胃と腸 14巻8号 (1979年8月)

今月の主題 微小胃癌

序説

微小胃癌の特集に当って 長与 健夫
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 癌のひろがりが胃の粘膜内かまたは粘膜下層までにとどまっているものを,われわれは早期胃癌と定義している.この時期に癌を発見し手術切除をすれば患者の予後が十分に期待できるという意味でこの定義は的を射ているといえようが,癌が胃の粘膜に発生してから粘膜筋板を破って粘膜下層へ増殖を開始するまでに,多の差はあるにしても5年から10年かかるであろうことが次第にはっきりしてくると,胃癌の自然史を時間的に3等分して早期,中間期,晩期とした場合の早期と,早期胃癌でいう早期の間には,大きな時間のズレがあることになる.そのズレを少しでも少なくするには,より初期の変化を探し出すことが必要になってくる.このことはただ議論のための議論としてではなく,早期発見の限界に挑むという点から,また胃癌の組織発生を解明する点からも,自然に生じてくる精神活動の1つの流れのようなものである.

 われわれが,Ⅱc+Ⅲ型とかⅡa+Ⅱc型と呼んでいる早期胃癌が,どのような状態の胃粘膜からどのような形の変化をへて発生発育し,そこにまで辿りついたかを正確に知ることは,個々のケースを対象としたのでは不可能であるし,多くの症例の組織所見から帰納したとしても限度があるが,今までの経験からしてより小さいか,あるいはより軽い病変が先行して,それが徐々にある程度の拡がりをもつ粘膜癌にまで成長してきたものであろうことは推察できる.しかしここに難問が横たわっている.

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 胃X線および胃内視鏡の機器種の質的向上および診断技術の向上,特に組織生検を主体とする内視鏡診断技術の進歩に伴い,早期胃癌の発見は比較的容易になってきた.現在,胃癌の臨床診断において特に問題となっているのは,微小胃癌,Ⅱb型早期胃癌,初期のBorrmann4型胃癌であろう.このうち,特に微小胃癌は,臨床診断上の興味と共に,胃癌の組織発生,発育進展などを論ずる上でも最も基本的な事項として,強い関心がもたれているところである.

 微小胃癌の定義についてはいまだ確固たる見解はないが,昨年(1978年)10月の日本消化器病・消化器内視鏡合同学会のシンポジウムでもとりあげられ,一般に癌巣の最大径が5mm以下を微小胃癌,10mm以下を小胃癌として取り扱っているようである.

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 胃癌の発生・進展などを知るためには,より早期と考えられる,より微小な胃癌を発見して,その生物学的態度を追求することが重要である.しかしながら,微小な胃癌の診断については,わが国において長足の進歩をみせた胃X線,胃内視鏡胃生検の3手段を駆使しても,その発見限界は現在のところ長径5mm位であって,これより小さな胃癌は臨床的にはほとんど発見されていない.したがって,微小胃癌という概念としては,癌巣の長径が5mm以下のものと定義するのが妥当であろうと考えられる,

 これら微小胃癌の発見には,主として他胃癌のため切除された胃を,半連続切片として全割する方法が用いられている1).しかし,臨床的に問題となる微小胃癌は,むしろ単発の微小胃癌なのであって,他の大きな胃癌に併存した微小胃癌(多発微小胃癌)は,主たる大きな胃癌に対する処置で一般的には充分であるから,単発微小胃癌とは臨床的な重要度が異なっている.ところが5mm以下の微小胃癌の発見数は少なく,しかも単発例は非常に少ない2)~4).そこで本稿では,われわれの施設において比較的多く発見,切除した単発微小胃癌(単発群)と,他の大きな胃癌との併存群(多発群)との生物学的な相違を中心に,微小胃癌の臨床病理を述べる.

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 1969年の秋の日本消化器内視鏡学会では1cm以下を微小癌とした.「胃と腸」5巻8号の特集号(「診断された微小胃癌」)でX線,内視鏡,および,肉眼所見が議論されている.しかし,病理側は5mm以下を微小癌と定義する.そこで,5mm以下のものの診断を考察することにする.

 中村らはすでに多数の症例を集めている.それによると,約4%にsmの微小癌をみている.全身転移した多発微小癌例も,慶大,順大で報告しているから,微小癌例でも,決して安心できないとおどかされる.

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 内視鏡の進歩は,胃内観察ではすでにミクロの世界に突入しようとしている.胃癌の早期診断を唱える立場とすれば,大変夢のある喜ばしいことであるが,胃癌診断の現実は微小胃癌が10mmか5mmかで議論されている段階である.さらに昨年(1978年)秋の第20回日本消化器病学会秋季大会シンポジウムで示されたように,胃癌の発生頻度からみれば,10mm以下としても微小胃癌の症例はあまりにも少ない.このような事態の原因はどこにあるのであろうか.

 早期胃癌分類が生まれて15年を過ぎた.この間,胃生検をはじめ,内視鏡機器の開発,改良は目ざましいものがある.しかし,これを使用し,診断する内視鏡医の心構えはどうであろうか.内視鏡の大家といわれる人々の診断法を慢然と踏襲していたのではなかろうか.胃生検に甘えているのではなかろうか.

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 陥凹型微小胃癌のうち術前に確診しえた典型的症例を示し,併せて若干X線診断の問題点について述べたい.

症例

患者:N.C. 40歳 男性

 入間ドックの胃X線検査にて胃前庭部に病変を指摘された.X線検査における圧迫像(Fig.1)では,周辺とはっきり境界された半月状の陰影があり,癌に特徴的な陥凹から周辺への棘状の突起がかろうじて指摘できる.Fig.2は,比較的空気の少ない二重造影像である.前庭部の溝状ニッシェの周辺はバリウムをはじき,立ち上がりのゆるやかな隆起により取り巻かれていることを示している.その隆起表面はさらにその外周の粘膜像と変わりがない.空気を沢山入れるとこの隆起は目立たなくなり,これが軟らかなものであることを思わせた.この時点でⅡcを考えたが,軽い隆起の幅があまりに広いためⅡcと断定できなかった.Fig.3の内視鏡像(GTFS3)では,典型的な小さいⅡcの所見を示す.すなわち,前庭部に小さな発赤した不整な形の陥凹が,菊の紋章様と言える極めて軽い隆起に取り巻かれているのがみられる.これは,小さいⅡcの所見として特徴的なものの1つである.しかし粘膜表面の変化から癌浸潤(+)の断端辺縁を正確に指摘することは困難である.ただこのようなX線,内視鏡所見を示すⅡcは,組織標本でみると,軽い隆起の頂上内側直下まで癌の浸潤が存在することが多く経験される.したがって内視鏡的胃生検をする場合にも,以上のことを念頭におくべきで,この症例でも中心から生検した組織に癌が証明された.Fig.4のマクロ像(生鮮標本)では矢印がないと病変部を指摘することは難しい.実際,固定標本でも陥凹周辺の隆起は,X線,内視鏡ほどには目立たぬものであった.固定標本での病変部径は4×5mmであった.組織学的にはwell diiferenciated adenocarcinomaで,癌は粘膜内にとどまり(m),その辺縁では診断過程において述べてきた如く軽い隆起を示し,癌の浸潤は隆起の頂上直下までにとどまっていた(Fig.5,6).

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 進行胃癌や他病変に併存する微小胃癌,あるいは多発の微小胃癌は,切除胃の組織学的検索に際し偶然発見されることが多く,このような微小癌は決して少なくはないが,術前に診断されて,手術された単発の微小癌はそう多くない.われわれは,5mm以下の大きさの単発の微小胃癌を,術前のX線検査,内視鏡検査で捕え,胃生検で胃癌と確診した症例を数例経験したので,その中の1例を供覧し,参考に供したい.

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患 者:61歳男性

主 訴:特になし

既往歴:3年前に心窩部痛あるも検査は受けず.

現病歴:約1ヵ月半前に会社の定期検診(胃X線検査)にて胃の異常を指摘され,続いて胃内視鏡検査を受ける.これにより胃角上部前壁の隆起性病変と胃角部のビラン,胃体上部小彎の発赤が認められたため,約1カ月前に胃精査の目的にて当センターを受診する.外来の内視鏡検査(GF-BⅡ)で胃体.下部大彎前壁よりにⅡa様隆起と胃体中部大彎に1本の皺襞集中を伴う潰瘍瘢痕様病変が認められ,これらより生検を施行する.両病変ともに腺管腺癌が証明されたため当センターに入院する.

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 直径10mm以下のいわゆる微小胃癌が1969年の第7回日本消化器内視鏡学会で討議されて以来多数の報告例とその検討がなされ種々の興味ある問題を提起しているが,臨床的には診断可能な限界の問題を,病理学的には胃癌の組織発生の問題を提起している.これらの問題点をふまえて胃内視鏡生検にて術前診断しえた5×4.5mmの1微小胃癌例について若干の考察を加え報告する.

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 微小胃癌は従来1cm以下の癌巣を指すものとして了解されてきたが1)2),中村の研究3)や近年の診断学の進歩により,5mm以下の胃癌が微小胃癌として取り扱われるようになった4).われわれは微小胃癌の診断にあたって,単発癌と多発癌における癌の生物学的,病理学的態度の相違5)が無視できないものと考え,それぞれの微小胃癌症例2例を提示し,それらの診断指標,今後の課題などについて検討を試みた.

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 竹本(司会) 早期胃癌の診断学の確立が,日本人研究者の苦闘の結晶であることは,いうまでもありませんが,その早期胃癌の診断も,こと微小胃癌となると,これまで順調な歩みを続けてきた診断学の展開も,壁にぶち当たっているという感じです.それを突破するため,昨年(1978年)秋の岐阜の第20回日本消化器病学会,第16回日本消化器内視鏡学会,第16回日本胃集検学会で合同シンポジウム「微小胃癌をめぐって」がもたれました.そのシンポジウムでは残念ながらディスカッションの時間が少なかったのですが,ご発表いただいた内容はたいへん優れておりまして,微小癌の診断に対して,希望をもてる心強さを感じました.

 今日は微小胃癌の診断が当面している問題のいくつかを徹底的に討論してみたいと思います.

胃と腸ノート

直腸指診のすすめ 小林 世美
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 消化器官は,口から肛門までを意味することは言うまでもない.ところが日本では,消化器病の専門医と自認する人々で,ルチンの外来診察で肛門まで診る人が意外に少ない.アメリカでは,初診の基本事項として直腸診を学生に教えている.したがって消化器科の医師は,すべての患者で直腸診を行う.日本では,大学のポリクリで,これを教える先生は極めて稀である.この1つをとってみても,日米の臨床医学教育の根本的相違がうかがえるように思われる.そこで私は,少なくとも消化器科を標榜するすべての先生方に,初回の外来診察において,眼瞼結膜で貧血の有無をチェックすると同様に,直腸指診を必ずやって頂くようおすすめしたい.

 私はここ数年間,全患者の初回診察と再来患者で年1~2回の直腸指診を実行している.その経験から多くを学んだ.極言するならば,直腸指診は,消化器科外来における診察行為のほぼ50%を占めるのではないか.換言すれば,直腸指診なしでは,消化器疾患に関する診察の約50%を施行したにすぎない.口腔内をのぞいたり,腹部の触診だけで終わっては,得られる所見が余りに少ない.

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 N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine(MNNG)の経口投与でラット腺胃に癌が高率に発生するという杉村らの1967年の報告1)があってから12年を経過した.初期には実験胃癌が本当に癌であるかどうかが論議されたが,その病変が隣接臓器に直接浸潤し,さらに転移を起こすという事実で問題は解決された2).次にどこまで浸潤した病変を癌とするかが議論となった.Stewartらは漿膜まで浸潤した病変のみを癌とするという考え方であった3).この定義は厳格ではあるが,ヒト胃癌のモデルとしてラット胃癌を考える場合には必ずしも適切ではない.MNNGによる実験胃癌で,藤村らは筋層以下に浸潤したものを癌とし4),斉藤らは粘膜下層以下に浸潤し,細胞異型,構造異型の強いものを癌とした5).現在でもこれらの定義を用いるのが一般的である.しかし胃癌の発生点は粘膜に存在する.ラットにおいても粘膜内癌の1,2の記載はあるが5),これまで粘膜内癌が取り上げられなかった理由は2つある.第1に実験胃癌が粘膜内癌を論ずるまでまだ研究が進んでいなかったことであり,第2にMNNG投与によりラット腺胃粘膜には広汎な糜爛が生じ,その再生腺管の異型との鑑別が困難であったことである.実験的に粘膜内癌,特に本稿の主題である微小胃癌を検索するには,粘膜に糜爛,潰瘍や再生腺管を生じにくい条件で胃癌を発生させる必要がある.それには弱い発癌物質を投与する,または強い発癌物質を低濃度で投与するという方法が考えられる.本稿では,MNNGより発癌性が弱い6)7),N-propyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine(PNNG)をラットに投与したときに粘膜内に生じる微小胃癌について記述する.

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 ヒト胃癌モデルとしてイヌ実験胃癌を研究するに当っては,いかにしてヒト胃癌に似たイヌ進行胃癌を作るかに精力が注がれてきた1)~5).そして今やイヌ胃癌は,肉眼型も組織型もヒト胃癌に似て多彩で,リンパ節転移,肝,肺,骨など臓器転移,皮膚転移,癌性腹膜炎の併発まで作られている4)5).MNNGやENNG単独投与では極めて稀なイヌスキルスの発生も,ガストリンを併用すると意図的に作れる段階にきている6).さらに実験癌が悪性病変であるとの証明に転移形成と共に移植継代が必要とされるが,ヌードマウスを用いて成功している7)8)

 このような背景の下にイヌ実験胃癌を用いる微小癌研究の意義は,①意図的に微小癌を作ってその切除胃の詳細な検索で組織発生を追求する,②内視鏡下の生検で確認された微小癌が増殖,発育して進行癌へと進展して行く過程をX線,内視鏡,生検で経時的に詳細な追求をすることにあろう.こうした微小癌に的をしぼった研究の他に,ヒト胃癌で切除胃の全割標本に微小癌がみつけられた全く同じ方法をイヌ実験胃癌にも当てはめてみるのもヒト胃癌の対比に役立つと考えられる.

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 早期胃癌診断の進歩により微小癌(最大径0.5cm)の発見も可能になったといわれる.しかし切除胃を手に取って調べてもわからない癌腫があり,かなり大きなものでも組織で初めて診断されるものなどがある.現実には容易に診断できるものではない.組織診断をあてにして全縦割半連続標本を作成しても約0.4cmのブロックの間に癌腫が逃げることもあって,盲目的検索を行うことにも問題がある.

 微小癌の診断能を向上するには,まず癌腫の存在を肉眼でとらえ,疑わしい病変も含めて組織判定することが大切で,つぎにその性状を知って診断と治療に役立てる手続きが必要であろうと考えられる.そこで微小癌発見の1方法として,切除胃をそのままA・H法1)で染色し,肉眼で粘膜表面から検索することを試みた.A・H法は胃粘膜の微細変化を色調と形態に現わし,現状では腸上皮化生,異型病変,とくに癌腫の表面形態と浸潤範囲(酵素発色法ではわかりにくい)の観察に最適な方法と思われる.今回はA・H法で発見した微小癌を中心に年齢,癌腫の色調,染色性,形態,病巣数,占居部位,大きさと組織型などを検討し,粘膜表面観察の限界などについて述べたい.

入門講座 胃癌診断の考え方・進め方・8

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●深さの診断

 市川 次に,「量的診断をめぐって」へいきましょう.量的診断ということになると,病変の範囲のほかに,深さも関係するわけですね.深達度診断と範囲ということになるわけですが,深さの,要するに早期か,進行かという診断,それから,早期でもmか,smかという診断がありますね.それと広さですが,深さから先にいきますか.深さはむずかしいですね.

 八尾 本当をいうと,深さの診断学はまだ出来上がっていないと思うんです.それの1つの原因は,立体構築をきちっとやって,肉眼標本とX線,内視鏡の場所の同定を正確にした上で所見の取捨選択をしなければいけない.すなわち肉眼標本でここのところが入っている,そのところがX線と内視鏡でこう見えるとやるわけですが,確実に同定できる症例が非常に少ない.そういう診断学が出来上がっていないので,やはり仕方がないという面があるわけです.

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欧文目次

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●観迎される輸出一ERCPに関する最初の英語版テキスト

 今般,竹本忠良教授,春日井達造博士の共同編集になる「Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography」が刊行されることとなったが,本書は日本人エキスパート24名による最初のERCPに関する英語版テキストである.

 周知のごとく,消化管内視鏡の領域は,わが国の研究者が世界をリードしている数少ない分野で,学問として体系づくりへの努力が行われている.特に幽門輪,Vater乳頭と括約筋制禦下の2カ所の障害をくぐりぬけて,膵,胆管を造影するという特技は,従来みられた日本人固有の器用さのみで解決されるものでなく,科学的に,胃,十二指腸,胆道,膵の解剖,運動分泌生理をきわめ,さらに,本書のすみずみにまで溢れる編集者,執筆者の並並ならぬ気魄により可能となったものであろう.

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 コンピューター断層撮影の装置は急速に改良が加えられ,画像がだんだん良くなってきている.患者を寝かせて撮影をする口径の部分が大きい装置が多くなって,全身の撮影にも広く使用されるようになった.本書は腹部の診断にCTを正しく使うための指針を示した良い解説書である.

 著者の平松慶博助教授はX線診断学の広い範囲に深い臨床的経験と優れた実力とを持っておられる専門家で,X線診断に専念されているすぐれた指導者である.新らしく登場したCTについても,腹部のX線診断の中でこれがどのように役立つのかについて,早くから検討を始めておられる.本書でははじめにCTを正しく使うために知っていることが必要となる基礎的事項が述べられている.次いで,膵臓,肝,胆道系,消化管,脾,副腎,尿路,骨盤腔臓器,大血管,リンパ節,骨格系について,CTの読影のための解剖学的事項,どのようなときに適応があるか,検査の方法はどうかについて要領よく簡潔に解説がされている.またそれぞれ代表的疾患のCT像が示されている.X線診断に加わったこの新らしい技術は有効に使用されることが要請されているのであるが,河野敦,広沢邦浩両君と共にまとめられた本書は,CTが正しく使用されるために時宜をえた解説書であるといえる.

編集後記 古澤 元之助
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 微小胃癌が特集号として企画された時,診断学的な研究論文のほかに,微小癌を通して,胃癌の成り立ちを形態学のみならず背景因子をも加味した組織発生を論じた研究論文を加え,微小胃癌の問題点を浮き彫りにしたいという願いがあった.本号に掲載された論文を読むと,初めの意図はほぼ満たされていると思う.

 微小癌とはminuteかmicroscopicallyかという議論もあったが,結局は5mm以下の大きさのものが論ぜられることになった.鎗田氏らはX線診断では存在診断であれば2~3mmのものまでなら可能性があるといっている.岡崎氏らは微小病変の発見には内視鏡のほうが有利であるとしながらも,従来の内視鏡検査そのものの発想を変えない限り微小胃癌診断の進歩はないと述べている.

基本情報

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胃と腸
14巻8号 (1979年8月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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