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書評「腹部CTスキャンの読み方」
田坂 晧
1
1東京大学
pp.1104
発行日 1979年8月25日
Published Date 1979/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107747
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コンピューター断層撮影の装置は急速に改良が加えられ,画像がだんだん良くなってきている.患者を寝かせて撮影をする口径の部分が大きい装置が多くなって,全身の撮影にも広く使用されるようになった.本書は腹部の診断にCTを正しく使うための指針を示した良い解説書である.
著者の平松慶博助教授はX線診断学の広い範囲に深い臨床的経験と優れた実力とを持っておられる専門家で,X線診断に専念されているすぐれた指導者である.新らしく登場したCTについても,腹部のX線診断の中でこれがどのように役立つのかについて,早くから検討を始めておられる.本書でははじめにCTを正しく使うために知っていることが必要となる基礎的事項が述べられている.次いで,膵臓,肝,胆道系,消化管,脾,副腎,尿路,骨盤腔臓器,大血管,リンパ節,骨格系について,CTの読影のための解剖学的事項,どのようなときに適応があるか,検査の方法はどうかについて要領よく簡潔に解説がされている.またそれぞれ代表的疾患のCT像が示されている.X線診断に加わったこの新らしい技術は有効に使用されることが要請されているのであるが,河野敦,広沢邦浩両君と共にまとめられた本書は,CTが正しく使用されるために時宜をえた解説書であるといえる.
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