と癌の発育様式との関係を私たちに教えてくれます.すなわち,正常大腸壁に発生した癌は,リンパに富んだ正常大腸壁で膨張性に発育してBorrmann 2型を示しますが,結核あるいは潰瘍性大腸炎が一時的に治癒した状態の大腸に発生した癌ではそうはいきません.そこは広範な線維化のため組織が密で硬く,また組織間隙のリンパは少ないですから,そこに発生した癌の発育は当然のことながら膨張性に発育することができません.癌組織型は通常の大腸癌の場合と同じで,乳頭管状腺癌が多いようです.

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 腸結核と癌の合併(癌が場所的に一致しているか含まれていることを前提にしている)という大変興味ある症例を通覧して二,三の印象を述べたい.

 第1に,一番重要なことであるが,先か後かという問題である.先か後かの問題は,病理学が最も不得意でありながら論ぜざるを得ないという苦しい領域である.潰瘍性大腸炎のように臨床症状が明らかな疾患は,この問題は大変取り扱いやすいのであるが,腸結核のように症状が必ずしも出現しない疾患は要注意である.臨床的に腸結核が診断され,その多年の後(例えば10年後)にその部に癌が発生したという症例があれば,腸結核を先駆病変として癌が発生したと言えよう.しかし今回の主題症例にはかかるものはなかった.

今月の症例

胆囊腺筋腫症 藤田 直孝 , 李 茂基
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 〔症例〕 38歳,男性.主訴は心窩部激痛.

 〔体外式超音波検査(US)所見〕 胆囊壁はびまん性に肥厚し,胆囊腔内には多数の結石(strong echo (SE)+acoustic shadowing (AS))を認める.肥厚壁内にもSE,SE+AS,small cystic lumen,comet tail artifactが多発している(Fig.1).肥厚した壁部分のechogenicityは周辺肝とほぼ同等で,肝との境界もよく保たれている.

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 右側結腸(横行結腸~盲腸)において診断される腫瘍性病変は小さな腺腫,進行癌が多く,大きな腺腫や早期癌は少ない(「胃と腸」22巻4号p442).腺腫は大きく育たず,早期癌は最初から癌として発生すると推測される.進行癌があるのだから早期癌もそれに劣らずあるのは間違いない.診断されるものが少ないことになる.

 右側結腸における早期癌は進行癌に早く進展する(時間の問題),形態学的に発見の難しいものが多い(形の問題),具体的に言うと有茎性ポリープではなく広基性やnonpolypoid(扁平,平坦,陥凹型)の割合が多いことが想像されるし,事実そうである.

早期胃癌研究会

1987年5月の例会から 丸山 雅一
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 5月の例会は大阪で開かれた第33回日本消化器内視鏡学会総会に合わせて,学会の2日目(29日)に学会場であるホテルニューオータニから遠くないMIDシアターを会場にして行われた.司会は大阪地区を代表して,高見元敝(市立豊中病院外科),北野厚生(大阪市大第3内科)の両先生が担当した.

 〔第1例〕 65歳,男性.二重早期癌と胃ポリポーシス(症例提供:大阪医大第2内科 鄭).

病理学講座 消化器疾患の切除標本―取り扱い方から組織診断まで(7)

病理組織標本の作製法 小池 盛雄
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はじめに

 病理組織標本の出来を左右する因子は様々であり,周定の程度,パラフィン浸透の程度,染色液の選択,染色標本の脱水・透徹の良否などが影響を及ぼす.病理標本作製の手順・染色の操作などについては専門の組織技術書に譲り1)2),本稿では日常起こりやすい障害について記載し,注意を喚起すると共に,日常使われる特殊染色についても簡単に述べる.

学会印象記

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 爽やかな五月晴れの空のもと,本総会のシンボルマークに用いられた大阪城の緑青色の重層の屋根が美しく映えている.第33回日本消化器内視鏡学会総会は,このお城の近くに昨秋完成したニューオータニ大阪ホテルをメイン会場として,大阪府立成人病センター第3内科部長奥田 茂博士の会長のもとに,5月28日より3日間開催された.

 編集部からの電話で印象記の依頼を受け,気軽に引き受けたものの,プログラムを見直してはたと困惑した.8会場の講演に加え,展示があり,更に評議員会,各種委員会,そして自分の司会するシンポジウムとリハーサルを考えると,果たしてこの総会の何分の一を視聴できるか,と頭を抱えてしまった.教室員と手分けして,とも考えたが,印象記とは主観性に要点があると思い,自ら経験できたものだけに焦点を絞らせていただいた.

初心者講座 大腸検査法・7

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 回盲部は炎症性腸疾患の好発部位である,そして,この部は内視鏡も届きにくいので,これらの病変の診断はX線検査が主役となる.

 回盲部の炎症性疾患の症例において,この部のX線診断について述べてみたい.

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欧文目次

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 「消化器内視鏡」全3巻シリーズの③十二指腸乳頭部・膵管・胆道・肝臓編が昭和大学藤田力也教授編集で出版された.編者の藤田博士を始め執筆は,いずれも膵・胆・肝内視鏡のパイオニアで,内視鏡学の研究と診療の第一線で縦横に活躍しておられる新進気鋭の方々であり,その技術・手技から理論に至るまで自分自身の研究と成績および経験を中心にした記述で重みがあり,解説は懇切丁寧で内視鏡診療のポイントはのがさずおさえてある.

 十二指腸乳頭部,膵管,胆道の内視鏡は近年その進歩が著しい.ERCPやPTCの開発以来,診断のみならず治療面への展開が目覚ましく,実地臨床にも普及し,最も注目されている内視鏡分野である.一方,肝臓の内視鏡は今まで腹腔鏡の専門書はともかく,一般内視鏡教科書ではその記述が不十分でおざなりの感は免れなかったが,本書では,その基礎から臨床応用に至るまで,詳細で親切,しかも要領を得ており,初心者でも本書を片手に腹腔鏡検査にチャレンジが可能である.

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 A novel class (H3) of histamine receptors on perivasculer nerve terminals: Ishikawa S,Sperelakis N (Nature 327: 158-160,1987)

 H1,H2受容体は血管壁の平滑筋のみならず血管周囲の自律神経末端にも存在し,神経末端からの神経伝達物質の分泌を調節している.最近(1983年),ラットの大脳皮質にH3受容体が存在することがわかった.すなわち,ラット大脳皮質に内在するヒスタミンの電気刺激による分泌は外から与えたヒスタミンで抑制されるが,これはH1,H2受容体拮抗剤のいずれによっても拮抗されない.H3受容体の存在は脳以外では知られていないが,われわれはモルモットの腸間膜動脈でその存在を確認した.

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 Campylobacter pyloridis gastritis Ⅰ: Detection of urease as a marker of bacterial colonization and gastritis: Hazell SL, Borody TJ, et al (Am J Gastroent 82: 292-296, 1987)

 キャンピロバクター・ピロリジィス(CP)は,他の細菌には類をみない強力なウレアーゼ活性を有する.これをマーカーとして用いることにより,CPの簡易で迅速な検出法を試みた.尿素をフェノールレッドおよび細胞増殖を防ぐために少量の窒化ナトリウムを加えたpH6.5リン酸バッファーに溶解し,その50mlを微量測定トレイのウエルに入れておく.生検胃粘膜片を直ちにそのウエル内に入れて,スコッチテープで表面を覆う.ウレアーゼが存在すればアンモニアが産生され,指示薬は濃いピンク色となる.1晩放置しても呈色しないものを陰性とした.

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 Laser ablation and palliation in colorectal malignancy: Mathus-Vliegen, EMH, Tytgut GNJ (Gastrointest Endosc 32: 393-396, 1986)

 レーザー治療を行っている西欧の7か所の施設にアンケート調査を行い,大腸癌による閉塞や出血に対するレーザー光凝固による姑息的治療の意義について研究した.レーザー治療の適応により大腸癌181例を閉塞群,出血群,閉塞+出血群の3群に分け検討した.3群間に症例の偏りはない.レーザー治療は手術不能例に限り,閉塞の解除および止血を治療の目標とした.大部分が外来患者である.

編集後記 長廻 紘
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 大腸結核は終わった,少なくとも臨床的には日本人に対する脅威ではなくなった,と思っている人が圧倒的に多いことと思う.かつてその存在が華々しかっただけに,今のIBDを目立たせるだけの,いわばかませ犬のような立場に,歴史を感じる先生方も少なくないと思う.

 腸結核に合併する癌があることは知っていたが,1冊の雑誌の特集を組むほどのものとは考えていなかった.ところがここに最近の他の特集に劣らない立派な内容を持った号を送り出すことができた.しかし腸結核もしぶとく再登場の機会をねらっていたというべきか,後輩である潰瘍性大腸炎やCrohn病に劣らず牙を持っていることを示した,と言える.

基本情報

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胃と腸
22巻7号 (1987年7月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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