大腸ファイバースコープは,イメージの向上,冷光光源の改良などによって小さな病変まで比較的詳しく観察できるようになった.さらに局所拡大観察の願望もみたされるべく,新たな大腸拡大鏡も試作されつつある.従来,顕微鏡下に論じられてきた平面的な形態は,直視下観察を重ねるにつれて病変を立体的形態として把握鑑別する必要が生じ,形態のみならず機能をも考慮したより正確緻密な診断が要求されるようになってきた.このようなときにあたって,悪性化はないとされる大腸過形成性ポリープと悪性化の可能性もあるといわれる腺腫性ポリープの問題を再びとり上げることは,意味あることと考えられる1)~8).
内視鏡的肉眼的に鑑別が困難といわれる小さな過形成性ポリープと腺腫性ポリープの鑑別を目的に,大腸切除標本を染色して実体顕微鏡下に観察し,5mm以下のいわゆるdiminutive polyp2)277病巣を検索してAlcian blueのとりこみからみた機能形態的観察とHematoxylin染色からえたポリープ表面の粘膜形態とから両者を鑑別する手掛りを見出した.この所見を生体で確めるべく大腸粘膜直視下観察に色素を用いた結果を報告する.御批判を仰ぎたい.