看護学雑誌 24巻7号 (1960年7月)

若い世代
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 近頃の若い人は……というと,如何にも古びてきこえるけれど,戦前と戦後というわけ方にして考えてみてもよいのであつて,約15年位の差が,その間にあるだけの年代の相違となるわけである。ただ,御承知のように,社会情勢は全て変つてしまつた。戦後の実態は,戦前以上のものである。この世相の変化につれてその時代に住む人の様相も,心理状態も,変つてしまつたであろうか? 若い世代の最も敏感に世相を反映する層の人々,これを代表するものとして,学生をあげてみられるが,その学生は,果してどのように変つたか,又,変らないか。戦前からずつと学生を扱つておられる大学の先生達と話合つてみると,次のようなことが言えるようである。

 まず,戦後においては,学制改革もあつて大学の数が非常に殖えたこと,そして,それにつれて,学生の数も又おびただしく増加しているという事実をしらなくてはならない。そこで,戦前なら,大学生にならなかつたと思われる種類の人々が,大学生になつているために,学生と一口にいつても,その内容には,非常にヴァラエティがあるということである。学生が悪くなつたとか,質が低下したとかいう言葉をよくきくけれど,それに対しては—かりにイエスともノーとも答えられない。何故なら,真面目で,誠実な学生は今日でもあるし,遊んでばかりいて,だらしのないよくない学生は昔もあつた。

口絵 続・写真解説看護技術・15

酸素療法(吸入法) 浅田 美智子
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I.酸素療法の種類

 酸素療法にはカテーテル法,テント法,マスク法及び酸素室等がある。どの方法が用いられるにしても①患者にとつて有効かつ安全に酸素が与えられること,②患者が最も安楽な状態でこの療法をうけられるようにすることが非常に大切である。看護婦の立場としては先ず酸素を必要としている患者の症状を適確に把握すること及び酸素療法の原理と技術をよく理解しておくことが必要である。特に酸素は燃焼を助けるものであるから火気の管理については細心の注意を要する。

講座

赤痢の薬剤耐性 落合 国太郎
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 近代医学が目ざましい発展をした1つの理由に抗生物質の発見があげられる。事実,抗生物質が発見され,これが治療に広く用いられて以来,病気に関する考え方が大きく変つてきている。がこれと同時に病原菌が耐性となり特効薬たるべき薬の効き目が悪くなるという問題も生じてきた。

 焦点を赤痢にしぼつても,以上の問題はすべて考えられる。赤痢に対する抗生物質療法の効果,対性菌の実態,そしてその対策を学んでみよう。

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パースナリティという「成功への鍵」

 「学歴,国家試験,免許状」という一連の専門技術者となるための適格条件は,時代の進歩と共に次第に高く要求されるようになつて来た。こうした近代社会では,およそこれらの所要条件をみたすためにわれわれは若い人々を長期間,学校教育や専門の養成課程の中に釘付けにしているのである。技術革新に対決するための職業準備教育は市民的教養と一般教育と更に職業教育とを要求し,三者の統合過程においてより有能な技術者を育てあげようとするのである。だが学院での試験や学業成績に直接あらわれてこない何かがあつて,これが成功への鍵であるとしたらこれこそ私達が最も大切にし育てあげなければならないところのものだ。この成功への鍵はどの専門職の国家試験でも屡々見落されがちであつて,しかも現実の職場へ出てかなりの期間を経たときにはじめて露呈してくるところのものである。

 この点についてフランスの精神医学の専門家であるシャルル・プロボォはこんなことを言つているので紹介しておこう。彼は海軍省の応用心理学部長でもあることをおことわりしておく。「社会構造が複雑になるにつれていろいろな試験・競争・免状・証明・称号といつたものが重なりあい,補いあつて,それがいよいよ恰好な篩の役を果すようになつてくる。もつとも,これらにも採るべきものがあるといえるし,また,これだけが唯一の選び方(人材,選抜の方法)となる場合もある。

病室と湿度 三浦 豊彦
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 夏のむしあつさ,しのぎにくさを考えるだけでもうんざりする。この「むしあついこと」の原因は湿度の高いことにあるのはいうまでもない。健康な人でさえもしのぎにくい夏を病床で過す人のことを考えれば少しでも湿度を少くする方法を考えてやりたい。今まで忘れられがちであつた湿度の問題をとりあげて夏の患者を楽にする方法を考えてみよう。

医療と温度 横山 憲史
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 「医療と温度」については,医療全般に通用することであり,特に看護の面にも必要と思うのでこれを寄稿すると著者は語つている。飲み物の温度から薬や器械器具の温度に至るまで著者の体験を通して解りやすく執筆されているこの講座からは多くのものが学びとられるであろう。

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 解剖学用語が新しくなつたのは昭和33年4月1日である。教科書は新しい解剖学用語に書き改められ,すでに新用語で講義が行われている。この講座は旧解剖学用語で学んだ人たちのために補修としてお願いしたものである。

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 救急法のうちの人工呼吸法にはSilvester,Schafer,Nielsen,Emerson等の提唱した諸方法やこれらの変法があるが,このような用手的人工呼吸法は,肋骨骨折の危険,換気量の不足,術者の疲労し易い点等,種々な欠点がある。

 私がコペンハーゲン滞在中のFinsen研究所(皮膚結核・癌の研究所)の麻酔主任Dr. H. Ruben1)より彼等(A. Ruben2),J. O. Elam3))の提唱するMouth to Nose Respirationをこうした用手的人工呼吸法の他に,是非日本の看護婦諸姉に普及宣伝してくれと強く依頼されたのでここに紹介し,皆さんの用に臨み実施されん事をお願いする次第である。

対談

医療行政と看護 武見 太郎 , 林 塩
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 看護の問題を論じる場合,往々にして突当るのが,医者の無理解ということである。そして,医者の全国的な団体である日本医師会が,看護制度の発展の前に大手をひろげて,その歩みを阻止しているといわれることもままある。果して日本医師会は看護の問題について全く無理解なのか,武見会長は「もつと教育面でレベル・アップしなければならない」とはつきり言つている。その他医療制度の問題等について日本医師会会長武見太郎先生に林塩日本看護連盟会長が聞く。

ナースの作文

ある異常者,他 勝原 美代子
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 3月とはいうものの夜間はすこぶる冷えこむ。しかしこの記録室はストーブが独得なリズムを発し,適当な温度でこの寒さを忘れさせる。

 第1日目の深夜勤務である。この3日間に急変な異常がないようにと祈りたい気持になる。時たま激しい咳嗽が聞えていたが,今は犬の遠ぼえが無気味に深夜に響き渡つている。夜間は2個病棟の掛持。そして私以外にだれもいないことが心細く,気が重い。それぞれに血痰喀出者,熱発者,呼吸困難者がいるので,些細な音にも敏感に神経に響くのも無理ないというよりも当然のことであろう。

ナースの意見

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 私は精神科の附属准看護学院を卒業し,1年程勤務しましたが,精神科ナースの難しさ,それに浅薄な知識にあきたらず,夜学へ行き色んな知識を与えてくれる病院を希望して今の病院へ参りました。

 立派なよいナースとはどんな人なのでしよう。母性愛から始まつたナーシング,それには奉仕的博愛の精神,専門的科学的知識と熟練された技術が必要です。高看である先輩は皆どんな理由でナースとなられたのでしよう?私の一般教養や専門知識は本当に底の浅いものです。しかし私も経済的に家庭的に恵まれた環境に育つていれば皆と同じに勉強出来たはずです。

連載小説

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抵抗の芽生え

 留守の部屋へ侵入され,無断で日記や手紙が読まれている………これは,思春期と反抗期の入り混つた感受性の強い彼女らに衝撃を与えない筈はなかつた。

 憤慨を言葉で表現できずにぽろぽろと涙を流す者,興奮のあまりノートや参考書まで破いてしまう者,大きな溜息をついて放心したように畳を見つめる者………看護婦社会の指導者には,子供を所有物化して人格も個性も認めない母親のように,偏狭で無智で低属な人種しかいないのだという失望は,彼女らにとつて歯ぎしりしたい程の口惜しさでもあつた。

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はじめに

 消化管の疾患が,食道・胃十二指腸等の所謂上部消化管に発生した場合には,いろいろの検査法によつて充分満足しうる資料が得られる段階にある。これに反して,腸の疾患の場合,小腸は勿論大腸でもその検査法は上部消化管に比べて充分であるとは言い得なかつた。しかしながら腸の疾患も従来考えられていた程決して少いものではなく,従つてその診断も決して等閑に附さるべきものではない。

 この意味からも最近は進歩と改良の加えられた検査法が日常次第に行われつつある。

教養講座

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はしがき

 日本占領中のG・H・Qのマニトフ女史は日本に来て数多くの病院で最も邪魔者扱いをされているのは患者であるといつたのは当時有名な話であつた。敗戦後の虚脱状態から脱して奇蹟的に復興をしているわが国の現在の病院の実状は立直つたとはいえ,まだまだ患者本位の病院からはほど遠いものがあることは否定できない事実であろう。この患者本位の病院としての理想に近づけ,ヒポクラテスの誓いにもあるように,人間の生命をその受胎の初めから至上のものとして尊敬する人間性尊重という基本的立場に立つて患者に快適でゆきとどいた看護を実践するためには,物的,人的両面から考えられねばならない。物の面からはけつきよく建物とか設備とか予算との関連におちつくことになろうが,それらを動かすものは人間であることに気がつかねばならない。近時,とかく人間性を没却するかたむきがあつた従来の科学的管理法に加えて人間関係が導入されて,経営ないし労務管理の分野において注目を集めているが,医療関係においてはこの人間関係のことがいわれるようになつたのはまだこと新しいことである。

教養講座 詩の話・8

詩材を求める 山田 岩三郎
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 題材の選定,内容の決定ということはなんといつても作詩の第1段階である。そこで,前号に掲載した内容の決定までのグラフをみてください。グラフに従つて順にお話をすすめたい。

 グラフでは,事象・具象・現象・観念を素材という線でまとめてある。同時に時間・空間の貫通した線でつないである。一目でおわかりのように,詩の題材となるべき素材は,地上いたるところ,誰の周囲にも所在することを表示したのである。これとこれは詩材として扱つてよいが,それとあれはとりあげてはならぬなどという限定のないことも示している。

時の動き

東西頂上会談お流れ,他
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 5月16日からパリで開かれた待望の東西頂上会談は,米機のソ連領侵犯事件のためフルシチョフ首相の怒りを買い,何事も話し合えないまま休会となりました。

 「待望の」と言つたのは,こんどの頂上会談開催までには2年半の年月がたつているからです。

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冬の江戸川窓あり厨屑捨つる

基本情報

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看護学雑誌
24巻7号 (1960年7月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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