胃と腸ノート
大腸血管造影のmerit(2)
木戸 長一郎
1
1愛知県がんセンター放射線診断部
pp.1226
発行日 1975年9月25日
Published Date 1975/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112316
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大腸の悪性腫瘍と血管撮影
大腸のレ線診断は通常Bariumによる造影が容易に行われ,撮影技術の向上によって詳細な所見が得られるようになった.しかしこれは内視鏡と同様,粘膜面での病態の把握にとどまるのであるが,血管撮影では腫瘍に分布する血管像からその浸潤範囲や隣接臓器との関係を漿膜面から観察することが可能となる.特に悪性腫瘍の際の特徴の一つである腫瘍濃染は腸管内に注入された空気によって腫瘍の厚さを如実に示すことになり,このような把握の仕方は極めて興味深く,肝や腎の如き実質臓器とは異り,大腸の如き管腔臓器に対する血管撮影の漠然とした躊躇を排除するよすがともなるのである.
大腸癌は他臓器における癌と同様な特徴を血管像の上から示し,これが炎症性疾患との鑑別を可能にする.一方,非上皮性腫瘍との鑑別はLeiomyomaを除いて決して容易ではないとも言われている.
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