Japanese
English
綜説
血圧曲線の解釈に関する2,3の問題
Some problems on the interpretation of blood pressure curves.
重井 達朗
1,2
Tatsuro Shigei
1,2
1東大薬理学教室
2薬理研究会研究所
1Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
2Iatrochemical Institute of Pharmacological Research Foundation
pp.303-312
発行日 1958年4月15日
Published Date 1958/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200616
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実験室で血圧を記録しようとする場合,代表的な方法として水銀マノメーターを用いる煤紙への描記と,膜マノメーターを用いる圧力脈波曲線の記録(光学的及び電気的)とがある。前者は平均血圧の時間的経過を見ることを主な目的とし,後者は各搏動毎の圧変動を微細な点まで忠実に記録し,その波型から各種の知識を得るのが主な目的であつて,夫々特徴と限界があり,本来相補うべきものと思う。個々の方法については既に成書に詳しいが,両者の記録曲線を具体的に並べてみたものはあまり見当らぬようである。膜マノメーターによる大動脈内圧の記録曲線(圧力脈波曲線)からは,大循環系動脈側の血行動態に関して種々の有益な知見が得られるが,今なお一般に馴じみがうすい憾がある。その圧変動が,水銀マノメーターを用いた場合には煤紙の上にどんな風に表現されるか,又その振巾の変化にどれ程意味があるかというような点についても見易い形で書かれているとはいえない。
筆者は数年前Hamilton型膜マノメーターを用いる実験の旁ら,上記の観点から若干の吟味を行つた。この種の問題について完全な記述をすることは筆者の任でなく,本稿の内容自体新しい事でもないが,血圧曲線について考える場合に参考になりそうなこと,日常比較的気にされないでいるようなことを取上げて,以下に簡単な解説を試みようと思う。
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