呼吸と循環 6巻4号 (1958年4月)

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 I.蛋白尿 痕跡の蛋白尿は健康者にも存在する。従つて昔から余り鋭敏な検査法(スピーグレル氏法,煮沸試験,スルフォサリチール酸法等)を用いず,ヘルレル氏法陽性以上を病的蛋白尿と認める。

 II.糖尿 尿中葡萄糖の定量には,その還元性を利用するが,尿中には葡萄糖以外に還元力ある物質が正常尿中に0.1〜0.3%糖に相当する位含まれていることも周知である。

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I.ミオカルドーゼの概念

 a.心筋障害群におけるその位置

 F. Wuhrmann (1939)1)は心筋炎の研究にさいして非炎症性の独立性心筋障害の存在を認めた。すなわち剖検上高度の心拡張を呈し,心筋組織には一次性の炎症像がなく,筋線維の膨化萎縮・結合線維化などを主変とする症例に注目し,丁度Nephritisに対応するNephroseのごとくに,Myokarditisに対応してMyokardoseなる語を用いた。Wuhrmann (1950,1952,1956)1)2)は更に蛋白化学的研究に基いてこの非炎症性心筋障害の研究を推進した結果,血清蛋白失調症(Dy—sproteinamie)が長期に亘つて持続する場合に起り易いので,蛋白失調血性ミオカルドーゼ(Dy—sproteinamische Myokardose)と称し,且つこれが肝疾患の場合に起り易いので,このものを肝原性ミオカルドーゼ(Hepatogene Myokar—dose)とも称しておる。

 ミオカルドーゼの心筋障害群における位置をみるために,心筋障害をその発生形式にしたがつて分類すると,次のごとくになる。

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 実験室で血圧を記録しようとする場合,代表的な方法として水銀マノメーターを用いる煤紙への描記と,膜マノメーターを用いる圧力脈波曲線の記録(光学的及び電気的)とがある。前者は平均血圧の時間的経過を見ることを主な目的とし,後者は各搏動毎の圧変動を微細な点まで忠実に記録し,その波型から各種の知識を得るのが主な目的であつて,夫々特徴と限界があり,本来相補うべきものと思う。個々の方法については既に成書に詳しいが,両者の記録曲線を具体的に並べてみたものはあまり見当らぬようである。膜マノメーターによる大動脈内圧の記録曲線(圧力脈波曲線)からは,大循環系動脈側の血行動態に関して種々の有益な知見が得られるが,今なお一般に馴じみがうすい憾がある。その圧変動が,水銀マノメーターを用いた場合には煤紙の上にどんな風に表現されるか,又その振巾の変化にどれ程意味があるかというような点についても見易い形で書かれているとはいえない。

 筆者は数年前Hamilton型膜マノメーターを用いる実験の旁ら,上記の観点から若干の吟味を行つた。この種の問題について完全な記述をすることは筆者の任でなく,本稿の内容自体新しい事でもないが,血圧曲線について考える場合に参考になりそうなこと,日常比較的気にされないでいるようなことを取上げて,以下に簡単な解説を試みようと思う。

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 祛痰剤の効果については未だ疑問の余地を残している。我々は肺結核7例,気管支拡張症2例において,アンモン及び吐根の併用内服,ヨードカリ内服,蒸気吸入,5%CO2及び95%O2混合気の吸入,トライトンW.R.1339・エロゾル吸入,トリプシン・エロゾル吸入,デオキシリボヌクレアーゼ・エロゾル吸入等を行い,その効果を喀痰の粘稠度及び喀痰量の変化より検討した。即ちこれらの治療方法のいくつかを,各症例において5日間づつ継続し,その間喀痰の粘稠度及び喀痰量を測定し,治療前と比較した。喀痰の粘稠度測定にはUniversal Torsion Viscometerを使用した。又喀痰量は24時間量を測定した。

 治療前5日間全く変化のなかつた喀痰粘稠度は,アンモン及び吐根1日15cc投与によつて,9例中2例において低下した。ヨードカリは1日1〜1.6g投与しないと効果が少いといわれている。我々は0.3—0.6—1.0gと日毎に増量し,7例中2例において粘稠度の低下を認めた。蒸気吸入では9例中1例に,CO2,O2吸入では8例中2例に粘稠度の低下をみたが,0.5%トライトンW.R.1339の吸入では,6例全例とも低下を認めなかつた。又膿粘液性の喀痰溶解に蛋白分解酵素を使用することは合理的であるが,喀痰中の線維素含有量はそれ程高くないために,トリプシンの使用は,この目的に対して理想的な酵素とは言い難い。

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 前回は主として抗利尿ホルモン(A.D.H.)の基礎に関する最近の進歩を紹介し,次いでその抗利尿作用を分析し,作用部位が腎の尿細管にある事に迄及んだ。今回は最近の目覚しく進歩した腎臓の生理学にA.D.H.をからませて,腎のが体液バランス維持の基礎,即ち尿の濃縮或いは稀釈を如何に巧みに行つて居るか,特に尚我々に耳新しい最も新しい説を少しく詳細に紹介しよう。

方法と装置

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 臓器病態生理の究明は臓器血流量測定法の進歩にまつ処が多い。腎臓の血漿流量の測定は1928年Van Slyke1)によつてクリアランス法として提案された。これ以来腎機能及び腎循環に関する多くの知見がもたらされた。更に1944年Warr—en,Brannon及びMerril2)等が人間で静脈カテーテルを腎静脈に挿入し腎静脈血の採取に成功し,この腎静脈カテーテル法にクリアランス法を導入することにより,この方面の研究は更に一段の進歩を見るに至つた。

 しかしクリアランス法はその原理より無尿を伴う場合には実施不能となり,特にショック或いは挫滅症候群,不適合輸血,急性スルファミン中毒,重金属中毒等による急性腎不全で尿量の極めて減少した場合にはその測定誤差が大きい。一般に外科的乏尿ではクリアランス値が意味をもたなくなるのは諸家の認める所である3)4)5)6)

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 井上 それでは私司会をさせて頂きます。今日は木本先生が先日ハワイの方にいらつしやつた。それから榊原先生が欧米の方を廻つていらつしやいましたので,お2人の先生にあちらの話をお聴きしたいと思いまして,座談会を開きました。先ず木本先生にハワイの方にはどういう学会でいらつしやつたか,1つ順序として

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緒言

 肺胞気のガス組成が正常肺においても,換気又は拡散の変動によつて異つて来る事実は多くの研究者の注目するところである。

 Martinらは1953年にこの事実に注目し,正常人の肺上葉および下葉の肺胞気を同時に採取し,そのガス組成の体位による変動を検討し報告している。

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いとぐち

 肺機能不全が肺実質障害によるか,換気に対する抵抗増加によるかを知る為に従来Gaenslerの気速指数(Air Velocity Index)1)すなわち

 気速指数=実測MBCの標準値に対する%/実測肺活量の標準値に対する%

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 輓近心臓血管外科の発達に伴いFallot氏四徴症の治験報告例は枚挙に遑がないが,余等は最近ほぼ完全に近い全内臓逆位症を伴つたFallot氏四微症の1例に遭遇し,之にBlalock氏手術を施行して幸に良果を収めるを得た。診断並に手術所見に些か興味があるので報告する。尚この患者は本年3月20日虫垂炎にかかつて左下腹部に疼痛を訴え,手術により虫垂が左腸骨窩にあることを確め得た例である。

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緒言

 W.P.W.候群は,Wolff-Parkinson-White氏により1931年始めて報告されて以来,多くの臨床家によりその報告がされている。

 この症候群はしばしば一時的の発作性心急搏の状態を招来するものであり,又この発作の出現がこの症候群の最も危険な状態である事は周知の事実である。それ故我々多くの臨床家はこの発作の予防に充分の注意と関心をはらつているのである。

基本情報

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呼吸と循環
6巻4号 (1958年4月)
電子版ISSN:1882-1200 印刷版ISSN:0452-3458 医学書院

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