看護学雑誌 57巻9号 (1993年9月)

特集 院内感染最新事情

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はじめに

 今,医療に従事するすべての人が,最も関心を抱いているのが院内感染(hospital infection,nosocomial infection)であり,特に看護職の人々の熱心さは特筆に値するであろう.

 6月初旬に,全国のトップを切って,厚生省・日本感染症学会主催(日本環境感染学会共催)の「院内感染対策講習会」が,岩手医科大学院内感染対策委員会を世話人として盛岡で開催された.この講習会で,院内感染の起因微生物などについて,私ども岩手医科大学医学部細菌学教室の教授,助教授,その他の者で講義をさせていただいた1).定員を大幅に超す申込者があり,関心の高さを示すとともに,選ばれて出席された方々の熱意に感激したものだが,この催しは今後も全国で継続される.

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はじめに

 1993年4月に,日本看護協会研修センターで行なわれた3週間の「感染と看護」の研修会で,私は研修の最後に行なわれたグループ討議に参加させていただいた.このグループ討議の中で,「看護の視点で,院内感染防止のために,自分は何ができるかを考えてほしい」というのが研修生に対しての私の願いであった.今回,この原稿を執筆するにあたり,私自身がその時に研修生に望んだ問題を考えることとなった.

 そこで私は,基本的看護が感染防止にどうかかわりがあるのか,医療の進歩(変化)によってどのように変わったのかを考え,その上で,私が所属する聖路加国際病院が,アメリカから感染管理専門看護婦を招聘し助言を得た経験をふまえ,基本的な処置や看護行為の中での感染防止対策について述べることにする.

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はじめに

 本邦の病院におけるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の蔓延を契機に,院内感染(病院感染)の実態とその対策の重要性が広く認識されるに至った.従来,軽視されがちであった院内感染対策について,不十分ながらも,行政面を含めた対策が取られるようになってきたことは大変喜ばしいことである.その一方で,MRSAを恐れるあまりMRSAのみが注目され,また,MRSA感染症による実害がほとんど見られない病院以外の領域にまでその対策が拡張され,さまざまな混乱も生じている1).このような現状を考慮し,院内感染対策に関する問題について,耐性菌対策を中心に,医師の立場から概略を述べてみたい.

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感染予防の現状は

 林 院内感染が病院内外で大きくクローズアップされている現在,ICN(インフェクションコントロールナース)の必要性もまた問われているのではないかと思います.欧米におけるICNの役割は,文献や資料としては紹介されていますが,日本ではまだ確立された分野ではないという現実もあるかと思います.そこで,今日はICNの日本における役割,期待されるもの,将来性というものを,これからこの道を進もうとしている方々に話していただきたいと思います.

 まず,今年北里大学大学院の修士課程に入られた篠木さんから.篠木さんは臨床経験が5年あります.その経験から,また感染看護学を学ぼうとした動機などを話していただけますか.

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はじめに

 当院はベッド数780床,23の診療科を持つ総合病院である.

 当院の院内感染防止委員会は早くから設置されていたが,MRSAに対する感染防止対策については1990年に検討され,「MRSA感染防止対策」としてマニュアル化された.このことについては,1990年10月に「MRSA感染防止,院内の取り組み」として本誌(55巻10号897〜900頁)で紹介している.

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 国立大阪病院では,感染対策委員会を中心にMRSAの感染予防に取り組み,この指針に基づき当救命救急センターでも感染防止に努めている.

 その取り組み内容は,本誌1991年10月号(55巻10号908〜911頁)に,MRSAに対する活動状況・患者隔離・MRSA感染防止に対する心構えについて報告した.今回は,その後2年間のMRSAに対する取り組みなどについて現状を述べる.

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はじめに

 北里大学病院看護部の現任教育は,開院以来23年間入職看護婦のオリエンテーション,チームナーシングにおけるチームリーダーの育成に力を入れており,患者中心の看護を実現,維持してきた.1984年には,看護の質を高め,看護婦自身の成長をはかる意味で,チームナーシングを上台にした,プライマリナーシングの導入を施行した.

 そして1993年度より,21世紀を見据え,今準備を始めなければという思いで,独自の継続教育システムを再構築したので紹介したい.

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プロローグ

小さな病院の長く続いている看護講座

 東京の北千住のほど近くに柳原病院がある.ベッド数85床の小さな病院で,先駆的な訪問看護は全国的にもよく知られている.だが,看護講座という名の学習会をもう20年近く継続していることは,あまり知られていない.そこで行なわれる事例検討会の質は,相当高いと筆者は思っている.

 ある日の看護講座で,内科病棟から出された事例は,患者1氏(67歳)のことであった.I氏は,1991年12月23日,同僚と酒を飲み別れた後路上に倒れ,某大学病院救命救急センターで蘇生したが意識は戻らず,近医に転送.付き添いつきの入院は経済的負担が重く,知り合いのケースワーカーに相談,当院に転院することになった.

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附属保育所設置決定までの経過

 1991(平成3)年4月に松戸市立病院附属保育所「まつどがくえん」が開園して今年の4月で2年が経過した.この附属保育所は,市内の園児の減少で廃止されることになった「市立北松戸第二保育所」の施設,設備をそのまま転用する形でオープンした.

 市立病院に近接した市立保育所は,2施設あり北松戸第二保育所は,開設時定員110人に対し当時保育園児数は48人,この保育所の近くには別の公立の保育所があり,開設時定員150人に対し88人の園児数であった.また近くには私立の保育園もあり,やはり余裕がある状況であった.

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はじめに

 近年,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下,MRSAと略す)による感染症が,医療上の問題となっている1〜6).当院もその例外ではなく,病棟での対策として,MRSA感染患者に対して院内マニュアルにより隔離を行なってきた.しかし,隔離されることにより,不穏,不眠,せん妄や異常行動などの症状が出現したり,意欲や反応性の低下が認められるなどの精神面での弊害が起きている.そこで,院内感染の防止と,肉体的・精神的負担の軽減を目的として,病室,病棟の環境調査や,介護者の付着菌調査を行なった.その結果から感染経路を再認識し,より良い隔離方法を見い出すことができたので,調査結果と症例を紹介し,文献的考察を加え,報告する.

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 前号に続き第5回赤十字ヒューマニティ・フォトコンテストの入賞・入選作品を紹介させていただく.

“Humanity”

連載 カラーグラフ

第一線に飛び出した修士ナースたち

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かぼちゃに魔法をかけてきれいな馬車に変身

 ミキサーにかけたものは,褐色になりがちで,意識がクリアーな患者さんの目には色彩にとぼしく映ります.また何が入っているのかがわからないため,なかなか手をつけられないようです.

 そこで当院では,型を利用して料理のかたちを整えたり,飾りを添えたり,また素材の色彩と持ち味の両方を生かした料理にするなど“見ておいしそう,食べてもおいしい”ミキサー食を出しています.

生体のメカニズム・21 [消化・吸収の生理・1]

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 今月号から4回にわたって,「食事で取った食べ物が体の中でどのような仕組みによって,どのような物質に変わってゆくのか」,「その物質はどのような仕組みで体の中を運ばれ,どのような仕組みで体の中に取り込まれるのか」,「残った物質はどのようにして体外に出されるのか」といった事についてお話ししたいと思います.

連載 [インタビュー]ここが知りたいアメリカ看護・1【新連載】

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 1992年5月末から8か月にわたり,アメリカのロチェスター大学(N.Y.)看護学部およびストロングメモリアルホスピタルで自己研修されてきました,岩井郁子氏に,アメリカの看護最新事情をお話いただきました.延べ8時間におよぶ川島みどり氏との対談を再構成し,本誌では今月より短期連載いたします.

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 施設医療から在宅医療への推進か叫ばれ,その一環として老人訪問看護ステーションが昨年4月から設置されはじめた.目標との比較ではまだその数は少ないものの,新しい在宅ケアの動きとして注目を浴びてきている.

 こうした環境の中で,この連載ルポでは1年半にわたり,看護職が在宅ケアをどのように担い,また将来はどうあるべきかを,デンマークの実態を含めて報告してきた.それぞれに特徴をもった在宅ケアが進められていることが紹介された.

連載 [インタビュー]第一線に飛び出した修士ナースたち・9

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 井部 クリニカル・ナース・スペシャリスト(以下CNS)として,精神科の病院に勤めていらしたわけですが,スタッフの時とCNSでは実質的に仕事の内容はどのように変わりましたか.

 宇佐美 最初の1年あまりは,スタッフとして働いたのですが,チーム・ナーシングの中で割り当てられる,注射・点滴などのルティン業務が主でした.CNSになってからはルティン業務は一切なくなり,病棟でケア困難なケースを受け持つといった直接的なケアにかかわる仕事と,スタッフ教育の一環として,スタッフが患者さんに関して勉強できる素材を提供するといった,大きく分けて2つの仕事をやっていました.

連載 Good コミュニケーションをあなたに・9

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 さて,患者になるべく自由に話をさせるように心がけて,どうにか会話がはずんできたとしよう,しかし,かなり沢山の話を聞いたのに,話の焦点がはっきりしないことがある.また,患者が困っている様子は何となく伝わってくるものの,患者が思いのままに話しているようには感じられないこともある.

 そうした際にコミュニケーションにメリハリをつけるのが,今回紹介する3つの技法だ.

連載 日々の看護ケアと生命倫理と・9

重い尊厳死の選択 岡部 恵子
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 前回は安楽死について書きました.そして,安楽死については,“死とは,生とは”で考えるよりも,痛みへの医療,痛みへの看護との関係で考えたほうがいいのか,と結びました.が,安楽死は尊厳死の視点で考えると考えやすいのではないかという漠然とした思いもありました.

連載 私が癌看護に魅かれる理由・4(最終回)

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未病を治す

 今から20年ほど前,准看護婦学校で,公衆衛生学の講師が教えてくれた古代中国医学の言葉に強い感銘を受けた.「上医ハ未病ヲ治ス,中医ハ病ヲ治ス,下医ハ病ヲ治サズ」

 その後,いろいろな職場に勤め,多くの医師に出会ったが,なかなか“上医”にはめぐり会えなかった.天林先生の著書『ついにわかったガン予防の実際』を知った時,これこそ「未病ヲ治ス」ことではないか,と胸躍る思いがした.

連載 でも、やっぱり歩きたい[直子の車椅子奮戦記]・21

パンダじゃないぞお 滝野澤 直子
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ショーがない学生

 学生のときにもっと真面目に勉強しておけばよかったなあと思う.謙遜なんかじゃ全然ないんです.言うのもお恥ずかしい.私は成績も悪ければ素行も悪い学生で,居眠りサボりの常習犯.見学なんかに行くと,一番後ろでよそ見ばかりしている学生っているでしょう.私はそれだったんです.

 学生のときの病院実習で,申し送りを立って聞いてるうちに目の前が真っ白になって,気がつくとストレッチャーの上に寝かされていたことがありました.

連載 プッツン看護婦物語・37

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 けっこー、毒のある話の多いこのコーナー。そうはいうものの、私たちだって、看護婦なんだもん、時には気の毒な患者に思いっきりやさしくしちゃって、「私、死期が近いんじゃないかしら」なんて思うことだってあるんだよ。

 ちよっと気恥ずかしいけど、今回は、そんな自分のやさしさに酔ってしまったお話を、大公開だぜい!

基本情報

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看護学雑誌
57巻9号 (1993年9月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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