Japanese
English
今月の主題 腸結核と癌
主題
大腸結核と大腸癌―病理学的立場より
Intestinal Tuberculosis and Colonic Carcinoma: From the pathological viewpoint
渡辺 英伸
1
,
山口 正康
1
,
田口 夕美子
1
,
味岡 洋一
1
,
石原 法子
1
,
岩渕 三哉
1
,
八尾 恒良
2
Hidenobu Watanabe
1
1新潟大学医学部第1病理
2福岡大学筑紫病院内科
pp.755-763
発行日 1987年7月25日
Published Date 1987/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112931
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要旨 腸結核病巣内の進行癌6症例,7病変を中心にして,肉眼・組織像の特徴,腸結核との因果関係および癌の発生母地を検討した.癌巣に結核が二次感染する場合(1病変)と慢性活動性腸結核の病巣に大腸癌が発生する場合(文献例)とが考えられた.しかし6病変では両病変の因果関係は不明であった.肉眼型はびまん浸潤型や膨張・浸潤潰瘍型が多く(6/7),潰瘍底が浅く,癌の粘膜内進展が4/7にみられた.分化型癌が多いにもかかわらず,浸潤性発育が顕著で,線維症の強い潰瘍中心部では囊胞状の分化型粘液癌が4/7にみられた.これらの形態学的特徴は,腸結核非合併例の大腸癌に比べ,粘膜下の癌組織量が少ないことや結核性瘢痕組織に起因するところが大であった.腸結核合併大腸癌の発生母地として,結核病巣の大腸粘膜,異形成および腺腫が挙げられたが,どれが最も重要であるかを明確にすることはできなかった.
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